国際通貨基金(IMF)は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年の世界経済は1929年の世界大恐慌以降では最悪の経済リセッションに陥落すると警告している。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化は、2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機より壊滅的な影響を及ぼし、1930年以降では世界経済は最悪の経済リセッションに陥る疑う余地がないと警告している。
2020年の世界全体の経済成長率は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で,マイナス3.0%まで大幅に落ち込むという見通しを国際通貨基金は発表。またブラジルの今年のGDP伸び率は、世界平均のマイナス3.0%を大幅に上回るマイナス5.3%を予想、2021年は2.9%増加に反転すると予想している。
今年のブラジルのGDP伸び率は、ラテンアメリカ諸国並びにカリブ諸国の平均GDP伸び率のマイナス5.2%を上回り、また2021年は平均GDP伸び率3.4%増加を下回る2.9%増加に留まると予想している。
ブラジルの2020年のGDP伸び率はマイナス5.3%にも関わらず、1月の予想を7.5%下回っている。また先進諸国の今年のGDP伸び率は、1月予想を7.7%下回るマイナス6.1%が予想されている。
2021年の米国、ヨーロッパ連合並びに日本を含む先進諸国の平均GDP伸び率は、今年1月予想の2.9%増加を大幅に上回る4.5%増加予想。来年のブラジルのGDP伸び率は1月予想を0.6%上回る2.9%増加に留まると予想している。
IMFの今年のブラジル経済の見通しは、中銀や連邦政府の楽観的な見通しよりも厳しい。中銀の最終フォーカスレポートでは、今年のブラジルのGDP伸び率はマイナス1.96%に下方修正しているが、新型コロナウイルス感染拡大中の約1か月前の予想はマイナス0.02%と楽観的な予想であった。
またIMFの予想では今年のブラジルは1901年以降では最悪の経済リセッションに突入するが、近年では1990年のコロールIプラン時のマイナス4.35%が最悪の経済リセッションであった。
また今年のブラジルの失業率は14.1%と昨年の失業率11.9%を大幅に上回ると予想。2021年のブラジルの失業率は、13.5%とヴェネズエラを除いて南北アメリカで最悪の失業率が予想されている。今年の米国の失業率は鰻登りの様相で10.4%と二桁台に達すると予想されている一方で、過去50年間で最も低かった失業率は3.7%前後であった。
今年の世界の一人当たりの平均GDPはマイナス4.2%に対して、ブラジルはマイナス5.9%予想。2021年のブラジルの一人当たりの平均GDPは2.2%増加予想も、2014年以降の伸び率は記念するほどではない。
今年1月に中国武漢での新型コロナウイルス発生、ヨーロッパ諸国での感染拡大時のIMFのクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は今年の世界経済の平均伸び率は3.3%増加、2021年は3.4%を予想した一方で、米中貿易摩擦を憂慮していた経緯があった。
14日の世界中の新型コロナウイルス感染は200万人、死亡は12万人に達している。2020年~2021年にかけて世界のGDP損失 は9兆ドルに達し、日本とドイツを合わせた経済規模を上回るとIMFチーフエコノミストのGita Gopinath氏は指摘している。
ヨーロッパ連合では新型コロナウイルス感染で3月からイタリアやスペインで毎日死亡数が増加、今年のヨーロッパ連合の平均GDP伸び率はマイナス7.5%、来年は4.7%増加が予想されている。
新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、世界経済は経済リセッションに陥るにも関わらず、今年の中国並びにインドのGDP伸び率はプラス予想、今年の中国のGDP伸び率は、1月の予想よりも4.8%低い1.2%増加、来年は9.2%増加。インドは1.9%、7.4%それぞれ増加予想。
今年の世界貿易は前年比11.0%減少予想、2021年の世界貿易は一部の回復が牽引して8.4%増加。今年の新興国の輸出はマイナス9.6%、来年は11.0%と二桁台の伸び率が予想されている。今年の石油の国際コモディティ価格は42.0%下落、石油以外の平均コモディティ価格は1.1%減少、また来年は更に0.6%減少が見込まれている。(2020年4月14日付けエスタード紙サイトから抜粋)