パンデミック危機で投資先不透明も収益性が低いが安全なポウパンサ預金に投資金流入(2020年6月5日付けエスタード紙)

新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、過去に事例がないほどのハイリスクハイリターンの可能性がある金融投資が存在するにも拘らず、小規模投資家は、パンデミック直後から安全港として知られている投資収益率が非常に低いポウパンサ預金に流れている。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が3月11日の定例記者会見で「新型コロナウイルスはパンデミック(世界的大流行)」と認める声明の発表で、世界中がパニックに陥った今年4月のポウパンサ預金への預金高2,154億レアルから引出額1,849億レアルを差し引いた純預金額は、305億レアルに達して月間記録を更新した。

また今年5月のポウパンサ預金への預金高から引出額を差し引いた純預金額は、372億レアルに達し、4月の305億レアルを65億レアル上回って2か月連続で月間記録を更新している。今年初め5か月間の純預金残高は639億レアルに達している。

今年初め2か月間のレアル通貨に対するドル高の為替、記録的な株価の上昇などの要因で、ハイリスク・ハイリターンの投資先に大きな資金が流入した一方で、ロウリスク・ロウリターン商品のポウパンサ預金は、引出額が預金額を159億レアル上回っていた経緯があった。

しかしブラジル国内での新型コロナウイルス感染拡大に反比例して、投資シナリオが一変して反転、多くの投資家は、3月後半からポウパンサ預金に資金を逃避しだした結果、3月のポウパンサ預金の純預金額は122億レアルとプラスを記録した。

4月7日から開始されたコロナバウシャー(Coronavoucher)と呼ばれる緊急補助金政策の第1回補助金支給総額313億レアルからポウパンサ預金に流れたことも純預金額の増加の一因となっている。

緊急補助金政策の補助金以外にも、3月の銀行間預金ファンド(DI)など確定金利付きファンドの収益性の悪化がポウパンサ預金に流れた要因となっている。

ポウパンサ預金の金利計算は、政策誘導金利 (Selic)の年利が8.5%以下の場合は、月間0.5%の固定金利(年利換算6.17%)プラス過去2年以上継続している0.0%の参考金利(TR)となっている。

現在の政策誘導金利(Selic)は3.00%であり、ポウパンサ預金の年利は2.10%。月利は0.17%となっている。しかし中銀のフォーカスレポートでは今年末のSelic金利は2.25%を予想しているために、ポウパンサ預金の年利は1.58%、月利は0.13%まで減少する可能性がある。

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