Economatica社の金融機関を含まない218上場企業対象の2020年上半期の純益調査によると、3月中旬から開始したCOVID-19パンデミック対応の地方政府による外出自粛や必需品以外の営業自粛要請で、上場企業の売上下落に伴って前年同期比81.9%下落している。
大半の上場企業の第2四半期の決算発表に伴って、エコノミストの予想を上回る売上減少に伴って、悲観的な収益悪化に結びついている。
調査対象の上場企業218社の今年上半期の純益総額は、89億レアルに留まって前年同期の492億レアルの20%を下回って壊滅的な打撃を受けていると元中銀総裁のエコノミストのグスターボ・フランコ氏が創設した投資ファンドRio Bravo社のEvandro Buccini取締役は指摘している。
この調査には、8月21日までバランスシートを発表した金融機関を除外した218社を対象としているが、ペトロブラス石油公社、資源大手ヴァーレ社、石油化学ブラスケン社、スザーノ製紙、通信オイ、航空会社アズール社の決算はデータに大きな歪みを引き起こすので、サンプルから除外されている。これらの企業を含めると昨年上半期の純益総額は767億レアルに達する。
ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、今年5月第1週目の失業率は10.5%であったが、COVID-19パンデミックの影響で、7月の最終週の失業率は13.7%に上昇、8月上旬には13.3%と若干回復。過去3か月間で失業者は280万人増加して1,260万人に達している。
COVID-19パンデミックの影響は部門によって大差があり、11業種は黒字を記録した一方で、9業種は赤字を記録、2業種は前年同期よりも純益が増加している。
農畜産部門並びに漁業部門は前年同期比12.9%の二桁増加を記録、工業機械部門は11.9%増加した一方で、繊維部門、製紙・パルプ部門、製鉄業部門並びに自動車・部品部門の純益は下落している。GOL航空を含む輸送並びにロディスティック部門の第2四半期の純益は20億レアルの赤字を記録している。
今年上半期の銀行や金融機関のファイナンス部門の純益総額は、COVID-19パンデミックによるクレジット部門の不渡りに対する貸倒引当金の大幅な積み上げの影響で、前年同期比25.3%減少の166億7,000万レアルを記録している。
上場企業対象の調査結果はブラジルの一般企業の業績を反映するものではない。Magazine Luíza社やVia Varejo社は、組織化されたロディステックやオンライン販売の導入で業績が好調に推移した一方で、レストランやバールのオーナー、観光業やイベント、エンターテイメント業種は再起出来ないほどのダメージを被っているとEvandro Buccini取締役は指摘している。
今年上半期の食品・飲料部門の売上は前年同期比25.5%増加、小売販売部門は27.7%増加、健康・医療部門は24.1%増加、工業機械部門は20.6%増加、製紙・パルプ部門は13.1%増加、農畜産・漁業部門は21.5%増加、上下水道部門は7.3%増加、電力エネルギー部門は4.8%増加している。
一方売上の落込みが酷かったのは、繊維部門のマイナス32.4%、輸送・ロディステック部門マイナス12.2%、石油・天然ガス部門マイナス17.0%、自動車・部品部門マイナス10.1%、教育部門マイナス9.0%、製鉄・金属部門マイナス11.1%を記録している。
また純益が最も落ち込んだ部門は石油・天然ガス部門はマイナス75.1%、テクノロジー企業マイナス78.9%、電気電子部門マイナス72.2%、上下水道部門マイナス69.4%、食品・飲料部門マイナス68.3%、テレコン部門マイナス43.4%となっている。