連邦政府によるCOVID-19パンデミック対応の月額600レアルの緊急補助金(auxílio emergencial)支給で、2020年の小売業界の売上は、前年比マイナス13.8%予想からマイナス6.7%予想に修正、売上減少総額は、1,410億レアル、小売業界の98万人相当の雇用減少をサンパウロ州商業連盟(Fecomercio-SP)では予想している。
緊急補助金(auxílio emergencial)は非正規雇用者、シングルマザーなどの女性の世帯主、個人・零細企業主、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)申請者の救済目的で連邦政府が4月から実施している。
「パウロ・ゲデス経済相は、一時的にパウロ・ケインズになった」と、全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)のチーフ・エコノミストのカルロス・タデウ・デ・フレイタス氏は、雇用を創出し、消費を奨励する経済における国家の役割を提唱した英国のジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946)の名前の語呂合いで説明。ケインズの経済理論は不況や失業を克服するためには、政府が積極的に経済に介入するべきであるとの立場をとり、1970年代までマクロ経済学の主流をなしていた.
今年の小売業界の売上はCOVID-19パンデミックの影響で、昨年よりも1,410億レアルの減少が予想されている。また今年の小売店舗の閉鎖は20万2000店舗が見込まれているが、そのうち19万7,000店舗は小規模店舗に集中、また98万人の従業員の解雇が予想されている。
連邦政府による4月~8月の5ヶ月間の月額600レアルの緊急補助金(auxílio emergencial)が支給されていなければ、小売業界だけでなく製造業に従事している従業員の給与や雇用に更なる悪影響を及ぼしていた。
COVID-19パンデミックで最も影響を受けているのは衣料業界で、今年の衣料業界の売上は前年比25.0%減少予想。外出自粛や必需品以外の営業自粛要請があった今年4月の衣料業界の売上は、前年同月比マイナス81.0%の壊滅的な打撃を受けていた。
今年の小売業界の売上は、必需品販売で通常営業が許可されていたスーパーマーケットや薬局を除いた小売業が影響を受けているが、緊急補助金は落込み幅の減少効果に繋がっている。
経済省は今年12月までの緊急補助金支給の延長を検討しているにも関わらず、既に緊急補助金支給による臨時財政支出は515億レアルに達しているために、支給額の減少が検討されている。