日伯法律委員会(岩尾 玄委員長)課税通関WG(天野 義仁WG長)は、2023年5月12日午前9時から10時30分まで170人が参加、ハイブリッド形式の英語及び日本語でのブラジル移転価格制度の最新動向に係るセミナー開催。進行役は三上智大氏が務めた。
ブラジル独自の移転価格制度の最新動向に係るセミナー開催の趣旨は、2023年3月30日、ブラジルの下院議会は、移転価格税制を従来の独自の計算式に基づく移転価格ルールから経済協力開発機構(OECD)ガイドラインに適合した独立企業間原則に移行する大幅な変更を行った暫定令1.152号 を可決した。
ブラジル政府は2022年12月29日に暫定令1.152号を発表し、ブラジル議会(下院及び上院)は120日以内に当該暫定令を一般法として成立する必要がある。また暫定令1.152号はブラジルの移転価格制度に独立企業間原則を導入のほか、新たな移転価格の算定方法と文書化要件の設定、さらに無形資産、金融取引及び事業再編の取り扱い等に大きな変更をもたらしている。
また、ブラジル連邦歳入庁は、2023年2月17日にRFB規範指令2.132号を公布。当該法令では暫定令 1.152号/2022によって導入された新制度に関するいくつかの点の明確化及びガイダンスをもたらしている。
本暫定令1.152号やRFB規範指令2.132号を通して、ブラジルの現行移転価格制度からどのような制度変更が議論されているかを早期に知ることは、ビジネス上どのような影響が生じる可能性があるのかを検討する上でも不可欠な理解となっているために、セミナー開催で理解を深めてもらう。
課税通関WGでは、KPMG Brazilの移転価格担当の専門家であるEdson Costaパートナー及びKPMG Brazil グローバルジャパニーズプラクティス南米統括責任者の天野義仁WG長を講師に招き、当該OECDガイドラインに適合した移転価格税制について、現行制度との比較を交えながら解説するセミナーを開催した。
初めに移転価格制度に関する議論の経緯を説明、続いて国際基準と異なる現行の移転価格制度、法令9.430/96及び規範指令1.312/12及び暫定令1.152/22の主な相違点、移転価格制度の国際基準(OECD)への適合| ALP| 検証対象| 関連当事者間の取引| 無形資産、移転価格の算定方法、取引単位営業利益法-MLT、今後のステップとしてMP1152/22 + IN 2132/23などについて説明。最後に質疑応答が行われた。