新型コロナウイルスパンデミックで世界的な肥料の需要減少に伴って、肥料会社Yaraはミナス州のセーラ・ド・サリトレ肥料鉱山の大幅な投資計画の見直しを余儀なくされている。
植物栄養素としての窒素、リン酸並びにカリウムで構成される肥料の三要素のリン酸鉱の大型プロジェクトであるセーラ・ド・サリトレ肥料鉱山の開発が軌道に乗れば、ブラジルはリン酸鉱の輸入する必要がなくなり、ブラジル農業の競争力をさらに高める重要なプロジェクトであったが、新型コロナウイルスパンデミックの影響で世界的な肥料の需要減少に伴って、開発の中止を余儀なくされている。
ノルウェーに本社を置く世界有数の硝酸化成肥料・硝酸カルシウム肥料メーカーYara社は、新型コロナウイルス危機でブラジル国内での肥料開発プロジェクトのセーラ・ド・サリトレ肥料鉱山の生産開始は、3か月間~6か月間先送りするとブラジルYara社のLair Hanzen社長は説明している。
ブラジルYara社は、セーラ・ド・サリトレ肥料鉱山向け投資総額26億レアルの半分をすでに投資しており、生産開始は2021年最終四半期にずれ込む。また「サリトレ肥料鉱山の労働者の80%はミナス州以外の労働者で解雇を余儀なくされる」とLair Hanzen社長は説明している。
またブラジルYara社は南大河州でもリン酸鉱を生産しているが、生産の倍増計画や鉱山設備の近代化計画の今年の最終四半期への先送りを余儀なくされている。
2020年のブラジルの肥料業界は前年比2.0%~3.0%増加が見込まれていたにも関わらず、パンデミック危機の影響によるサトウキビ、綿並びに蔬菜類、南大河州の旱魃などの要因で肥料の需要減少すると予想。2019年の肥料生産は2.0%~5.0%増加の3,620万トン~3,730万トンが見込まれている。
2020年/2021年の収穫プランでは生産者向けクレジット拡大が必要となっているが、「与信厳格化の上に金利高」とパラナ州協同組合組織(Ocepar)のFlávio Turra技術部長は説明。パラナ州農畜産業界では今年7月~来年6月まで2,510億レアルのクレジットが必要となっている。
パンデミック危機の影響で、3月20日から2,192件の農村向けクレジットオペレーションを先送り、そのうち酪農や蔬菜・果樹栽培従事の中小規模の生産者向けは71%を占めているとSicredi社のGustavo Freitas専務は説明している。
パンデミック危機の影響で、農畜産業界の先行き見通しが不透明なために、投資決定の道標となる農畜産フェアの開催が先送りされているために、クレジット枠縮小に繋がっている。Sicredi社は2019年/2020年の収穫プラン向けクレジットは前年比22.6%増加の31億レアルに達していた。(2020年4月20日付けエスタード紙サイトより抜粋)