ムーディーズは税制改革如何でブラジルの信用格付け見直か(2020年10月15日付けエスタード紙)

世界の3大格付け会社S&P社・ムーディーズ社・フィッチ社のうちのムーディーズ社は、年内若しくは来年初めに連邦政府による税制改革の進展がなければ、現在のブラジルの国債格付け(ソブリン格付け)をジャンク級(投機的等級)の「Ba2」の見直しを同社のSamar Maziad副社長は示唆している。

COVID-19パンデミックによる緊急救済策導入による連邦政府の公共負債の急増が避けられないために、ムーディーズ社は連邦政府による税制改革の進展がなければ、格下げの可能性を指摘している。

フィッチ・レーティングスは今年5月に「ブラジルの経済と財政の将来的な見通しが悪化したことと、国内の政治状況が混乱していること、ブラジルが新型コロナウイルス蔓延の悪影響を強く受けていること」を理由にブラジル格付の将来的な見通しを「安定」から「ネガティブ」に引き下げたが、格付けは「Ba2」に据え置かれていた。

ムーディーズ社は、2016年にブラジルの長期債格付けを「Baa3」から「Ba2」に2段階引き下げていた。現在のブラジルの格付けは投資適格級の2段階下の「Ba2」、見通しは「安定」が続いている。

ブラジルの信用格付けは2008年に初めて投資適格級にランク付けされたが、7年後にS&P社が最初にブラジルの信用格付けをジャンク級(投機的等級)の格下げした。続いてフィッチ社がジャンク級に格下げ、最後にムーディーズ社が格下げをした経緯があった。

2019年のブラジルのインフレ指数を差引かない名目公共負債総額はGDP比75.8%であったが、2021年は97.0%に達するとムーディーズ社では予想している。

「2021年のブラジルの経済成長は回復すると予想。しかし、ブラジルが持続可能な成長を達成するためには、税制改革や行政改革など一連の構造改革と財政調整が重要」とムーディーズ社のアナリストは指摘している。また「インフレ指数に対する支出レベルを条件とするルールの財政支出上限法の維持を期待している」と付け加えた。「

COVID-19パンデミック対応の緊急援助などの特別インセンティブを維持する上で、財政支出上限の中で支出を増やす歳出額が限られていると指摘。したがって、パウロ・ゲーデス経済相の貧困層支援向け社会プログラムの統一は、補償措置を必要とする可能性がある

ASAインベストメンツ社取締役のCarlos Kawall元財務長官は、この2週間で連邦政府の財政支出は上限を超えないという見通しについて支援していると述べている。 

家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わる「Renda Cidadã 市民所得」プログラムの資金源として、基礎教育振興基金(Fundeb)並びに公的機関の債務回収、司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの資金を宛がるなどと市民所得に対する資金調達に関する政府からのいくつかのシグナルの後、市場の否定的な反応は経済チームによって認識され、ルールが維持されることを再び強化、連邦政府が社会プログラムに資金を提供するために財政支出上限を尊重するという合図とCarlos Kawall元財務長官は説明している。

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