裁判所がICMS納付期日の延期を求めるFiespの申し立てを棄却(2020年4月3日付けバロール紙)

サンパウロ州財政裁判所第7法廷のエミリオ・ミグリアーノ・ネット裁判官が、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響に関連してサンパウロ州工業連盟(Fiesp)とサンパウロ州工業センター(Ciesp)が今後3か月に納付期日を迎える商品サービス流通税(ICMS)と自動車所有税(IPVA)、その他の州税に関して、納付期日を180日延長するよう求めた主張を退ける判決を下した。両団体は控訴する予定。

判決文で同裁判官は、「原告に加盟するすべての企業が請願された対策の導入を必要としているというのは真実ではない」と意見。その上で州検事局を指し、「多くの企業にとっては不要ではあるが、一方でこの対策では不十分という企業もある」と付け加えた。

同裁判官は最終的に、「今この時、あらゆる人が例外なく、中でも負担すべき税金を定常的に納付しているその原告団であるところのFiesp及びCiespの加盟社ら、生ある者がこの深刻な時に立ち向かう解決策を見いだすため、団結と知力を活用する時である」と述べた(訴訟番号1017036-78.2020.8.26.0053)。

Fiesp及びCiespは、国内総生産(GDP)の成長率に対する見通しが+2.2%から0%に下方修正されるほどブラジルの経済危機が深刻だと主張。加えて、様々な州政府及び市役所が異常事態を宣言していると訴えた。しかもサンパウロ州の場合は検疫隔離措置を命じて「生産活動を一層弱め」、「人々の外出を規制して消費の大幅な減少」に至らしめたとしている。

Fiespのエルシオ・ホンダ法務担当理事は、連邦税の支払期日を延期する対策を連邦政府が公布するのを待って、これを添えた上で同連盟が控訴するという考えを示した。「連邦政府の対策は、納税期日の延期問題は個別の問題として扱ってはならないという我々の主張を裏付けるものだ。連邦税では、延期は全ての納税者が対象だ」と、同理事はコメントした。

デマレスト弁護士事務所で租税問題を専門とするプリシーラ・ファリセリ弁護士は、もともと個別の提訴を推奨してきたとしつつも、多くのクライアントがFiespの申し立てに対する判決を待ち受けていたと話す。「今回の判決を受け、個別の差し止め命令によって不平等な状況が生まれることになる。期日延期の差し止め命令を受けた納税者は、延期されなかった納税者に対して経済的なアドバンテージを手にすることになる」とコメント。ただし同弁護士は、裁判所が業種ごとの申し立てを棄却したわけではないとコメント。「例えば、航空業界をまとめる業界団体が特定の損失を業界が被っていることを証明するような場合である」という。

今回の判決を受けサンパウロ州検事総局(PGE)は、「判決は自明のものであるが、根本的な問題として、権利が維持され請願そのものに対する判断が下されていない点に関して懸念している」とコメント。またこれまでに納税者の主張が認められた差し止め命令は1件のみで、州財政に与える影響は極めて小さいとしている。(2020年4月3日付けバロール紙)
 

 

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