2020年4月のアルゼンチンの中国向け輸出総額は、前年同月比50.6%増加の5億900万ドル、一方ブラジルの同国向け輸出総額は、マイナス57.3%の3億8,700万ドルに留まり、アルゼンチンが中国向け輸出では初めてブラジルを上回った。
今年4月の中国のアルゼンチン向け貿易収支は、9,800万ドルの黒字を計上したとブラジル地理統計院(IBGE)のアルゼンチン版に当たる国家資料調査院(Indec)は発表している。一方ブラジルの中国向け貿易収支は1億3,200万ドルの赤字計上を記録している。
今年初め4か月間のブラジルのアルゼンチンとの貿易収支は7,500万ドルの黒字を計上したが、中国との貿易収支は10億ドルの赤字を計上している。今年初め4か月間のアルゼンチンからブラジルへの輸出は前年同期比22.0%減少の26億6,000万ドル、中国からの輸出は4.4%増加の12億ドルであった。
中国は為替危機のアルゼンチンからの輸入に対する柔軟なファイナンス対応、一方でボルソナロ政権の中国政府批判などで両国関係がぎくしゃくしており、今後数か月間に亘ってアルゼンチンの中国向け輸出は、ブラジルを上回ると予想されている。
アルゼンチンの消費市場は小さいにも拘らず、パンデミックから一早く回復している中国にとっては、世界中の消費市場拡大のまたとないチャンスであり、輸入品については最大75%の割引を中国政府は承認しているとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。
短期的にはブラジルコスト削減は難しい一方で、中国のコストも高いが減少する見通しであり、ブラジルが中国の南米進出を放置すれば、中国製品が南米を席捲するとカストロ会長は警告している。
ブラジルとアルゼンチンとの貿易は自動車並びに部品が牽引、しかし為替危機に続いてCOVID-19パンデミック危機の影響、またアルゼンチン政府による輸入制限措置の影響で、1万台の大半がブラジル製の自動車が港湾で荷揚げを待っている