COVID-19パンデミックの影響で、世界の貿易は縮小しているにも関わらず、2020年上半期のブラジルの輸出は、中国向け輸出が前年同期比14.6%増加の343億5,000万ドルを記録、一方中国以外の輸出は15.2%減少している。
経済省の輸出データーを基にしたBarclays社の発表によると、今年上半期の輸出総額は、COVID-19による世界的な経済リセッションの影響で二桁台の落込みが予想されていたが、中国向け輸出が好調に推移したために前年同期比7.1%減少に留まっている。
今年上半期の中国向け輸出比率は、全体の34.0%と前年同期の27.0%から大幅に上昇、統計を取り始めた2000年以降では最高の輸出比率に上昇している。今年上半期のブラジルの貿易収支の223億レアルの黒字のうち、中国の貿易収支は177億ドルの黒字を計上して貿易黒字の80%を占めている。
COVID-19パンデミックや米中貿易摩擦が継続しているにも関わらず、レアル通貨に対するドル高の為替継続並びに中国向け輸出の継続で、今年の下半期もブラジルの貿易収支は黒字になると予想されている。
COVID-19パンデミックから一早く回復した中国の経済も回復サイクル入りしており、今年上半期のブラジルからの大豆輸出は前年同期比31.0%増加、鉄鉱石輸出も27.0%増加している。
今年第1四半期の中国のGDP伸び率は、COVID-19パンデミックの影響でマイナス6.8%を記録したが、第2四半期のGDP伸び率は、3.2%増加に反転してV字型の回復している。ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の7月のマクロ経済レポートによると、今年第4四半期の中国のGDP伸び率は5.5%増加、今年のGDP伸び率は1.2%増加が見込まれている。
A.C. Pastore & Associados社チーフエコノミストのパウラ・マガリョンエス氏は、今年の貿易収支黒字はレアル通貨に対するドル高の為替で、輸出競争力の上昇並びに国内経済の停滞による輸入減少に伴って、昨年の480億ドルを200億ドル上回ると予想している。
Tendências Consultoria社エコノミストのシルヴィオ・カンポス氏は、COVID-19パンデミックによる予想以下の輸出の落ち込み幅並びに予想以上の輸入の減少で、今年の貿易収支は当初予想の490億ドルから550億ドルに上方修正している。Barclays社は今年の貿易収支は530億ドルの黒字を予想している。