9月1日ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2020年第2四半期のGDP伸び率は、前四半期比マイナス9.7%を記録して統計を取り始めた1996年以来では過去最高の落込みを記録。またジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の調査によると、調査を取り始めた1980年以降でも過去最悪のマイナス幅を記録している。
今年第1四半期のGDP伸び率は既に発表されているマイナス1.5%からマイナス2.5%に修正されており、今年第2四半期のGDP伸び率は前四半期比マイナス9.7%を記録したために、2期連続の四半期のマイナスはテクニカルリセッション入りとなり、2016年以降では初めてのテクニカルリセッション入りを記録している。
今年第2四半期のGDP伸び率がマイナス9.7%記録は、COVID-19パンデミック封鎖対策として、外出自粛や必需品以外の営業自粛などによるこれまでに経験したことがないほどの経済封鎖危機であり、過去の経済危機の要因となっているハイパーインフレ、金融バブルや海外要因とは異なるが、従業員の解雇、投資の停止、世帯収入減少、消費減少など国内総生産を二桁近くまで減少させているとリオカトリック大学PUC-Rio経済学部のEduardo Zilbermann教授は指摘している。
連邦政府によるCOVID-19パンデミック対応の月額600レアルの緊急補助金(auxílio emergencial)支給で、壊滅的な状況悪化は免れた。6月以降は緊急補助金が最貧困層の人々の収入を上げ、一時的に貧困を減らしているにも拘らず、第1四半期と比較して家計消費の12.5%の減少を防ぐことはできなかった。
MB Associados社チーフエコノミストのSergio Vale氏は、5月に今年第2四半期のGDP伸び率をマイナス17.3%と予想していたが、先週は緊急補助金支給効果や農畜産部門の牽引でマイナス9.7%に上方修正していた。
農業関連のコモディティ商品ではないが、鉄鉱石や石油など中国の需要が牽引してブラジルは恩恵を受けている。これらのセグメントを合わせた効果は、今年上半期のGDPの35%~40%を占めているとSergio Vale氏は指摘している。
国内総生産の約70%を占める今年第2四半期のサービス部門のGDP伸び率はマイナス9.7%、鉱工業部門はマイナス12.3%、民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)マイナス15.4%とそれぞれ大幅に落ち込んでいる。
2020年第2四半期のブラジルのGDP伸び率は前四半期比マイナス9.7%、国内総生産総額は1兆7,000億レアル、そのうち農畜産部門は0.4%増加、1,254億レアル、鉱工業部門マイナス12.3%、2,875億レアル、サービス部門マイナス9.7%、1兆1,000億レアル、FBCF部門マイナス15.4%、2,475億レアル、世帯支出部門マイナス12.5%、1兆レアル、政府支出部門はマイナス8.8%、3,702億レアルであった。
前期同様に第2四半期のブラジルのGDP伸び率は前年同期比マイナス11.4%、1,2%増加、 マイナス12,7%、 マイナス11,2%、 マイナス15,2%、 マイナス13,5%、 マイナス8,6%。過去12か月間では2,2%増加、 1,5%増加、 マイナス2,5%、 マイナス2,2%、 マイナス2,1%、 マイナス2,5%、 マイナス2,4%となっている。