ロシアのウクライナ侵攻でカリウム価格は3倍に高騰で過去最高(2022年3月23日付けエスタード紙)

今年2月末のロシアのウクライナ侵攻で世界的な肥料供給国である両国からの肥料供給が懸念されている影響で、特に1トン当たりのカリウム価格は、1年前の300ドルから今では1,100ドルと3倍以上に高騰している。

ロシア、ウクライナ及びベラルーシの3国は、肥料の背科的な生産大国であり、特にロシアは窒素・リン酸・カリと三大肥料のいずれにおいても重要な供給国、ウクライナは窒素肥料で一定の地歩を占めており、ベラルーシはカリ肥料の世界的な産出国及び輸出国となっている。

カリウム肥料はブラジルの主要な農産物輸出の大豆、トウモロコシ、コーヒー、小麦、コメ、サトウキビや果物に栽培にとっては不可欠であり、ブラジルはカリウム肥料の国内消費の85%を輸入に依存している。

カリウム鉱石が産出される国はわずか12ヶ国、カナダ46%、ロシア35%、ベラルーシ8%と上位3ヶ国だけで8割、それ以外はわずかながらブラジル3%、チリと中国が2%、ドイツと米国が1%、イスラエルとヨルダンが0.5%とその他と、カリ資源が上位2ヶ国に偏在している。

リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけとした世界金融危機の2008年から2009年にかけて、1トン当たりのカリウム肥料価格が700ドルに達して過去最高を記録していたが、当時のドルに対するレアル通貨の為替はR$2.20であった。

ブラジル政府にとって、ロシアとウクライナの戦争終結が見通せない現状では早急に供給先を見つける必要があるにも拘らず、通常はカリウム鉱は地下600メートルから800メートルから採掘するために、数年間に亘る長期投資が不可欠となっている。

ブラジルのカリウム鉱の在庫は僅か3か月間であり、ロシア以外の供給先であるノルウエー資Yara Fertilizantes 社及びカナダ資本Mosaic Fertilizantes社と供給増加で交渉している。

世界150カ国にカリウム鉱を供給しているYara社にとって同社の最大の顧客であるブラジルには生産の20%を供給しており、カリウム鉱増産で最大限の供給を約束している。

カリウム鉱などの肥料の高騰は農産物価格に転嫁を余儀なくされるが、肥料代は生産コストの30%~40%を占めるために、今後の穀物の国際コモディティ価格の上昇は避けられない。

国家配給公社(Conab)によると、南大河州パッソ・フンド地域の小麦生産に対する化学肥料のコストは生産コストの330%を占めている。パラナ州カスカベル地域では生産コストの38%。マット・グロッソ州ソリーゾ地域のトウモロコシ生産では生産コストの37%を占めている。

ブラジル肥料普及協会(Anda) の発表によると、2021年のブラジルの化学肥料輸入は前年比19.3%増加の3,920万トンに対して、国内の化学肥料生産は全体の15.0%に相当する690万トンに留まっている。

ジャイール・ボルソナロ大統領が、ロシアのウクライナ侵攻に伴いロシアから肥料を入手できなくなるとして、アマゾン熱帯雨林などに広がる先住民保護区で資源開発を進める必要を強調しているにも関わらず、実際はブラジル国内の肥料が改造されている地域の90%以上は先住民保護区以外となっている。

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