具体性のない大衆車計画の発表により2023年5月に最大1.5万台の新車の買い控え(2023年6月1日付けバロール紙)

 

連邦政府が新車の販売価格引き下げを伴う大衆車計画を発表したことを受けて、2023年5月は、1万3,000台から1万5,000台規模の買い控えにつながっている模様。業界を専門とするコンサルティング会社のブライト・コンサルティングが試算、発表した。

 

5月30日の新車登録台数は9,299台。同社のムリロ・ブリガンティ生産分析担当部長は、「通常、月末最後の営業日3日は、月間平均の1.3倍に販売が伸びる。この時期は販売がテコ入れされるタイミングなのだが、そうした状況になっていない」と話す。

 

30日の販売実績について同社は「全てが悪かったわけではない」とするが、連邦政府が大衆車計画を導入すると発表する前に予想されていた水準を下回っているという。連邦政府は、12万レアル以下のモデルに対する社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の税率を引き下げることで、この価格帯の販売価格が1.5%から最大10.96%値下がりするとしている。

 

この買い控えがより大きくならなかったのは、現在国内で販売されている自動車の価格のほとんどが12万レアルを上回るためである。全体として見ると、この水準を上回る価格帯の新車販売は連邦政府の発表後も通常の傾向を維持して推移している。

 

とは言え、複数のディーラーの話では、消費者の側の混乱は続いており、一部のケースでは12万レアル未満に限定されるという情報を「販売員による売りたいがための説得術」と考えている消費者もいるようだという。

 

また詳細を明らかにせず減税とそれに伴う値下がりの見通しだけを発表した今回の対応で、新車販売だけでなく中古車販売にも混乱が及んでいる。一部の中古車販売店は、新車価格の値下がりを見越して既に新古車(型落ちの少ない中古車)を値下げしたところも出ている。自動車部品業界のある経営者は、「政府が早急にこの問題に対処するよう期待している。さもなければ、1カ月の販売が丸々失われるだろう」とコメントした。

 

この大衆車計画は、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(PT:労働者党)が5月25日に減税策とこれに伴う新車価格の値下がりを発表した。しかし財務省はこの発表に関連した減税策の検討に15日かかるとし、この計画が最終的にいつ、どの程度の期間にわたって実施されるかも決まっていない。

 

ブライト・コンサルティングはもともと、5月の乗用車と小型商用車の新車登録台数を18万1,500台と予想していた。「その方向で推移していた」とブリガンティ氏は強調する一方で、今回の発表を受けて7.16%から8.26%の間で下方修正し、1万3,000台から1万5,000台ほど下振れすると予想している。

 

5月の販売に対してこのようにブレーキがかからなければ、前年同月を3.8%上回っていた形だ。だが現在、いつ開始されるかもわからない値下がりの見通しだけを連邦政府が発表した影響で、5月は前年同月を3.5%から4%下回ることになる可能性が出てきたという。

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