パンデミックによる世界経済の停滞で企業が発注品の納期先送りを模索(2020年4月15日付けバロール紙)

ウィンディー・シティー・ノベルティーズの社長を務めるジェフ・シュライマー氏は、1か月前、中国で迅速に発送作業を進めるために追加料金を支払った。だが今、同氏は、納期を遅らせるために追加料金を支払うことも厭わない。

ウィンディー・シティー・ノベルティーズにとって2020年の年明け数か月は、番狂わせに動転が続いた日々だった。中国の工場が強制的に稼働を停止させられた後、パーティー用品の在庫がほぼ払底した。

ところが3月に入るとアメリカ国内の大部分で不要不急の外出を控えるよう呼びかけられ、同社の収入は80%もダウン。シュライマー氏は、従業員の解雇を余儀なくされた。発注した中国製品が貨物船で到着するまでに30日を要するが、当初は遅すぎると受け止めていたこの日数が、今では早すぎるという状態になっている。

コンテナにして50本から100本に相当する製品を四半期毎に輸入しているシュライマー氏は、「中国国内だろうと洋上だろうと、あるいはロサンゼルスの港湾に到着するまでだろうと、何らかの事情で輸送に遅れが生じれば、どのようなものであれ当社にとって助けになる」と話す。「コンテナの中に留まる日が1日でも増えれば、この暴風雨を乗り切る支援材料だ」という。

シュライマー氏が抱える問題は、衣料品や家具など様々な品目でアメリカとヨーロッパの多くの企業が直面、実感している。

運賃をモニタリングするフレイトスのイーサン・ブックマン氏によると、西側諸国の企業は3月まで、中国国内で工場の操業が一時的に停止した後、「なりふり構わずに輸入しようとしてきた」。だが今、まさに輸入に邁進してきた企業が、極めて深刻なリセッションへの備えを進めているのだという。

物品の輸送を意図的に遅らせることは、「スロー・ストリーミング(slow steaming)として知られる。4月には、それまで「至急便だ」と言っていた100社以上の海運会社が、コスト削減と温室効果ガスの排出量を「劇的に削減」できると主張して多くの製品の輸送ペースを遅らせている。

通常、世界貿易の90%を占め海上輸送に依存する企業は、このような主張に反対する側にいる。ところが、ロジスティクス会社のアジリティー(Agility)でグローバル・ビジネス・デベロップメントを担当するムハンマド・エサ氏によると、現在ではこれらの企業からコンテナが「洋上を移動する倉庫」という扱いを受けていると話す。

物が到着すれば直ちに、保管費用と輸送費用を支払うことが輸入業者の責務となる。「このため、到着までに日数を要すれば要するほど、現時点でその商品を持ち込める場所を持たない彼らにとっては好都合なのだ」とエサ氏は話す。

世界経済はすでにリセッションの瀬戸際にあり、海運会社は今、この特異なニーズに対処している。

マースクとMSC(Mediterranean Shipping Company)という世界の海上輸送の大手2社は、企業が希望しない貨物を世界中のより安価な場所で保管できるようにする「トラフィックの停止」というオプションを提供している。MSCの場合、保管場所として韓国の釜山とトーゴのロメ、パナマを含めた6か所を提供している。

万が一にも経済がV字回復した場合、これらの企業は迅速に在庫を回復させることが可能になる。だがそれまでは、人員不足で値上がりした当地よりも安価な保管料を支払うことになる。(2020年4月15日付けバロール紙)

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