オピニオン:工業に新たな道が開けるか?(2023年5月25日付けエスタード紙)

 

 

オピニオン:工業に新たな道が開けるか?

セルソ・ミンギ氏

 

工業の日だった5月25日、ルーラ政権は、グラフで示されたように長年の悪化に伴い弱体化したブラジル工業を再活性化する意向を新たに示した。

この国の経済は、成長がわずかかほとんどなく、インフレは年率6%前後で推移し、政策金利も年利13.75%、公的債務は肥大し続けており、税制は混乱の極み、消費者と企業は多額の負債を抱えている状況であり、そこで救世的な工業政策を用意するのは容易なことではない。だが、経済を最初に立て直して後から工業を修繕することなど、できないのだ。つまり、車を走らせながらタイヤを交換するということだ。

 

これまでのところ、脱工業化の歩みを連邦政府がどのように逆転させようとしているのかは明確になっていない。そしてこの取り組みは、工業部門の経営者の信頼感と投資意欲に直接的に影響するのであるが、全国工業連合会(CNI)によると、これらはいずれも大多数のセグメントで低迷を続けている。だが我々は、病人をさらに追い詰めるような危険を冒してまで繰り返してはならない手法については理解している。例えばそれは、業界の活力と競争力を奪ってきた過去の保護主義的な制度の維持といったことだ。

 

つい最近まで工業部門は、より多くの補助金と減税、関税による保護、さらに大きな特定市場の保護、有利な金利、滞納税回収計画(Refis)のような恩赦、恒常的な通貨安の推進といったことを要求し、その望みを実現させてきた。その要求はサンパウロ州工業連盟(Fiesp)の紳士面をした人たちの政治プロジェクトに有利なクレーム以上のものであったが、これが満たされたにもかかわらず、産業の空洞化を食い止めることができなかった。

 

以前の労働者党(PT)政権は、社会経済開発銀行(BNDES)から有利な融資を受ける内資系企業の未来の王者を選定することで、テコ入れを図ろうとした。だが、それは期待した成果をもたらさない間違った対応だった。

 

もうひとつの誤りは、国内市場を確保するだけで十分だと考えたことだ。外国市場にアクセスするための貿易協定は無視された。ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(PT)は現在でさえ、工業には生産規模というものが必要なのであり最貧層や残り滓のような市場に向けて車を製造できないのだということを無視し、低所得の消費者に対するエントリー・モデルとすべく「牛車」を製造するようメーカーに圧力を掛けている。

 

幸いなことに、この業界の新しいリーダーたちは、製造業の救済はビジネス環境の改善を基礎とすべきだと確信しているようだ。それが意味するのは、より近代的かつ安価なインフラの構築と、より公正でバランスの取れた税制、最先端技術へのアクセス、安定した労働法規、法的安定性、官公庁の煩雑な手続きの撤廃などである。

 

この25日の大衆車計画の発表を通じて我々は、連邦政府がどこまで新しく効果的な道を切り開いていくつもりなのか、知ることになるだろう。

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