ブラジル・コストはGDP比19.5%の1.7兆レアル

商工サービス省(MDIC)とゼツリオ・バルガス財団(FGV)との協力で競争力あるブラジル運動(MBC)が実施した調査で、租税と法的不安定性、資金調達、不備のあるインフラ、その他で構成される、諸外国との相対的な比較で経済的負担として経営を圧迫するいわゆるブラジル・コストが1兆7,000億レアルに達していることが示された。

これは、国内の製造業が、経済協力開発機構(OECD)の加盟国の平均的なコストと比較してより多く負担しているコストを示す。今回の結果は、ブラジル・コストがGDPの19.5%に達していることを意味する。4年前にMBCが実施した調査では、ブラジル・コストは1兆5,000億レアルで、GDP比22%だった。

4年前の調査からブラジル・コストの名目成長率は、主にインフレを中心として16%を記録したことになる。MBCのロジェリオ・カイウビー顧問は、「(インフレ率の影響を除外した)実質的な増加は非常にわずかだ」と話す。

調査は、前回と同様の方法で実施されている。すなわち、ブラジルの経済環境において企業の競争力にとって極めて重要と位置付けられる12項目のガイドラインをマッピングした。さらにこれに関連して、2022年の評価では32に達した指標で評価した。

このガイドラインの中でも特に6項目が、ブラジル・コストの80%を占めるとMBCは言う。それらには、複雑な税制が含まれる。その他の項目は、ビジネスに対する資金調達、人的資本の導入(雇用)、利用可能なインフラ、法規制環境、グローバルな生産チェーンへの統合である。

研究で示された実例のひとつが、ブラジル企業が租税の算出に62日を費やしているというデータである。OECD加盟国の平均は2019年から引き続きブラジルを大きく下回る、わずか6日である。

複雑な税制をスリム化する税制改革は、少なくとも20年にわたって議論が続いてきた、ブラジルで最も難しい議論のひとつであるが、MBCのカイウビー顧問は現在の状況を楽観視している。同顧問は、「税制改革の可決が現在ほど現実味を帯びたことはない」と受け止めている。ただし、税率を議論するだけではなく、税金の支払いの実証とどのように納付するのかについても改革する必要があると付け加えた。

実業家のジョルジェ・ゲルダウ氏が理事長を務めるMBCが強調するもうひとつの課題は、人材の登用だ。教育の欠陥から企業は、人材の再教育に年間1,450億レアルを支出している。カイウビー顧問によると、人材の技術習得だけでブラジル・コストの8%を占めるという。

同顧問はさらに、「これは既知のことではあるが、教育全般の質の低さだけでなく、専門技術や専門的な訓練にあまり注意が払われて以内結果であり、現在、こうした知識や技能を教育現場で見につける若者は、中等教育修了者のわずか10%から12%にとどまる。先進国では、この比率は45%に達している」と指摘した。

各指標は過去4年間に原則的に「横ばい」で推移したが、ジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の就任後に前政権との提携で実施された最初の調査以降、こうしたプロフィールを改善させるいくつかの種がすでに蒔かれているとMBCは受け止めている。

2020年に行政府と立法府で、ブラジル・コストを削減する可能性のある既存のプロジェクトがマッピングされている。その数、およそ700。

翌2023年に連邦政府は、そのプロジェクトのいくつかを実際に推進すべく組織的な同院を進めた。カイウビー顧問によると、「(前政権では)マッピングに加えて新規プロジェクトの提案を受け入れることはできたが、まだ提案されたプロジェクトの実際の影響を計測するためのイニシアティブが構築されていなかった」という。

同顧問が指摘する「蒔かれた種」のひとつが、ガス業界基本法の可決だという。2021年に可決した同法は、関連法規に依存するため今のところ、その効果を発揮していない。

この基本法は、競争力のある条件で天然ガスの供給を可能にし、エネルギーコストを引き下げる重要な要素である。一方、電話通信インフラでは、ブラジルはブロードバンドの普及率が30%強と進んでいる。それでもブラジルがOECD加盟国の平均水準に達するには、さらに10ポイント引き上げる必要があると今回の研究は指摘している。

今後は、2023年下半期にMDICと共同でブラジル・コスト観測機構の立ち上げを予定する。5月18日から、官民からアイデアを募集する意見招請を実施する。

連邦政府とMBCは、ブラジル・コスト削減計画の構築も想定している。この分野で重要なプロジェクトのマッピングと導入を促進するだけでなく、それぞれのプロジェクトがブラジル・コストの削減にどのような効果を発揮しているかを計測することも目的とする。

これは、実施されたプロジェクトに対して「継続的に改善していく文化」を植え付けるのに必要な評価を行う手法になると、MBCは位置付けている。(2023年5月17日付けバロール紙)

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