新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで国内の自動車販売市場がほぼ完全に停止しており、4月上旬15日間の販売は、前年同期比-83%という大幅な落ち込みを記録した。
ただし、この状況がすべて逆風というわけではない。韓国系自動車メーカーの現代自動車は、新車販売台数別に見たシェアで2020年3月まで4位だったが、4月上旬は2位に浮上した。さらに同社の販売するHB20は、車種別販売台数で5位からトップに浮上、4年にわたって1位に君臨してきたゼネラルモーターズ(GM)のOnixを追い抜いた。
ランキングのこうした変化は、直販契約のおかげである。4月最初の15日間、国内の大部分のディーラーが営業を停止し、消費者はCOVID-19の感染を避けるために外出を控えた。
だがこうした状況でも自動車メーカーは、大量の車両を運用する大口顧客への販売を継続した。現代自動車では、4月上旬にこの直販比率が73%を記録した。同社のアンジェル・マルティネス営業担当副社長によると、最大の顧客は、同社が複数年契約を交わして年間の納入計画に基づいて車両を納入した、レンタカー会社のモビーダである。
こうした事情はあったものの、4月上旬の乗用車と小型商用車の販売台数は1万6,000台前後にとどまり市場そのものは低迷している。前年同期の新車登録台数は、9万6,000台である。4月上旬の水準は、その前の数か月間の平均の5分の1という状況で、その一部はオンライン販売だったとマルティネス副社長は言う。
同副社長によると、4月の前半はディーラーの営業を認めた地方自治体の店舗ですら、販売実績は振るわなかった。「店舗に足を運ぶ消費者は、1日に5人にも満たなかった」と同副社長は話す。
マルティネス副社長はまた、今回のパンデミックによる危機の特徴を考慮し、消費者の購買意欲を煽るような自社ブランドの宣伝や特売キャンペーンを認めていないことを明らかにした。「今は顧客を、収入の90%あるいは100%を失った人々を尊重する時だ」と同副社長は指摘した。
消費者向けに割引や長期ローンのような目を引く広告をする代わりに、現代自動車は、人工呼吸器の修理や保健サービスやコミュニティーで使用される車両の修理といった連帯活動をPRしている。
現在、現代自動車はサンパウロ州ピラシカーバ市の工場で2,500人の従業員を対象に3月26日から集団休暇を実施して製造ラインを停止中だ。当初は4月13日から再稼働する予定だったが、少なくとも4月27日まで操業再開を見合わせると発表している。(2020年4月16日付けバロール紙)