COVID-19パンデミック第2波や不透明な財政改革予想でIPO取止め開始(2020年9月29日付けエスタード紙)

COVID-19パンデミック第2波発生の可能性、不透明なヨーロッパ経済の回復やブラジルの構造改革などの要因で、サンパウロ証券取引所(B3)で50社以上の企業が新規株式公開(IPO)で行列を形成していたが、株式市場の不透明感増加で中止開始の引き金になると懸念されている。

Cosan社は天然ガス・エネルギー部門向け投資のために設立したCompass社は、Comgás社に50億レアルの新規株式公開(IPO)を予定していたが、株式市場の悪化に伴ってIPOを中止した。先週BR Partners 銀行並びにCaixa Seguridade 社はIPOの先送りを発表していた。

一方新規株式公開には逆風となっているにも関わらず、先週Hidrovias do Brasil社並びに不動産会社Melnick社は、新規株式公開、Santos Brasil社先週増資を実施。クレジット会社Boa Vista 社は今月30日にIPOを予定している。

「過去最低の2.0%の政策誘導金利Selicに伴って、新規株式公開による資金調達は不可欠であるが、金融ボラティリティでもIPOを試みる企業は、公募価格を下げてIPOに挑んでいる」とTiago Isaac氏は指摘している。

COVID-19パンデミックの第2次感染や米中貿易摩擦など不安定な海外要因に加えて、連邦政府は、家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わる「Renda Cidadã 市民所得」プログラムの資金源として、基礎教育振興基金(Fundeb)並びに公的機関の債務回収、司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの資金を宛がる新規の補助プログラム発表は、株式市場の冷や水を浴びせる効果に繋がっている。

Cyrelaグループ傘下のLavvi社, Plano & Plano社並びにCury社、薬局チェーン網Pague Menos社もそれぞれ公募価格の引き下げを余儀なくされていた。Uniasselviグループ傘下のVitru社は先週ナスダックに上場したが、公募価格を引き下げて新規株式公開を余儀なくされていた。

また不動産関連企業のRiva 9社並びにYou Inc社は、公募価格の引下げを余儀なくされていたために、新規株式公開の中止で先送りを決定していた。

今年のブラジル国内の証券取引所のIPOやフォローオンは既に30件に達し、株式発行総額は700億レアルを上回っている。来週建設会社Pacaembu社はfollow onで資金調達を予定。製紙・パルプ大手のSuzano社は、社会経済開発銀行BNDES主導によるfollow onで資金調達を予定している。またSequoia Logística社並びにMateusグループの新規株式公開の株式需要は非常に高い。

スポート用品販売Track & Field社の新規株式公開は、市場環境悪化で先送りする一方で、Havan社は今年11月の新規株式公開での資金調達を見込んでいる。

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