最終フォーカスレポートは、今年のGDP伸び率を0.78%に下方修正(2023年1月9日付けヴァロール紙)

9日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のGDP伸び率は前回予想の3.04%から3.03%若干下方修正している。

また2023年のGDP伸び率も0.80%から0.78%と若干下方修正した一方で、2024年のGDP伸び率は前回同様に1.50%に据え置いている。

ブラジル地理統計院(IBGE)が昨年12月初めに発表した昨年第3四半期のGDP伸び率は0.4%に留まって減速、昨年第4四半期のGDP伸び率は3月2日の発表が予定されている。

また昨年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回同様に5.62%に据え置かれている。今年のIPCA指数は5.31%から5.36%と上方修正、2024年のIPCA指数も3.65%から3.70%に上方修正されている。

今年末の政策導入金利(Selic)は12.25%に据え置かれたが、2024年末のSelic金利は9.00%から9.25%に上方修正されている。ブラジル中銀の2022年のインフレ指数の中央目標値は3.50%、2023年は3.25%、2024年は3.00%、許容範囲は±1.50%に設定されている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回のR$5.27からR$5.28に微調整、2024年末はR$5.26からR$5.30に微調整されている。

一方的中率が高いトップ5の2022年末のIPCA指数は前回予想の5.75%から5.77%と若干上方修正されている。2023年のIPCA指数は前回同様5.12%、2024年のIPCA指数も3.45%とそれぞれ前回同様に据え置かれている。

また2023年末のドルの為替は前回予想のR$5.24からR$5.25に微調整されたが、2024年末は前回同様R$5.26に据え置かれている。

 

2023年の保険業界の名目伸び率は二桁台か(2023年1月9日付けヴァロール紙)

ブラジル保険連合(CNseg)は、2023年の保険業界のインフレ指数を考慮しない名目伸び率は、今年のGDP伸び率が予想を上回る楽観的な見方に変わってきており、10%と二桁台の伸び率の可能性を指摘している。

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによる今年のGDP伸び率は0.80%を予想している一方で、ブラジル保険連合(CNseg)では、今年のGDP伸び率は2.2%まで伸び率る可能性を指摘している。

今年のGDP伸び率の中銀と CNSegとの大幅な違いについて、CNSegのDyogo Oliveira 会長は、歳出上限を無視するとして批判を集めているルーラ新政権の政権移行PEC (憲法補則案)による経済刺激効果を期待している。

政権移行PEC (憲法補則案)によるリソースの注入は、ブラジル国内の生産活動に弾みをつけ、保険業界を助けることができるとDyogo Oliveira 会長は指摘している。

政権移行PEC (憲法補則案)によるリソースの注入だけでなく、COVID-19パンデミックの影響の減少も保険業界にとっては朗報であるが、今年のGDP伸び率を押上げるには公共投資の再開が不可欠であるとDyogo Oliveira 会長は指摘している。

Essor社CEOの Filipe Alves氏は、今年は農畜産業伸び率が期待できるために、今年の保険業界の伸び率は二桁台に乗ると指摘している。

格付け会社Fitch 社では、2022年のインフレ指数のIPCAは6.5%、今年は5.2%予想で、保険業界の伸び率は7.3%に留まると予想している。

 

今年の企業のM&A案件は昨年の大幅減少から一転して増加予想(2023年1月7日付けヴァロール紙)

Refinitiv社の調査によると、2022年の米国のリセッション入り、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、世界の企業の買収・合併は前年比50%減少の1兆6,800億ドルに留まっている。

昨年の世界の企業の買収・合併は、世界的な金利の上昇、ファイナンスの縮小、債券市場の動揺、景気後退の可能性など、さまざまな財務上の困難に直面したため、2022年の企業合併・買収は大幅に減速していた。

昨年の世界の企業の買収・合併は前年比50%減少の1兆6,800億ドルに留まったにも拘らず、COVID-19パンデミック前の水準を維持している。

ビジネスアドバイザーは、M&A が昨年の低迷から 2023 年には回復すると予想しているにも拘らず、米国の連邦準備制度理事会によるさらなる利上げのペースと、インフレ率が40年ぶりの高値に達した後も緩和し続けている確証が必要となっている。

2022年のM&Aの勢いを弱めた要因として、最も重要な要素は信頼感と法律事務所Debevoise & Plimpton社M&A担当パートナーのWilliam Regner氏は、指摘している。

 

2022年のポウパンサ預金の出超は1,032億レアルに達す(2023年1月5日付けヴァロール紙)

今月5日のブラジル中央銀行の発表によると、2022年12月のポウパンサ預金は62億5,900万レアルの入超を記録したにも拘らず、2022年の1年間では1,032億レアルの出超を記録、政策誘導金利Selicが13.75%に達しているために、利払いの良い他の投資に逃避する傾向が続いている。

昨年のポウパンサ預金からの1,032億レアルの出超は過去最高を記録した1年間の2倍以上の出超を記録、インフレ抑制のためのSelic金利が二桁台の継続では、更なるポウパンサ預金からの逃避が継続する可能性が濃厚となっている。

ポウパンサ預金は建設不動産業界や農畜産業界向けのクレジット資金の財源となっているが、昨年1年間の不動産信用 (SBPE) 向けポウパンサ預金は809億レアルが逃避、また農村信用(SBPR)向けポウパンサ預金は223億レアルが逃避している。

2021年3月のSelic金利は過去最低の2.0%に留まっていたが、昨年は4.5%上昇、現在のSelic金利は13.75%を継続しているために、確定金利付き投資から資金流出が続いている。

Selic金利が年率 8.5% を超える場合、ポウパンサ預金の月間利回りは 0.5%、年率 換算で6.17% に、参考金利 (TR) を加えたものであり、他の債券投資よりも利回りが悪い。

ポウパンサ預金の過去最高の資金逃避は2015年の536億レアルと2022年の1,032億レアルの約半分であった。

COVID-19パンデミックの2020年は連邦政府による貧困層向け給付金支給及び低率のSelic金利で、ポウパンサ預金は1,253億レアルの過去最高の入超を記録していたが、2021年はSelic金利の上昇に伴って536億レアルが逃避していた経緯があった。

2022年の新車販売台数は前年比マイナス0.7%に留まる(2023年1月5日付けヴァロール紙)

自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、2022年のトラックやバスを含むブラジル進出自動車メーカーの新車販売は、半導体供給問題やロシアによるウクライナ侵攻による部品物流問題の加担して、前年比マイナス0.7%に相当する210万4,000台に留まっている。

年末休暇向けの自動車メーカーの集団休暇導入などにも関わらず、2022年12月の新車販売は前年同月比4.78%増加の21万6,920台、また前月比では6.3%増加を記録している。

5日の全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)では、2023年の新車販売は前年比僅か0.1%微増に留まると悲観的な予想に留まっている。

2023年の自動車メーカーでは、新車生産のための部品不足、特に自動車向け半導体の世界的な供給問題に加えて、政策誘導金利Selicが13.75%で高止まりしているために、新車購入希望者向けクレジット金利及び与信強化で悲観的な予想にならざるを得ない。

新車販売がCovid‐19パンデミック前の2019年の279万台までのレベルに戻るためには、世界的な半導体供給問題の解決、高止まりしているインフレ指数やクレジット金利、ルーラ新政権による経済活性化政策の導入などが不可欠となっている。

ナショナル製鉄所に追従してコンペチターは今年初めに10%前後の値上げを敢行(2023年1月5日付けヴァロール紙)

ナショナル製鉄所(CSN) は2023年年頭に自社の鉄鋼製品の値上げを発表したが、コンペチターのアルセロールミッタル・ツバロン製鉄、ウジミナス製鉄所は追従する形で自社の鉄鋼製品の値上げを決定している。

ナショナル製鉄所(CSN)では自社鉄鋼品の価格を平均10%前後の値上げを行うが、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、コイル、パッケージング用錫メッキ材料、亜鉛メッキおよび塗装済み材料などの製品ラインに適用される。

鉄鋼業界関係筋によると、ArcelorMittal Tubarão は、エスピリット・サント州のセーラ製鉄所及びサンタ・カタリーナ州のサン・フランシスコ・ド・スル製鉄所で製造する熱間圧延、冷間圧延、およびコーティングされたコイル製品を今月4日から約10%の値上げを実施している。

またブラジル国内の自動車メーカー用の平板供給の主なサプライヤーのウジミナス製鉄所は、今月16日から鉄鋼製品の種類によるが、9.0%~12.0%の値上げを実施すると供給先の顧客に通達している。

ミナス州内の鉄鋼メーカーは、今年1月初めから自動車メーカー向けの鉄鋼製品の値上げを発表しているが、その他の産業界向けの鉄鋼製品値上げは4月に予定されている。

鉄鋼メーカーと自動車メーカーとの値上げ交渉は昨年までは年1回であったが、鉄鋼製品生産向け原料である鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格変動や国際市場の価格変動により、今後は半年に1回の交渉に変更されている。

この年2回の値上げ交渉の説明には、世界的なシナリオの不安定性や、ドル為替に対するレアルの変動も含まれるが、主に中国からの輸入品と比較して国産品のプレミアムに影響を与える。

2022年11月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.1%(2023年1月5日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2022年11月の鉱工業部門生産量は前月比マイナス0.1%と10月の0.3%増加から一転してマイナスに転じている。

昨年11月の鉱工業部門生産量は前年同月比0.9%増加、昨年10月の鉱工業部門生産は前月比1.7%、9月は0.4%、8月は2.8%それぞれ増加を記録していた。昨年初め11か月間の鉱工業部門の累計生産量はマイナス0.6%、昨年11月の過去12か月間の鉱工業部門の累計生産量はマイナス1.0%を記録している。

昨年11月の前月比の鉱工業部門生産の調査対象の大枠4部門のうち2部門で増加を記録、また調査対象の26セクターの内11セクターではマイナスを記録している。

特に鉱業セクターはマイナス1.5%、情報機器・電気製品・光学機械セクターマイナス6.5%、繊維セクターマイナス5.4%、衣類・アクセサリーセクターマイナス3.8%、木材セクターマイナス1.5%、非金属セクターはマイナス1.2%を記録している。

一方食品セクターは3.2%増加、自動車・トラック・輸送機器セクターは4.4%増加、飲料セクターは10.3%と二桁増加を記録、石油派生品・バイオ燃料セクター は2.8%、金属セクター3.1%、木材セクター7.4%、香水・洗剤・衛生用品セクターは3.5%それぞれ増加を記録している。

昨年11月の資本財セクター生産量は前月比0.8%増加、前年同月比0.7%増加、昨年初め11カ月間の累積生産量は前年同期比マイナス0.4%、昨年11月の過去12カ月間の累積生産量は前年同期比マイナス0.1%を記録している。

前記同様中間財セクターは0.4%増加、1.3%増加、マイナス0.5%、マイナス0.8%を記録、また消費財セクターはマイナス0.1%、0.5%増加、マイナス1.0%、マイナス1.7%、そのうち耐久消費財セクターはマイナス0.4%、2.0%増加、マイナス3.2%、マイナス4.3%、また非耐久消費財セクターは0.6%増加、0.2%増加、マイナス0.5%、マイナス1.1%を記録していた。

 

今年の社会保障院(INSS)の赤字は3,630億レアル予想(2023年1月5日付けヴァロール紙)

2019年の社会保障関連改革の実施にも関わらず、2023年度の社会保障院(INSS)の赤字をカバーするために連邦政府は3,630億レアルに達する財政支出を余儀なくされると予想されている。

今年の社会保障院(INSS)自体の赤字は2,672億レアル、連邦政府職員給与向け支出による赤字は473億レアル、連邦政府軍部向け支出は485億レアルの赤字が見込まれている。

この社会保障関連赤字予測は、ボルソナロ前政権の経済チームによって検討、予算案が作成され、昨年8 月に国会に送られ、年末に承認されている。 2022 年末までの社会保障院(INSS)自体の赤字は2,575 億 8,200 万レアルであった。 また昨年11 月までの 12 か月間で、連邦公務員と連邦軍部向け年金赤字は 1,082 億レアルに達している。

社会保障関連分野スペシャリストによると、2019年の社会保障関連改革は爆発的な支出増加を防ぐという目的を達成したことを示しているが、社会保障関連の赤字は依然として高く、財政赤字削減の足枷になっているとカルロス・ルピ社会保障相は指摘している。

Lupi社会保障相は、今週火曜日の就任演説で、社会保障改革の修正を擁護し、連邦政府の社会保障関連専門家と労働市場を騒がせたが、ルイ・コスタ官房長官などの閣僚による発言否定を余儀なくされた。

2022年のブラジルのトウモロコシ輸出は前年比109%増加(2022年1月4日付けヴァロール紙)

ブラジル穀物輸出協会(Anec)の調査によると、2022年度のブラジルのトウモロコシ輸出量は、前年の2,060万トンの109.4%増加に相当する4,310万トンを記録、また昨年12月のトウモロコシ輸出量は、前年同月比75.4%増加に相当する580万トンを記録している。

一方昨年の大豆の輸出量は、前年比マイナス10.2%と二桁台減少の7,780万トンに留まった。また昨年12月の大豆輸出量も前年同月比マイナス40.2%に相当する150万トンに留まっている。

また昨年1年間の大豆かすの累積輸出量は前年比21.0%増加の2,040万トンを記録した一方で、昨年12月の大豆かす輸出は、前年同月比マイナス10.8%に相当する130万トンに留まっている。

昨年の小麦輸出量は前年比188.8%増加の320万トン、また昨年12月の小麦輸出量は、前年同月の53万8,600トンを15万トン上回る68万9,200トンを記録している。

ブラジル穀物輸出協会(Anec)では、2023年1月のブラジルの穀物類輸出を予想、特にトウモロコシ輸出量は前年同月比94.6%増加の430万トンを予想、大豆、大豆粕及び小麦の輸出はそれぞれマイナス42.4%、マイナス15.4%及びマイナス59.6%を予想、また大豆及び大豆粕輸出は130万トン、小麦輸出は28万700トンを見込んでいる。