新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する中、建築資材業界にも減産の波が押し寄せている。ロレンゼッチとチグレのような業界の一部の企業が集団休暇を前倒しして実施する一方、エテルニットなどは従業員の一部を対象に休暇の前倒しを行っている。またポルトベロは、生産能力を縮小した。2020年の業界は、ブラジル建設資材工業協会(Abramat)が当初予想していた水準を下回ると見られるが、同協会のロドリゴ・ナバーロ社長によると、新たな見通しを立てられる状況にはないという。
当初、Abramatとゼツリオ・バルガス財団(FGV)は共同で、2020年の建築資材業界の売上規模がインフレ率を考慮した実質成長率で、2019年の前年比+2%の2倍に達する前年比+4%と予想していた。「2020年の見通しは下方修正することになるが、政府が発表を予定する公式な経済指標がいくつか出そろってからになる」とナヴァーロ会長は話す。同会長によると、4月から5月にCOVID-19の感染拡大がピークを記録してから、業界の「回復の足取りが回復する」という。
シャワーやトイレ周りの金具、浄水器を製造するロレンゼッチは、3月23日から15日間の集団休暇を実施してきたが、15日間の延長も検討し始めている。広報資料で同社は、「新型コロナウイルスの拡散状況から、社員と家族の健康を懸念している」とコメント。2019年に15億レアル規模の売上を計上したロレンゼッチは、2019年12月の時点で、2020年は2桁成長が見込まれる1年だと表明していた。
エテルニットのルイス・アウグスト・バルボーザ社長によると、同社製品に対する需要はパンデミックを受けて半減したという。同社の顧客が履行不能になっているケースはないが、一部は支払期日の先延ばしを要求しているという。また同社はこれまでのところ、従業員の解雇は実施していない。製造現場の従業員の休暇を前倒しで実施した。「リスク・グループに分類される人達は、ホームオフィス・システムを通じて働いている」という。
チグレ・グループは3月28日、それぞれの製造ラインの特性を考慮した上で個別に条件を設定して製造ラインを最大30日停止した。同社によると、製造ラインが停止している機関の需要に応じるだけの潤沢な在庫を確保しており、小売業界も事業を再開可能だとしている。チグレによると、直接的な影響を受けているのは、15日間の計画的な事業停止措置が取られた公共工事の水の輸送供給に関する製品の製造ラインだという。
また「専門技術職の社員の雇用を維持する」方針。ただし、新しい見通しを立てるのは時期尚早だという見方を示した。その上でチグレは、「あらゆる状況の変化に十分な注意を払い、連日、取るべき対策、次の一手の評価を進める」とコメントした。
タイル・メーカーのポルトベロは、サンタ・カタリーナ州チジューカス市の工場の稼働能力を70%削減した。同社によると、「機械・設備を万全な状態で維持して技術的な安全性」を確保するために最低限必要な対応だとしている。アラゴアス州マレシャル・デオドロ市のPointerブランドの工場の生産能力は数日かけて漸減し、設備の稼働および製造に求められる最低限の水準を維持する。Pointerは、ポルトベロがブラジル北東部で展開するブランドである。
またフロリアノーポリス市の事務所では、全社員をホームオフィス・システムの勤務とした。チジューカス工場では75%の社員がホームオフィス・システムの利用対象。また同社が展開する販売店ポルトベロ・ショップの営業は、それぞれの店舗の州および市役所の判断に従っている。
3月30日にAbramatは、最初の業界調査をまとめた「Termômetro Abramat(Abramatサーモメーターの意味)」を発表した。国内でCOVID-19の感染が拡大し始めたのちに実施されたもので、これによると業界では、投資意欲の減退や3月と4月の売上に関連した悲観的観測の拡大、政府に対する楽観的見方の縮小といった反応が確認された。
この調査で、中期的に投資を進めると回答した企業は、2月に調査対象の71%だったものが3月には38%に落ち込んだ。同様に、保有設備の稼働率は70%から65%に低下。48%の企業が3月の業績について、悪いあるいは非常に悪いと回答。普通と回答したのは33%、良好と回答したのは19%だった。さらに4月の見通しについて、67%が悪いあるいは非常に悪いと回答、33%が不通と回答した。
また政府の取り組みについて、67%が無関心と回答し、24%が悲観視、9%が楽観視していると回答した。政府の取り組みを楽観視していると回答した企業は、2月の時点で25%だった。(2020年4月1日付けバロール紙)