2020年の中央政府並びに地方政府(州並びに市)を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、コロナウイル感染拡大による人的損害予防のための保健衛生部門や失業拡大防止などの緊急救済措置の天文学的な支出を余儀なくされているために、6,000億レアルの赤字に達すると予想されている。
コロナウイルのパンデミック危機で、今年のブラジル政府の財政プライマリー収支は、GDP比8.0%に相当する6,000億レアルの赤字計上を余儀なくされ、統計を取り始めた2001年以降では最悪の赤字になると29日発表の国庫庁の試算結果で明らかになっている。
2019年のブラジル政府の財政プライマリー収支は618億7,200万レアルの赤字計上。2020年の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支の許容目標赤字は1,241億レアルとなっていた。
しかし新型コロナウイルス感染拡大対応の非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)で、今年の財政プライマリー収支は、連邦政府の予算基本法で定められた財政プライマリー収支の許容目標赤字1,241億レアルに収める必要がなくなっている。
すでに国会に送られている2021年度の予算ガイドライン(PLDO) では、連邦政府は2021年から各省庁が自由に定義できる非強制的な支出である裁量的支出は、再び予算基本法に沿った公的支出制限を余儀なくされる。
コロナウイル感染の影響を受けた今年3月の財政プライマリー収支は211億7,100万レアルの赤字を計上したものの、昨年3月の財政プライマリー収支の210億870万レアルの赤字を僅かに上回るに留まった。
今年初め3か月間の財政プライマリー収支は29億800万レアルの赤字を計上、しかし昨年3月の財政プライマリー収支の92億8,800万レアルの3分の1以下に留まっている。
今年初め3か月間の財政プライマリー収支赤字が29億800万レアルに留まった要因として、公的機関の債務回収、司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの支払いスケジュール変更を国庫庁のマンスエット・アルメイダ長官は指摘している。
「今年3月の裁判所による連邦政府の支払い義務であるプレカルトリオがなかったが、仮にあったのであれば今年初め3か月間の財政プライマリー収支赤字派昨年同期より赤字幅が拡大していた可能性があった。今年のプレカルトリオによる支出は100億レアル」をマンスエット・アルメイダ長官は見込んでいる。