パンデミックの影響で今年下半期からM&A件数は増加か(2020年6月1日付けヴァロール紙)

新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、今年4月の企業の買収・合併(M&A)案件が減少したとコンサルタント会社PwC Brasil 社は説明している。

しかしパンデミック終焉後のブラジル国内経済の回復に伴って、2020年以内には、パンデミックで打撃を受けた業界や企業を中心に2016年~2018年のM&A件数を上回る1,000件を超える過去最高の企業の買収や合併案件が成立すると予想している。

今年4月のM&A件数は前年同月比31%減少の46件に留まったが、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が3月11日の定例記者会見で「新型コロナウイルスはパンデミック(世界的大流行)」と認める声明の発表前までは、記録更新が予想されるM&A件数が成立していたとPwC Brasil社のLeornado Dell’Osoパートナーは説明している。

今年4月のM&A件数は前年同月比31%減少の46件に留まったが、2018年の42件を上回った一方で2017年の48件を僅かに下回り、4月のM&Aの46件数はパンデミックの影響を受けたにも拘らず、ポディティブシグナルとなっている。

他国のPwC支社の調査によると、COVID-19パンデミックの影響で今年4月のM&A案件は軒並み20%~40%減少しているにも関わらず、ブラジルの46件のM&A案件は好調に推移している。Dell’Oso氏は来年初めにM&A案件は1,000件に達するが、年内のM&A案件成立は700件~800件と昨年の912件を下回ると予想、2015年~2018年の年間平均M&A案件660件は上回ると予想している。

新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、必需品以外の営業自粛要請で壊滅的な影響を受けてファイナンスで苦慮しているホテル、バー並びにレストラン業界でのM&A案件が活性化すると予想されている。

また医療保健業界のM&A案件の活性化も予想されており、特に医療相談や手術などの先送り、コロナウイルス感染による長期間の集中治療室(ITU)の利用による収益減少などの要因で、病院並びに保険業界の業界再編に繋がるM&A案件の活性化が予想されている。

レアル通貨に対するドル高の為替や株価の下落は、海外投資家にとってブラジル企業を安価で購入できるM&A案件はまたとないチャンスとなっているために、パンデミック終焉後のM&A案件の活性化が見込まれている。

今年初め4か月間の海外投資家によるブラジル企業のM&A案件は62件と年間換算で10%に留まっているが、今年初め4か月間のM&A案件の76%はブラジル人による買収であった。

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