2022年のブラジル国内のM&Aは前年比43%減少(2023年1月31日付けヴァロール紙)

2022年度のブラジル国内の企業買収・合併による資金調達総額は、前年比43.0%減少の280億ドルに留まったにも拘らず、COVID-19パンデミック前の水準まで回復しているとコンサルタント会M&A社 Bain & Company社の Luís Frota共営者は説明している。

2023年の M&Aによる資金調達は、世界的なインフレ対応の高金利の維持により米国やヨーロッパ連合諸国のリセッション入りの可能性、不透明なウクライナ情勢や中国情勢などの要因で、前年並みの生温い水準で推移すると予想されている。

2019年のブラジル国内の M&A案件のうち海外投資家は67%を占めていたが、昨年の海外投資家の割合は25%まで減少したものの、COVID-19パンデミックが猛威を振るっていた2021年の海外投資家の割合は17%まで減少していた経緯があった。

2022年の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資は高水準で推移した一方で、海外投資家によるブラジル国内の M&A案件への投資は、空回りしているとLuís Frota共営者は説明している。

現在のブラジル国内のM&Aへの投資環境は高金利、政治的および経済的不安定問題が阻害要因を占めているが、地政学的な観点から、ブラジルに関しては中期的に楽観的な見方ができるとコンサルタント会社チーフエコノミストのKaren Harris女史は指摘している。

しかし、短期的には、ブラジルのマクロ経済シナリオと、ルーラ新政権の経済政策の方向性は依然として不透明で、企業経営者と投資家は年内の投資には慎重になっている傾向がある一方で、ルーラ新政権の安定性に期待する動きも出てきている。

M&Aの最終的な加速は、ブラジル経済および金融政策の方向性に左右され、金利引下げのサイクルの兆候と確固たる見通しがあれば、投資家の決断を促すと説明、また年内の税制改革実施も投資家から高く評価される可能性をBain共営者のFelipe Cammarata 氏は指摘している。

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