今年3月の鉱工業部門生産下落、小売部門の販売壊滅並びにサービス部門縮小などすべての産業部門が受けたダメージは2020年第1四半期のGDP伸び率を奈落の底に落とした。
COVID-19パンデミック危機が顕著になった3月下半期から開始された各地方政府による外出自粛令並びに必需品以外の営業自粛要請で、消費の需要低下、生産中止、困難なクレジットのアクセス並びにロディスティック問題などの要因で、多種多様な部門で壊滅的なダメージを受けている。
Valor Data社の48金融機関対象の調査によると、2020年第1四半期のGDPの平均伸び率は前四半期比マイナス1.5%を記録して、経済リセッションの兆候となっている。
2020年のGDP伸び率はマイナス6.3%の予想も日一日と今年の経済シナリオは悪化しており、今年第2四半期は外出自粛令の延長並びに死亡率が改善していない州都でのロックダウン強化、混乱している政治危機、財政悪化並びに歳入減少などの要因で、第2四半期のGDP伸び率は更に悪化すると予想されている。
今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は前四半期比1.5%増加が予想されており、今年の農畜産部門のGDP伸び率は前年比2.3%増加が予想されているにも拘らず、農畜産部門のGDPの比重は
一方サービス部門のGDPの比率は全体の70%を占めて影響が大きい。
今年第1四半期のサービス部門のGDP伸び率はマイナス1.3%が予想されており、2016年第4四半期のGDP伸び率のマイナス0.6%以来野マイナスを記録すると予想されている。
また今年第1四半期の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス1.4%予想、一般消費のGDP伸び率はマイナス1.3%、今年第1四半期の投資部門のGDP伸び率はマイナス0.5%、今年はマイナス11.7%と二桁台の落込みが予想されている。今年第1四半期の輸出はマイナス1.2%、輸入は4.2%増加している。
ブラジルCITI銀行エコノミストのLeonardo Porto氏及びPaulo Lopes氏は、今年のブラジルの経済リセッションは2008年~2009年の金融危機時の2倍相当のマイナス6.5%と予想。またパンデミック危機前のピーク時と最悪期のGDP伸び率はマイナス11.0%の開きがあり、今年第1四半期のGDP伸び率はマイナス1.5%を予想している。
今年の一般消費、公共支出並びに公共投資を合わせた内需のGDP伸び率はマイナス8.3%予想。特に民間消費はマイナス8.7%、民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門はマイナス15.3%をCiti銀行のエコノミストは予想している。
MZK Investimentos社チーフエコノミストのLuis Fernando Azevedo氏は、パンデミック危機が今年第1四半期のGDP伸び率に与えたマイナス1.3%のインパクトは以前に発生した危機よりも大きい。パンデミック当初は、2018年5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモ程度で早く終息すると楽観的な見方をされていた。
ロックダウンが解除された中国の都市では市民生活が徐々に正常の戻りつつあるが、「ブラジルでは市民が失業を恐れて消費を控え、極力預金に回しているために、今後数か月間に亘って消費は活性化しない。第1四半期の一般消費はマイナス0.7%」とMZK社は予想している。
今年3月の鉱工業部門のGDP伸び率は、耐久消費財並びに資本財が牽引して前月比マイナス9.1%、第1四半期の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス0.9%、そのうち鉱業部門はマイナス4.1%、製造業部門はマイナス1.4%、建設業部門はマイナス0.9%となっている。
金融機関並びにコンサルタント会社の17アナリストの今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は1.5%増加、今年は2.3%増加、前期同様に鉱工業部門はマイナス1.4%、マイナス6.0%、サービス部門はマイナス1.3%、マイナス5.3%、一般家庭消費はマイナス1.3%、マイナス5.0%、連邦政府の支出は0.3%増加、1.1%増加、投資はマイナス0.5%、マイナス11.7%、輸出はマイナス1.2%、マイナス5.1%、輸入は4.2%増加、マイナス9.2%となっている。