ピネイロ・ネト法律事務所及び企業経営委員会(島田 領委員長)共催セミナーは、2022年10月26日午前9時30分から11時30分まで聖市内のピネイロ・ネト法律事務所大講堂に90人が参加して開催、初めに島田委員長は、労務・税務の第一人者が商工会議所会員の要望に沿った貴重なテーマ「ブラジルの労働と税務問題 ― 概要と留意点」について、ブラジルに進出している日本企業が直面している、労働法についての問題(採用、解雇、テレワーク、労働組合との関係、労働法改革等)及び税務の主な課題(行政手続、訴訟、日本人駐在員の個人所得課税、税制改革と最近の議論)の主な問題について講演するので活用してほしいと開催挨拶をした。
開催挨拶を行う島田委員長
初めにピネイロ・ネト法律事務所労働担当のルイス・アントニオ・フェハス・メンデス パートナー弁護士は、テーマ ブラジルの労働法について、労働契約では労働者の権利、退職の種類、労働改革の主な変更点として、契約の自由、交渉可能な項目、労働契約の債務消滅、統一労働法の改革、経済グループの広義の概念、投資家と第三者へのリスク軽減、ビジネス環境改善、労働承継、テレワークの一般的な側面及び主な変更点などを説明した。
講演中のピネイロ・ネト法律事務所労働担当のルイス・アントニオ・フェハス・メンデス パートナー弁護士
続いて同法律事務所税務担当のビニシウス・ピメンタ・セイシャス シニア・アソシエイトは、テーマ 税制上の側面として、納税の構成、税の種類、ブラジルにおける税務紛争、課税処分の行政手続き及び終了後のプロセス、滞納税の回収、日本人駐在員に対する課税では所得税、キャピタルゲイン及び社会保障負担金、二重課税回避のための日伯租税条約、今後の税制改革の動向などについて説明した。
講演中のピネイロ・ネト法律事務所税務担当のビニシウス・ピメンタ・セイシャス シニア・アソシエイト
最後に同法律事務所ジャパンデスク担当の大野 友香 パートナー弁護士は、日本語によるテーマ リスク軽減について、 1943年に制定された統一労働法CLTは現在の労働関係の規制には不十分で、2017年の労働改革でより柔軟性のある労働法に改正され労働訴訟が大幅に減少したが、休暇、超過勤務時間、管理職に関する議論や文化の違いによる職場でのパワハラやセクハラ問題に注意を要すると説明した。
また主な税務問題として行政及び司法レベルでの手続き及び担保金、煩雑な手続きで時間がかかり、場合によっては高額な罰金を伴う手続き、商品サービス流通税ICMSの州間税戦争、ガバナンスでは日本本社、駐在員、顧客、取引先との関係、言語によるコミュニケーション問題、文化の違い、モニタリングと監督の問題、本社の要求する内容と現地子会社の状況の不整合、現地従業員とパートナーへの依存。リスク管理に対する提言では、コミュニケーションの重要性、本社の指導が子会社に適用不可の場合、現実への適用とローカル計画の必要性、不履行の場合における明確なメッセージの発信、内部管理、事実確認のためのブラジル人従業員の意見の吟味について説明。最後にアミーゴ文化がビジネスの成功の道しるべとなり、ミスコミュニケーションの解消が非常に重要と駐在員にとっては、ビジネスの金言となるメッセージを述べた。
講演中のピネイロ・ネト法律事務所ジャパンデスク担当の大野 友香 パートナー弁護士
質疑応答では、ホームオフィスの規則。個人情報収集の権限範囲。二重課税のリスク。新規従業員の個人情報の開放依頼。税制改革動向。配当課税やロイヤリティ課税のメリット・デメリット。納税方法の選択などが挙げられた。