現在の石油価格では、業界の中小企業は2週間で寿命が尽きる

新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)で、世界中の石油は大きく需要が減っており、現在の開発コスト割れの石油価格はブラジル石油業界の1万3,000人が雇用を失い、業界の中小企業は僅か2週間で倒産に追い込まれるとブラジル独立石油生産者協会(Abpip)では悲観的な予想をしている。

現在の石油の国際コモディティ価格が継続するならば、ブラジル国内の石油生産企業は最高でも2週間の寿命と予想されている。今月21日の欧州でベンチマークとなっている1バレル当たりのロンドンでのブレント原油価格は、20ドルを割るほど大幅に落ち込んでいる。

21日のアメリカの原油価格を示すウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、43%下落で1999年以降の最低価格を記録。米国内の貯蔵施設は供給過剰への対応に苦慮しており、価格をさらに押し下げている。

石油の国際コモディティ価格のコスト割れのシナリオが継続すればブラジルの石油関連業界の1万3,000人が失業すると、小規模の80油田で1日当たりの総生産量が1万バレルにしか満たないブラジル独立石油生産者協会(Abpip)のAnabal Santos Júnior氏は,悲観的な見方をしている

バイア州都サルバドール市近郊Catu市の陸上油田で石油を生産しているEnergizzi社は、石油の国際コモディティ価格がコスト割れレベルまで低下しているために、石油生産停止を発表している。

ブラジル国内の陸上油田の石油生産規模は非常小さく、北東部地域の小さな市町村での石油生産が大半であるにも関わらず、地域の雇用並びに商業の活性化に貢献している。

ペトロブラス石油公社の生産する石油価格は、国際コモディティ価格にリンクしているものの、規模の小さい陸上油田で生産された原油はリンクしていない。独立系石油会社の石油はペトロブラスが石油クオリティによって買取価格を決定するが、1バレル当たり10ドルにしかならない場合もある。石油の国際コモディティ価格が20ドル前後であれば、独立系石油の買取価格は10ドルで生産コスト割れで採算が合わなくなる。

新型コロナウイルスのパンデミックによる世界中の石油の需給バランスの崩壊並びに原油生産量2位のロシアと3位のサウジアラビアによる協調減産が破綻で、両国は市場シェア拡大のための低価格競争に突入して、石油の国際コモディ価格下落に歯止めがかかっていない。

今年3月にブラジル独立石油生産者協会(Abpip)は鉱山エネルギー省(MME)に対して、ブラジルの石油生産業界の救済目的で規制緩和など15項目の要請案を提示した。ペトロブラスなど大手石油生産会社に課している10%のロイヤリティよりも低いロイヤリティ率を要求している。(2020年4月21日付けエスタード紙サイトより抜粋)

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