ブラジル建設工業会議所(Cbic)の発表によると、2021年第1四半期の住宅販売は、前年同期比27.1%増加の5万3,185軒に達した一方で、新築住宅販売リリース軒数は、僅か3.7%増加に相当する2万8,258軒に留まっている。
また今年3月迄の過去12か月間の新規住宅販売リリース軒数は、昨年3月に流行しだしたCOVID-19パンデミックの影響を受けて、住宅建設工事などの先送りを余儀なくされて、マイナス10.5%の16万8,673軒と二桁台の落ち込みを記録している。
今年3月迄の過去12か月間の住宅販売件数は、昨年下半期から過去最低レベルの住宅ローン金利や景気回復見通しなどの要因で、前年同期比12.8%増加の20万7,946軒に達していた。
新規住宅販売リリース軒数よりも住宅販売件数が急増しているために、建設中の住宅や販売中の住宅の在庫は、マイナス14.8%の15万3,914軒と2016年から統計を取り始めて以来、最低の住宅在庫となっている。
住宅建設用の鉄鋼資材やセメントなどの原材料コストが上昇の一途を辿っており、建築資材のコスト上昇は、新規住宅販売のリリースに足かせとなっているが、最終住宅販売価格に転嫁するのは、特に所得の低い北部地域並びに北東部地域では、非常に難しいとブラジル建設工業会議所(Cbic)のJosé Carlos Martins会長はコメントしている。
2021年の建設不動産業界は、住宅ローン金利の低下に伴って過去数年間で最高の住宅販売が見込まれていたが、建築資材コストの高騰は、住宅販売価格に転嫁できないために、業界の収益率の悪化が避けられない。
今年4月の過去12か月間のジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)のブラジル建設コスト指数(INCC)は12.99%上昇した一方で、建築資材コストは約30%高騰、また建築に従事する人件費の調整も避けられないために、住宅価格の値上げは避けられないとブラジル建設工業会議所(Cbic)不動産委員会のCelso Petrucci委員長は指摘している。
建設不動産業界は、建築資材コストの高騰の影響で、価格設定が決められている“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 “Casa Verde e Amarela”プログラムの比重軽減を余儀なくされている。
今年第1四半期のブラジル国内の新規住宅建設の44.4%は、“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 ”プログラムが見込まれているが、昨年同期は55.6%を占めていた。
数か月前にジャイール・ボルソナロ政権は、“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 ”プログラムで、特に北部地域並びに北東部地域の低所得者層対象の住宅金利の引下げを発表していた経緯があった。