連邦政府が2023年の基礎的財政赤字を上方修正するもその規模はGDP比0.5%で維持。(2023年5月23日付けバロール紙)

連邦政府は、2023年の基礎的財政赤字の見通しを、これまでの1,076億レアルから1,362億レアルに引き上げた。同時に、GDP成長率に対する見通しも従来の+1.0%から+1.3%に引き上げた。このため国庫管理局のロジェリオ・セロンは、GDP比で見た2023年の基礎的財政収支がこれまで通りGDP比0.5%という水準の達成に自信を持っているとコメントした。

 

先週の時点で報じられていたように連邦政府は、歳入面の施策に基づいた計算により連邦収税局の標準的運用に影響が生じることから、2023年に想定される赤字が増加するという仮定に基づき再計算を進めていた。考慮すべき要素の中には、法人所得税(IRPJ)及び純利益に対する社会賦課金(CSLL)の課税ベースから州政府により付与された商品サービス流通税(ICMS)の税制優遇措置の減税分を差し引いてはならないとする司法高等裁判所(STJ)の判決も含まれる。

 

セロン局長は5月22日、「(STJの判決の影響は)大きな金額で、連邦収税局が計算を進めているが、(歳入増加は)数100億レアル規模になると推定している」とコメント。さらに、歳入増につながるその他の政策、例えば、導入されながらも連邦政府が期待するような効果を発揮しておらず国会で法制化される前に失効する見込みの租税資産管理理事会(Carf)の暫定措置などが含まれると同局長は指摘した。

 

またセロン局長によると、2023年1―2月期に歳入は期待された金額を計上しなかったものの、「納税状況は今後改善する見込みだ」という。この見解はまさにSTJの判決などを連邦政府が歳入増につながると見做していることを反映している。

 

前回の見通しと比較すると、今回は、主に4項目の要因が歳出の増加につながった。第1に、看護士の最低賃金に対する補助(73億レアル)。第2に、社会保障給付金(60億レアル)。第3に、失業保険給付及び手当(39億レアル)。第4に、パウロ・グスタヴォ法に関連した州及び市役所に対する財政支援(39億レアル)である。

 

なお、セロン局長は2023年の基礎的財政赤字をGDP比1%未満に抑えるという「財政管理のシナリオ」を連邦政府が達成するため、「必要であればその他の対策も講じる」とコメント。ただし同局長は、税収に改善の見込みがあることと、「回収可能なプール予算がこれらの見通しでは算入されていない」ことを強調する。この回収可能なプール予算とは、各省庁に割り当てられた予算であるが、運用上の問題から支出されずに留め置かれ、かつ支出が認められない資金で、これを国庫管理局に回収することで基礎的財政収支の改善につながると期待される資金である。

 

セロン局長の推算によると、STJの判決を受けて税収が「500億レアルを上回る」水準に引き上げられ、回収可能なプール予算が300億レアル台に達すれば、2023年の基礎的財政赤字はGDP比0.5%を達成可能だという。

 

なお、22日に連邦予算局のパウロ・ビジョス局長は記者会見で、新しい財政の枠組みが国会で可決すれば凍結されている17億レアル規模の予算も解除されるのかという質問を受け、新しい財政の枠組みが効力を持つのは2024年以降であり、そのような対応はないと回答した。(

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