レンタカー会社がルーラ政権の打ち出した大衆車計画への支持を表明(2023年5月30日付けバロール紙)

 

ブラジル・レンタカー協会(Abla)のマルコ・アウレリオ・ナザレ会長が、工業製品税(IPI)と社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の減税を通じて低価格車の価格を削減する連邦政府の大衆車計画について、業界は「歓迎している」と表明した。

 

ただし同協会は、この景気支援策が業界にポジティブな効果を発揮するには、減税と同時にレンタカー会社に対する融資枠を設定する必要があるという考えも示した。同時に、この計画が導入される期間についても懸念があると指摘した。

 

「5月31日と6月1日にブラジリアに赴き、この問題に関係する様々な省局と意見を交換する」とナザレ会長は言う。

 

連邦政府が発表した大衆車計画は、価格が12万レアル未満のエントリー・モデルと小型のハッチバック及びセダンを対象にしている。この対象車種は、202年12月時点で業界が保有していた車両143万台の58%に該当するという。

 

業界が求める対策のひとつが、ブラジル国内に昨年およそ2万2,000社を数えたレンタカー会社向けの補助を伴う融資枠の設定である。高金利によってモヴィーダのような業界大手でさえ、保有車両の買い替えプロセスにブレーキをかけている。業界は、2022年に実施されたように連邦政府が融資を部分的に補償することで金融機関にとってはリスクの低減に繋がり金利を引き下げられると主張している。

 

「個人が車を購入してもレンタカー会社が購入しなかったとすれば、政府は、自動車産業向けの振興策を完成させることはできないだろう」と同会長はコメント。また現在の高金利によって2022年に国内で販売された乗用車と小型商用車の30%が業界によるものだったと指摘。その数年前は業界が国内で生産された車両のおよそ20%を購入していたことにも言及した。

 

またナザレ会長は、「業界(自動車メーカー)は、設備稼働率がおよそ50%に低下している。今が、生産を回復させる時だ。設備稼働率を高め、生産性を高め、固定費を削減し、より手ごろな価格を実現する」とし、「個人の購買力にレンタカー会社が加われば、生産能力を引き上げ、雇用と所得を創出できる」と強調した。

 

しかし一部のアナリストは、分野別補助制度を再開した場合の効果について、疑問を呈している。これらのアナリストは、様々な業界が競争力を改善するには、構造的なソルーションの導入こそ望ましいと主張する。しかも大衆車の購入にインセンティブを与えることは、連邦政府が取り組んでいる環境アジェンダやエネルギー転換アジェンダと逆行するものだと指摘している。

 

大衆車計画によってレンタカー業界が確保するアドバンテージのひとつが、車両の買い替えプロセスの支援だ。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより自動車メーカー各社は生産台数を縮小しており、これに伴ってレンタカー会社も車両の保有期間を長期化させざるを得ず、維持コストが上昇してきた。この結果、業界の平均的な車齢は2019年の15カ月から2022年には24カ月に伸びた。

 

短期的に見れば今回の大衆車計画は、レンタカー会社が車両の売却で得られる利益を減らして業績にまいなすの影響をもたらす可能性がある。だが長期的な計画になるならば、およそ18カ月の中期的に、当初の悪影響は相殺されると見られている。ただし、連邦政府が示唆した大衆車計画の導入期間はわずか4カ月である。

 

またレンタカー会社のウニダスは書面で、同社が協議を見守るとコメント。その上で、「消費行動が変化していると当社は受け止めており、次第に、所有する商品から使用する商品へと移行している」という見解を示した。一方、ロカリザとモヴィーダは大衆車政策に関してコメントしていない。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=53915