第74回定期総会開催

第73回定期総会は、2024年3月22日午前10時15分から70人が参加してオンライン形式で開催、司会は村田俊典事務局長が務めた。

初めに小寺勇輝会頭は開催挨拶を行い、続いて活動方針、重要政策として、次の4項目を説明。

1.日伯間の経済・貿易・商工業の促進等を念頭に、日伯関係のさらなる活性化に寄与する

2.会員のためにビジネストレンドを含めた有益な情報の収集、共有及びその発信を行っていく

3.会議所内、会員間におけるコミュニケーションの円滑化を図り、交流・意見交換の場を提供する

4.ビジネス環境改善のために必要な提言、要請、働きかけを会員から取り纏めて大使館・総領事館等へ声を届ける(EPA推進、税制改正、OECD加盟、各種規制緩和等)

続いて木坂明彦財務委員長は、2023年度収支決算報告及び2024年度収支予算計画案を発表。二宮正人監事会議長は、監事会意見として、商工会議所の2023年1月1日より同12月31日までの事業報告書並びに貸借対照表、収支決算書、財産目録(什器及び機材類)および業務を監査、適切であると認め、ここに報告すると説明した。

小寺会頭は、2024年度事業・収支予算計画書案のオンライン形式による投票では、総会として投票者全員の賛成で承認されたと説明した。

2024年上期の第4回フォーラム開催

化学品部会及び機械・金属部会共催の2024年上期の第4回フォーラムは、2024年3月21日午前9時~10時までテーマ:2023年度下期の振り返り並びに今後の展望 副題:「2024年、ブラジル民間投資拡大の可能性~現地市場ニーズの取り込みに向けて~」について開催。司会はフォーラム委員会の木村委員長が務めた。

初めに第一部では化学品部会の石原部会長は、ブラジルの化学部門販売トレンド、南米の自動車生産トレンド、南米のフレキシブルフィルム生産トレンド、21社の各社アンケート集計では、主要個別カテゴリーでは輸送・ヘルスケア・農業・印刷・コンシューマー・その他のカテゴリーについてトピックなどについて説明した。

第2部では郷園氏及び大野氏は、ブラジルパイロットペンの企業変遷、サンパウロ本社概要、ジュンジャイ工場概要、会社組織、ブラジル国内の販売体制、直販店・代理店制度の販売システム、ブラジル国産品及び輸入製品ラインアップ、カテゴリー別売上比率、70周年記念企画などを紹介。質疑応答ではノック式フリクションシリーズ販売が挙げられた。

機械・金属部会の三好部会長は、12社の会員企業の状況、事業分野毎のアンケート集計状況、関連指標と各事業分野の動向では、ブラジル鉱工業生産の月間推移、土木建設指数、粗鋼生産、電力消費、石油製品・紙パルプ産業、工場用設備・制御機器、建設機械、ポンプ・圧縮機等、自動車産業関連では月別自動車生産台数の推移について説明。部会企業の取組を紹介では横河南アメリカ社及びユシロ化学社のそれぞれの50周年式典。荏原南アメリカ社のアンテナショップ、会員企業のポルトガル語による現地スタッフの部会開催などを紹介。質疑応答では環境関連事業の実証実験の今後について挙げられた。

3月の懇親昼食会開催

3月の懇親昼食会は2024年3月22日正午から午後2時過ぎまでブルツリーファリアリマホテルに130人が参加して開催、司会は村田俊典事務局長が務めた。

初めに特別参加者として、清水 享 在サンパウロ日本国総領事、日系主要団体からジャパンハウスのCarlos Augusto Roza副館長、援協のパウロ・サイト氏が紹介された。

小寺 勇輝 会頭は会頭挨拶で、午前中に開催された総会の会議所活動として、2023年末の会員数は302社、個人会員4人、行事件数は前年比112件の332件。昼食会の平均参加者数131人、ビジネス環境改善のための政府への提言として運輸サービス部会のブラジル人向け短期ビザ発給の陳情、課税通関WGの日本企業に対する税務改善の働きかけなどについて説明した。

清水 享 在サンパウロ日本国総領事は総領事館からの案内として、治安関係の悪化。日伯外相会合。化学品部会会員とサンパウロ州農業供給長官との会合。4月1日からの領事官関連手数料の改定について説明した。

連絡事項では  渉外広報委員会の田辺 靖 委員長は商工会議所新サイトリリースについて、3月25日開始予定、会員限定ページ、ログイン登録などについて説明した。

帰任挨拶では   Nikkei incサンパウロ支局の宮本英威支局長は、1回目の赴任は2012年から2017年、今回の赴任は2年半で2回目の駐在で可能になった仕事もあった。後任は同社として初めての女性駐在員。8年近いブラジル駐在でかけがえのない関係者に丁寧にお礼を述べた。

商工会議所理事で貢献した三井住友海上ブラジルの長野昌幸氏は、金融部会長、渉外広報委員長、異業種交流委員長として尽力を発揮、日本人やブラジル人の友人が増えた喜びを説明した。

新入会員挨拶ではCloud Ace社のSaulo Takashi Barros Aoki氏は

Santher社のHiroyuki Shidara氏/ Akihiko Matsuda氏

3分間スピーチではBeyond社のCamila Tsibana氏

JCI Brasil-JapãoのMarina Akemi Fukuhara会頭は、

 

特別講演のProspectiva Public Affairs社のRicardo Sennesパートナーはテーマ「ミレイ政権によるブラジルへの影響」について、2023年11月の大統領選で勝利した右派ポピュリスト政党の自由の前進から出馬したハビエル・ミレイ氏が大統領に正式に就任。ミレイ氏は元々、リバタリアン(自由至上主義)を標ぼうする経済学者であり、ミレイ氏は経済政策を巡って「ショック的な手法」を用いる考えを示すなか、すでにショック療法的な構造改革を目指した大統領令の公布に動いている。歳出削減や省庁再編、ペソ相場の大幅切り下げや政策金利変更、幅広い規制緩和などを矢継ぎ早に打ち出している。議会手続きを経ないやり方に問題を呈する向きがある一方、金融市場は構造改革への期待の方が上回っている模様。

他方、ミレイ氏は財政健全化を目的に公共支出の大幅削減のほか、国営企業の民営化による公的部門の縮小も公約に掲げており、緊急の大統領令による省庁改編を実施して統廃合するとともに、閣僚数も9つに大きく減らしている。また、ミレイ新大統領は就任に際して「漸進的な構造調整ではなく、ショック的な調整こそが必要」と述べるなど大胆な政策運営を志向する姿勢をみせたものの、経済政策を担うカプト経済相は10個の柱からなる政策を公表している。具体的には、①連邦政府による締結後1年未満の有期雇用契約の未更新(前政権関係者による既得権益の破棄)、②政府広告の1年間停止、③省庁削減(管理職や政治任用ポストの削減)、④連邦政府による州政府への自由裁量交付金の縮小、⑤連邦政府による公共事業の新規入札中止、⑥エネルギー・公共交通機関関連の補助金削減、⑦職業訓練と補助金給付による雇用支援を維持しつつ、貧困世帯向け支援を直接給付に限定、⑧公定レートの大幅切り下げ、⑨輸入手続きの透明性向上、⑩貧困世帯向け支援の強化といった政策を通じて歳出削減に取り組むとしている。

さらに、カプト経済相の盟友であるバウシリ氏が新総裁に就任した中銀も政策金利を28日物中銀債(Leliq)金利から翌日物リバースレポ金利に変更することで政策運営の透明性を高める姿勢をみせる一方、この変更に伴い政策金利は100%に引き下げられた。その一方、資本取引規制や上述のペソ相場の大幅切り下げに伴い輸入代金の支払いが出来ない事態に陥っている輸入業者を対象にドル建の中銀債発行により、事実上の民間債務の国有化で事態打開を図る方針を示している。

ビジネスチャンスとして有望な部門は、①リチウムなどの鉱業部門、②収穫増加が期待できる農業部門。③シェールガスなどのエネルギー部門、④水道・郵政公社・航空部門で2024年のGDP伸び率はマイナス3.0%から2025年のGDP伸び率は5.0%が期待されている。

最後の質疑応答では①過去何回のモラトリアムを行っているアルゼンチンがどのようにして国際金融市場で信用を得る手段は。自国通貨のドル化による影響。前政権は中国よりであったが、ミレイ政権の今後の中国との関係などが挙げられた。

東洋紡株式会社の酒井太市代表取締役及び山添誠司執行役員が訪問

写真左からToshifumi Murata, Taichi Sakai, Seiji Yamazoe e Yasuki Fujii

東洋紡株式会社の酒井太市代表取締役及び山添誠司執行役員、Toyobo do Brasil Participações Ltdaの藤井康喜社長が2024年3月21日に商工会議所を訪問、応対した村田俊典事務局長とブラジルの政治経済などについて意見交換を行った。

通貨政策委員会 (Copom) は、全会一致で政策導入金利(Selic)を現行の11.25%を0,50%引き下げて10.75%に決定 (2024年3月21日付けヴァロール紙)

20日にブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、全会一致で政策導入金利(Selic)を現行の11.25%から0.50%引き下げ、10.75%とした。当局は次回会合で同規模の追加削減を示唆している。

通貨政策委員会 (Copom)の最新の発表では、基礎的なインフレ指標はインフレ目標を上回っていた」と説明。エース・キャピタルのリカルド・デナダイ氏は、中央銀行は国際情勢と国内情勢の両方に大きな不確実性があることを明確に示したと説明している。

米国の連邦準備制度理事会は20日、5.5%を上限とする現在の政策金利を5会合連続で据え置くことを決定。焦点となっている金利の引き下げについては今年、3回行う見通しを維持した。パウエル議長は今後もインフレ退治に軸足を置き、金利の引き下げは慎重に判断していくと説明している。

FRBのパウエル議長は会合後のインタビューで、先進国の金利がパンデミック以前のような低い水準に戻るとは思わないと述べた。さらに、米国の連邦準備制度理事会は、2025年と2026年の利下げはより遅いペースで行われるはずだと示唆している。

このシナリオは新興国にとって最善のものではない。先進国の金利が高止まりすれば、世界の投資家がより安全であると考えられている先進国に投資金を残しておくことを選択する可能性が高まり、新興国にとっては不利益となる。

理論的には、ブラジルのような新興国が海外投資家にとっての魅力を失わずに金利を引き下げる余地は少なくなる。しかし短期的には、国内資産はFRBの柔軟な姿勢から恩恵を受ける可能性がある。

2023年2月~2024年3月までのブラジルのSelic金利と米国のFED金利の変動

2024年の連邦政府の歳入総額は1,865億2,000万レアルに達し、2月としては過去最高を更新(2024年3月21日付けヴァロール紙)

2024年の連邦政府のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比12.27%と二桁増加の1,865億2,000万レアルに達し、2月としては過去最高を更新、またインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同月比17.31%増加を記録している。

今年2月の歳入総額1,865億2,000万レアルは、2月としては統計を取り始めた1995年以降では最高の歳入総額を記録している。

今年2月の臨時歳入を含まない一般実質歳入総額は、11.95%増加の1,790億2,100万レアル、名目歳入総額は16.98%増加を記録している。

石油派生品などのロイヤリティなどの今年2月の実質臨時歳入は、前年同月比20.41%増加の75億200万レアル、名目臨時歳入は25.83%増加を記録している。今年初め2月間の累積実質一般歳入総額は、前年同月比8.82%に相当する4671億5,800万レアルを記録している。

これらのファンドに投資された資金に対する所得税の徴収は昨年12月に始まり、同ファンドは39億レアルの収益を上げた。在庫の正規化には、納税者にとって 4 回の分割払いが必要です。

今年2月の国庫庁の歳入増加の要因として、社会統合基金/公務員財形計画(PIS/PASEP)及び社会保障賦課金(Cofins)による歳入総額は、21.37%増加の390億レアルを記録している。

今年2月のキャピタルゲインによる実質個人所得税は、前年同月比4.74%増加の111億レアルを記録。社会保障院関連による歳入は4.74%増加の総額 503 億レアル、実質給与は6.47%増加を記録している。

海外住居者の個人所得による歳入は32.77%増加の4,300万レアルを記録。今年2月の連邦政府による免税総額は101億8,400万レアル、昨年2月の免税総額は126億8,300万レアルであった。

今年2月の工業製品税IPIによる歳入は1億7,000万レアル、慈善団体Cebasは1億1,500万レアル、公共交通・基本食品バスケット5,500万レアル、その他の項目向け免税は96億4,000万レアルであった。

3月の企業経営委員会月例会開催

月の企業経営委員会月例会は、2024年3月20日午後4時から5時30分まで90人が参加して開催、司会はフェルナンド・ミハラ副委員長が務めた。

初めにMadrona Fialho Advogados労働法チームのANNA HERNANDES YOSHIMURA弁護士並びにMARIANA SIQUEIRA弁護士はテーマ 『女性と男性の間で義務的な同一賃金を確立する2023 年 7 月に可決された法律第 14,611 号“Lei nº 14.611, que foi sancionada em julho de 2023, que estabelece a obrigatoriedade de igualdade salarial entre mulheres e homens”について講演した。

続いてEY Brasil のTATIANA CARMONAパートナーは、テーマ 『経費補助およびテレワーク手当に対する給与課税“A tributação da folha de pagamentos sobre ajuda de custos e ajuda ‘home office’ ”について講演した。

PDF anexos:
1. “Lei da Igualdade Salarial”
2. “Ajuda de custo e auxílio home office”

 

Nubankは時価総額更新で資源大手のヴァーレ社を追い越した (2024年3月20日付けヴァロール紙)

Nubank社の過去30日間の自社株価は15.50%上昇した一方、ヴァーレ社は鉱山会社の指揮継承の不確実性と同社への政治的介入に対する批判に圧迫され、自社株価は累積8.68%下落している。

19日のナスダック市場でヌーバンク株は0.51%上昇し、終値は記録更新となる11.85ドルで取引を終えた。その結果、ヌーバンク銀行の市場価値は552億5,000万ドルに達した。

2月のヌーバンク株の値上がり率は15.50%で、資源大手のヴァーレ社を追い抜き、ペトロブラス石油公社とイタウー銀行に次いで3番目の時価総額となるブラジル企業にのし上がっている。

Elos Ayta Consultoria社のEinar Rivero氏の調査によると、今日のペトロブラス社の時価総額は934億4,000万ドルに達し、続いてイタウー銀行の626億9,000米ドル、ヴァーレ社は524億3,000万ドル)、アンベブ社の時価総額は392億2,000万ドルとなっている。

ヌーバンク社の株価は過去30日間で大幅に上昇した一方で、ヴァーレは鉱山会社の指揮継承の不確実性と会社への政治的介入に対する批判に圧迫され、累積8.68%下落している。

時価総額トップ10のブラジル企業リストには、BTGパクツアル銀行343億6000万ドル)、WEG322億9000万ドル、ブラジル銀行316億4000万ドル)、ブラデスコ銀行282億7000万ドル)、サンタンデール銀行の209億ドルが含まれている。

ブラジル国内に8000万人の顧客を擁するヌーバンクは非常に統合された銀行であり、金融​​商品の他の分野にも参入することは間違いない。デジタル銀行の中で、技術、戦略、資本、預金の観点から見て、最も優れた地位にあるとItaúsa社のAlfredo Setubal会長は説明している。

ブラジル企業の時価総額トップ10企業リスト(2024年3月20日時点)

 

2024年上期の第3回フォーラム開催

貿易部会、生活産業部会並びに電機・情報通信部会共催の2024年上期の第3回フォーラムは2024年3月20日午前9時~10時すぎまでテーマ:2023年度下期の振り返り並びに今後の展望 副題:「2024年、ブラジル民間投資拡大の可能性~現地市場ニーズの取り込みに向けて~」について開催。司会はフォーラム委員会の近藤副委員長が務めた。

初めに貿易部会の大林氏は、アンケート調査ではジェトロ、医療や機械などのメーカー、卸・小売・商社。ブラジルの貿易収支の推移、輸出品目TOP15、輸入品目TOP15、輸出相手国、輸入相手国、日本との貿易、対ブラジルへの直接投資の推移、今後の注目すべき項目などについて説明。質疑応答では4月1日よりの新移転価格税制について。ブラジルでの今後1-2年の事業拡大分野の予想。2024年の日伯貿易で期待されている分野が挙げられた。

生活産業部会の川頭部会長は、建設部門、不動産部門、商業賃貸市場及びエネルギー関連部門、繊維関係部門の売上金額、受注金額推移、原綿相場の動き、ブラジル国内の綿花相場、ブラジル民間投資拡大の可能性。ブラジルのホームセンター事情、リジュネラティブ農業などについて説明。質疑応答では2024年のサンパウロ市の不動産市場の動向、今後の国際原綿相場、リジュネラティブ綿花生産の動向が挙げられた。

最後に電機・情報通信部会の松村部会長は、アンケート結果では、下期実績に対する改善若しくは悪化の要因、上期予測の要因及び最優先経営課題、投資や経費の変化、今後の展望では予想の要因及び最優先経営課題、世界的な市況変化によるビジネスへの影響と対策、DX・SDGs関連取組、アンケートから見る経済展望、設置機械稼働状況及び工作機械輸入金額の傾向、冷蔵庫及び洗濯機の販売台数の推移、ブラジルの5G加入者数の推移、パブリッククラウドなどについて説明した。最後に商工会議所、ブラジル政府、日本政府への要望として、日本‐メルコスール間のEPA交渉の促進。各国メルコスール関連の最新情報の発信、政治・財政の安定化、税制改革。国内製造業保護政策の強化、ブラジル経済、市況動向の情報共有を要請した。質疑応答では5G加入者増加も市場の拡大状況、精密機械の増加は横ばいもどの業界が伸びているのかなどが挙げられた。

PDF貿易部会発表資料

PDF生活産業部会発表資料

PDF電機情報通信部会発表資料