労働集約型のサービスが高水準で推移しておりインフレの低下にブレーキをかけているとバークレイズ

バークレイズによると家事労働や美容、医療、歯科医療といった労働集約型サービスのインフレ率が過去6年で最も高くなっており、ブラジル経済におけるインフレの減速だけでなく、ブラジル政府が進める新たな消費刺激策の効果に対しても危ぶむ見方につながっている。

2023年4月までの12カ月間で、労働集約型サービスのインフレ率は+6.82%を記録、12カ月間のインフレ率としては+6.98%を記録した2017年以来の高水準で推移している。同銀行のブラジル担当チーフエコノミスト、ロベルト・セセムスキー(Roberto Secemski)氏は、「このカテゴリーが最近の調査でインフレ圧力を受けていることを確認している」と話す。

労働集約型サービスは、ブラジル地理統計院(IBGE)が計測する政府の公式インフレ指数である拡大消費者物価指数(IPCA)が計測するサービスの20%弱を占めており、全体では6%の比重が与えられている。このように、公式インフレ率に直接与える影響は限定的なものであるが、一般サービスとは異なりこのセグメントのインフレ率が全く下がっていないこと、さらにこれが他の品目に波及する可能性があることには注意すべきだという。

例えば、ギャルソンあるいは整備士のようなサービスの場合、このサービス・セグメントには含まれていないが、いずれも、外食や自動車の修理といった項目の価格設定において考慮されることが知られているとセセムスキー氏は説明する。「これは、その他の価格に対して遅かれ早かれコスト圧力として現れる可能性のある労働市場の報酬の動きを示している」と同氏は指摘する。

さらにセセムスキー氏は、別の問題として、この種のインフレは一朝一夕に下落するものではなく持続性があることが過去の経験から知られている点にも言及している。労働集約型サービスのインフレ率は2009年から2016年にかけて、平均するとほぼ2桁(+9.7%)で推移した。しかも、この種のインフレを減速させるには、激しいリセッションが必要だったと同氏は言う。「労働集約型サービスのインフレ率が強い慣性を持つことを考慮すると、悪性の挙動に陥るリスクが常に存在する。これはサービス全体にも言えることだが、労働集約型サービスではその傾向が強い」という。

さらに同氏は、労働集約型サービスのインフレ率が1年前には12カ月間で+4%と、現在の水準を3ポイント下回っていたことも指摘する。「仮に現在の(+7%近辺という)水準で固定されれば、その後、これを引き下げるのは極めて困難になる。高い水準がより長期化するほど、その水準に対してより強い慣性を持つことになる」という。

その上で同氏は、「最低賃金の引き上げと、ボルサ・ファミリア(Bolsa Família:家族手当)で子供1人当たり150レアルの追加支援など、こうしたニュースはいずれも、インフレに対する楽観的な見通しに決定的な打撃を与えかねない」と指摘。

2022年から中央銀行が金融引き締め策を通じて物価の抑制に取り組んでいる中、連邦政府の一連の政策はこれに逆行するものになりかねないとセセムスキー氏は言う。「物価上昇プロセスが根付けば、これを取り除くコストは極めて高いものになる」と同氏は警鐘を鳴らした。(2023年5月17日付けバロール紙)

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