COVID-19パンデミック危機の影響で、民間企業のサラリーマンや自営業者の失業率の急増並びに所得減少で、今年の社会保障院(INSS)の赤字拡大が予想されている。社会保障院(INSS)の2020年の収支は、パンデミック危機による351億8,200万レアルの歳入減少に伴って2,764億9,500万レアルの赤字に拡大すると予想されている。
民間企業のサラリーマンなどの失業率の増加並びに所得減少の影響で、今年の社会保障院の歳入は当初予想よりも約340億レアルの減少を余儀なくされるため、今年の社会保障院の赤字幅の上方修正を経済省経済担当では予想している。
経済省ではパンデミック危機の影響で、主に歳入減少による影響が大きいが、歳出の拡大はそれ程影響しないと予想。パンデミック危機の影響で、歳入は当初予想の4,360億レアルから4,020億レアルに下方修正した一方で、歳出は6,777億レアルから6,789億レアルと僅か12億レアルの増加を予想している。
元財務省経済担当長官でジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のアナリストのエコノミストのManoel Pires氏は、年金受給申請の増加、失業保険受給者の増加並びに勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(BPC)の増加による社会保障院の歳出増加を指摘している。
社会保障関連スペシャリストでサンパウロ州立大学経済学部のLuis Eduardo Afonso教授は、パンデミック危機の影響で、今年4月のINSSの歳入総額は、前月比で87億レアル減少を指摘している。
不透明なパンデミック危機の終焉、処理しきれない年金需要申請数並びに昨年の年金改革のインパクトなどの要因で、今年の社会保障院の収支予想は、非常に困難とAfonso教授は指摘している。