ボーイングとエンブラエルは民間機事業統合中止を発表

今月25日、ボーイングとエンブラエルは計画していた民間機事業の統合中止を発表した。2017年12月ごろから2年以上交渉を続けてきたにも拘らず、基本合意の期限である24日までに交渉がまとまらなかった。

ジョイントベンチャー計画では、2019年に4億8550万レアルを投資して民間機事業の新会社「Boeing Brasil – Commercial」の株式をボーイングが80%、残り20%をエンブラエルで合意。エンブラエル社は新シリーズE2の販売不振シナリオの上に、新型コロナウイルのパンデミックで航空機業界が壊滅的な打撃を被っている。

航空業界関係者の話では、ボーイングはワシントンに援助を求めたように、エンブラエルは連邦政府による救済が必要、また他社への民間機部門の身売りが必要となっている。例えば航空機業界で頭角を現したい中国民間航空機(Comac)は最大のチャンスと見込まれている。エンブラエルのFrancisco Gomes Neto社長は、土曜日の従業員あてのビデオメッセージでは、「当社の充分な運転資金とクレジットのアクセスで事業継続に不足なし」と説明していた。

競合のエアバスは、カナダのボンバルディアが開発した小型旅客機「Cシリーズ」の製造や販売を担う事業会社「CSALP(C Series Aircraft Limited Partnership)」を2018年7月に買収。ボンバルディアがCシリーズ開発で経営不振に陥ったためで、エアバスは2018年7月10日にCシリーズをA220に改称し、自社のラインナップに加えた。

エンブラエルはボーイングとの契約中止で、巨大企業相手に競争を余儀なくされるが、E2の新シリーズ開発に17億5000万ドルを投資したにも拘らず、航空機業界自体の需要が弱く、E2の需要も芳しくない。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えており、各航空会社は大幅減便や運休などで対応しているものの感染の終息は見通せず、金融市場でも信用力への懸念が出てきている。

コンサルタント会社Bain & Companyは、エンブラエルが生産している小型ジャット機の需要がコロナウイルス発生前のレベルに回復するのは2021年最終四半期になると予想している。(2020年4月26日付けエスタード紙サイトから抜粋)

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