資源大手ヴァーレ社は、鉄鉱石の国際コモディティ価格が好調に数して収益増加につながっているために、2019年1月25日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故対する保守や損害賠償などの支払い優先のために昨年から停止していた同社の株主への配当金支払いを再開すると発表している。
ヴァーレ社では来年3月に総額23億ドルに相当する122億レアルの配当金支払いを発表したが、この23億ドルは業界関係者の予想を10億ドル上回る高配当となっている。
総額23億ドルの配当金支払いは、税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す今年第2四半期のEBITDAの30%に相当する金額となっている。
今年6月末のヴァーレ社の負債総額は46億9,700万ドルと非公式目標の100億ドルの負債を大幅に下回っている。社内の経営陣は今年末の負債総額は20億ドル以下で過去20年間で最低の負債総額まで減少すると予想している。同社の配当金支払いはブルマジーニョ鉱山事故発生後は継続して支払いは先送りされていた経緯があった。
しかしブルマジーニョ鉱山事故にかかわらず、ヴァーレ社は株主に対して過去2年間に150億レアルの配当金支払いは可能であったにも関わらず、ブルマジーニョ鉱山事故に対する賠償金や鉄鉱石の国際コモディティ価格変動に備えるために、配当金支払いを停止していた。現在の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格は125ドル、ブルマジーニョ鉱山事故に対する賠償金は34億ドルを見込んでいる。
今年第2四半期の鉄鉱石の平均国際コモディティ価格は100ドルで推移、来年3月の配当金総額を最低でも30億ドルと見込んでいるが、50億ドルの配当金支払いの可能性をBradesco BBI銀行アナリストのThiago Lofiego氏は説明している。
ヴァーレ社が最後に支払った配当金は、ブルマジーニョ鉱山事故発生前の2018年9月に総額8億9,300万レアル、過去最高の配当金支払いは、鉄鉱石価格がピークを記録していた2011年の総額90億ドルであった。
先週のニューヨークでのCredit Suisse社とのテレコンフェレンスではヴァーレ社の今年の鉄鉱石生産目標は3億1,000万トン~3億3,000万トン、しかし販売量は3億トンを下回る可能性が指摘されている。
2015年11月にサマルコ社のマリアーナ鉱山鉱滓用ダムの決壊事故発生で過去最悪規模の人身事故となり、有毒物質を含んだ濁流によるドーセ川流域一帯の環境破壊、漁業および農業への壊滅的被害が発生したが、来年は年間700万トン~800万トンの鉄鉱石生産の再開が予定されている。