基礎的財政黒字が2023年1―4月に縮小するも赤字額の予想は変更なし (2023年5月31付けバロール紙)

 

連邦政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、2023年1―4月期だけで前年同期と比較して300億レアル以上も減少した。しかしながら財務省は、2023年の基礎的財政赤字をおよそ1,000億レアルで据え置いたままにしている。

 

1―4月で見た中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)の基礎的財政収支は、前年同期が790億レアルの黒字だったのに対して2023年は471億レアルの黒字にとどまっている。

 

国庫管理局のロジェリオ・セロン局長は共同記者会見の席上、「非常に厳しい状況となる1―4月期を乗り越えた」とコメント。同局長は2023年の結果について「良好」と位置付けるとともに、基礎的財政赤字について、「最悪でも」GDP比で1%、1,000億レアル台でおさまる兆候だと評価した。同時に、2022年下半期に前政権が実施した減税措置を撤回することと2022年末に同様に実施された歳出の拡大を埋め合わせることの難しさについても指摘した。

 

4月の結果を受けてXPインベスチメントスは、2023年の基礎的財政収支についてこれまで通り1,196億レアルの赤字とする予想を維持したものの、「下振れするバイアス」が発生していると同社のエコノミスト、チアゴ・スバルデロット氏はレポートで指摘した。この見通しについて同氏は、州税の商品サービス流通税(ICMS)の税額控除に対する「社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の課税ベースの変更」を考慮した。ただし、「このところ発表されている対策については一切考慮していない」と付け加えた。これらの最近の対策とは「オンラインカジノ及び電子商取引に対する課税」とICMSの免税額を利益と見なして法人所得税(IRPJ)及び純利益に対する社会賦課金(CSLL)の課税ベースに参入することなどである。同氏によると、これらの対策は「2022年に大きな影響を与えない」ものになりつつあるという。

 

ただ、赤字額としては従来の見通しを維持したものの、スバルデロット氏は、4月のデータは「(歳出と歳入の)収支のいずれの方(側)においても、傾向が変化していることを示している」と指摘した。歳入では例えば「原油相場の値下がりによって原油生産に関連したロイヤルティ収入が大きく減少する傾向にある」という。

 

「加えて、経済活動が下半期に減速する可能性があり、労働市場がその活力を失うことで労働者の源泉徴収による所得税収入や社会保障費の納付に大きな影響を与える可能性がある」と付け加えた。

 

歳出面での変化は、最低賃金の引き上げが年金及び社会保障の給付額に与える影響を考慮し始める必要があると同氏は指摘する。

 

BTGパクチュアルのエコノミスト、ファビオ・セラーノ氏も同様に、12カ月間で見た基礎的財政収支について「6月以降により激しい落ち込みが始まるはずだ」という。下半期には、「2022年に納付を受けた特別歳入を考慮する必要がある上、最低賃金の引き上げと公務員給与の引き上げがデータに表れ始める」と指摘。同氏は2023年の基礎的財政赤字を、1,088億レアルと予想している。

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