COVID-19の感染拡大で上場企業の約半数が製造に支障(2020年4月4日付けバロール紙)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、経済・社会の危機的状況を乗り越え見通しの立たない不安定な状況に対処するため、製造ラインの停止や生産の縮小を決定した会社がこの数週間で増加した。過去1か月間にパンデミックに関する声明を有価証券取引委員会(CVM)に送付した上場企業116社の内48社が、店舗の閉鎖や工場の操業の停止、工事の中断、生産水準の引き下げといった対策に言及している。

これらの経営判断は、自動車メーカーのような非上場の大企業が採用した対策とほぼ同一のものである。集団休暇を実施するなどして過去1か月で生産活動の全面休止あるいは部分的な休止を発表した企業にはフォードとスカニア、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)、フォルクスワーゲン(VW)、ホンダ、ルノー、日産、トヨタ、BMWが名を連ねている。

上場企業で見ると、最初に生産活動の縮小を発表したのは小規模の金属工業と自動車及びその他の業界向けの部品・コンポーネントのメーカーで、これに衣料・シューズ・メーカーが続いた。店舗とレストランの閉鎖は地元自治体による検疫隔離措置の判断に従って実施に移行した。

最近では、ペトロブラスとエンブラエルのような巨大企業まで事業活動を縮小し始めている。例えばペトロブラスの場合、4月4日から10万バレル/日の新たな減産に踏み切る。さらに同社は、2万1,000人の従業員を対象に労働時間を8時間から6時間に短縮することも決定、製油所の稼働についても「燃料需要に即した」ものに調整する。

約1週間にわたって業務を中断し3月30日に業務を再開していたエンブラエル(Embraer)は、集団休暇を4月13日まで延長することを決定した。サンパウロ州のサン・ジョゼ・ドス・カンポス(São José dos Campos)市の金属労組によると、同社は後日導入される労働体制についての交渉を希望しており、工場では、航空機の修理用部品に加えてCOVID-19の感染者に使用される人工呼吸器のコンポーネントの生産に従事する人員のみを製造ラインに立たせ続ける方針。残りの労働者は、自宅にとどまる。

より抜本的な対策がある中で、従業員の解雇はだいぶ部分の企業は協議の俎上にあげもしていない。例えばロージャス・レンネル(Lojas Renner)は、COVID-19の流行とは無関係に実施していた普通解雇を停止した。

他方、KFCとピザハット、フランゴ・アッサード(Frango Assado)などのレストラン・チェーンを展開するIMCは、国内の従業員の30%に相当するおよそ2,100人を削減した。道路用危惧や輸送用及び産業用冷蔵設備を製造するレクルスル(Recrusul)は、リオ・グランデ・ド・スル州政府の異常事態宣言が続く場合、雇用契約の一時的な凍結を検討していることを明らかにしている。

CVMは企業に対して、パンデミックが自社の企業活動に与えかねない可能性を「慎重に」評価しその影響を市場に通知するよう勧告した。3月10日のこの勧告を受けてすでに116社が、この問題について声明を発表している。

危機対策委員会の設置

集団休暇の前倒しの実施や事業所の閉鎖、労働時間の短縮といった緊急対応に必要な計画の策定に責任を持つ危機対策委員会の設置は、パンデミックに直面する企業が採用する対策の中で最も一般的なものになっている。上記116社の内59社がこの種の委員会を社内に設置している。

例えば学校法人のアニマ(Ânima)の場合、1日に最低1回の頻度で5人の理事と感染症の専門医がオンライン会議を実施し、14万人の生徒と従業員を抱える同社の活動にCOVID-19が与える影響を分析、未曽有の事態にどのように対処すべきかを協議している。同社は、イタリアをはじめ欧州で感染が拡大、自社の計画に影響が出始めた2月末にこの会議を立ち上げた。(2020年4月4日付けバロール紙)
 

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=47047