11月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は0.53%増加、(2022年11月24日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、10 月16 日~11月15 日までの30 日間に計測された2022年11月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、10月の0.16%増加に続いて0.53%増加、前年同月は1.17%増加を記録していた。

Valor Data社の38金融機関やコンサルタント会社対象の調査によると、今年11月のIPCA-15指数の最低予想は0.42%増加、最高予想は0.67%増加、平均予想は0.54%であった。

今年11月の過去12カ月間の累積IPCA-15指数は、10月の6.85%から6.17%と約0.7%も減少、今年の中銀のインフレの中央目標値は3.50%、許容範囲は±1.50%となっている。

インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、ブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の予想として先行して発表、1最低サラリーから40最低サラリーの所得層を対象に調査、ブラジリア連邦直轄地とゴイアニア市の地方自治体に加えて、9大都市圏を対象に調査されている。

11月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)の調査では、食品・飲料は10月の0.21%増加から11月は0.54%、前記同様住居関連は0.28%から0.48%増加、衣類は1.43%から1.48%増加、通信費はマイナス0.42%から0%を記録している。

一方11月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)が前月比で減少したのは、輸送部門の0.64%から0.49%増加、個人消費部門は0.57%から0.27%、教育部門は0.19%から0.05%増加に減少している。

ルーラ新政権の来年は消費拡大によるGDP伸び率は低調か(2022年11月24日付けヴァロール紙)

2023年1月に大統領に就任するルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ新大統領は、最低賃金の実質引き上げや Auxílio Brasil/Bolsa Familia の拡大など、一般家庭の所得増加政策導入で消費力を高めることができる措置をすでに発表している。

消費への刺激による国内総生産 (GDP) の成長は、以前に政権を担っていたルーラ政権下では広く活用された戦略であったが、 来年からのルーラ政権下では同じ方法によるブラジルの経済活性化するには過去との条件が違っており、高いインフレ率と金利、多額の債務を抱えた一般家庭、中国を含む世界全体の景気が急激に減速している。

2003年から2010年のルーラ政権 では、所得移転、最低賃金の引き上げ、信用へのアクセスに基づく経済政策により、 GDP は平均年率4.0% に対して、一般家庭の消費は4.8%とGDP伸び率を上回っていた。

2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ (PL) 政権の 4 年間 では、 2020 年2月末からのCOVID-19パンデミックショックに直面した一方で、いくつかの一時的なインセンティブ政策の採用で年平均のGDP伸び率は2.0%に対して、消費は3.0%が見込まれている。

ルーラ次期大統領は、最貧層がそのような財政支出上限法を保証するために苦しむことを強いられているのかとの演説の翌日には、レアル通貨に対するドル為替の高騰及び株価の下落でブラジル金融市場はボラティリティに見舞われた経緯があった。

ルーラ政権が採用する政策にはさらなる国内生産の成長と雇用であり、これを達成する方法の1つは、Selic 金利を引き下げることであり、中央銀行が金利を引き下げるためには、財政の枠組みと、次期政府による最小限の穏健な対応が必要と指摘している。

ルーラ政権が誕生した2003 年は、カルドーゾ前政権の経済的課題を継続し、前政権が実施した実施した各種改革の効果で潜在的なGDPにプラスに作用していた経緯があった。

2003年の国際コモディティ指数は、258.1ポイント から 2010 年には 451.5ポイントに上昇した。中央銀行によって測定されるブラジル商品指数 (IC-Br) は、2003 年初頭の70 ポイントのレベルから2011年には150ポイントまで上昇していた。

またその当時は中国の力強いGDP成長が国際コモディティ需要を後押しし、ブラジルの輸出に恩恵をもたらした。 世界銀行のデータによると、2003 年から 2010 年の間に、中国の GDP は 2 桁以上またはほぼ 2 桁に近い年率で成長し、2007 年には 14.2% に達していた経緯があった。

COVID-19パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界的な生産チェーンの工業製品のインフレ率は、2021 年に 11.9% に達し、最終フォーカスの予想では、今年は 9.2%、2023 年には 3.5%、2027年迄は 3.0% まで緩やかに減速することが予想されている。

コモディティのブームで当時のルーラ政権の政府歳入を大幅に増加して、早くも2005年には財政政策の緩和を開始する余地が出来て、税制上の優遇措置を付与し、政府の歳出を増やしていた経緯があった。

対照的に、ボルソナロ政権下の2021 年の財政プライマリー収支は、前年迄7年間連続の赤字からGDP比0.7%の黒字を記録、今年の財政プライマリー収支はGDP比0.5%の黒字が見込まれている。

今年8月末の一般家庭の負債残高と可処分所得の比率は、52.9%と7月の53.1%よりも若干減少したが、収入に対する月間負債返済額は29.4%と記録を更新しているが、ルーラ政権初年度の一般家庭の負債は、クレジットに対する与信が厳格であったために現在よりの遙かに低かった。

ルーラ政権と現在のボルソナロ政権では、連邦政府の財政支出の上限に対する厳しい統制や一般家庭の負債比率、高止まりしているインフレや金利など政権運営の大きな違いが発生しているために、慎重な政権運営が期待されている。

スカニアグループ企業LOTS社はブラジル国内事業拡大で2億300万レアル投資(2022年11月24日付けヴァロール紙)

スエーデン系スカニアグループ傘下の輸送ロディスティック企業 LOTS社は、ラテンアメリカ地域での事業拡大で、ブラジル国内に2023年に総額2億3,000万レアルの投資を計画している。

現在同社のラテンアメリカ地域を牽引するブラジルでは、鉱業市場への参入を模索することに加えて、国内事業の収益の 3 分の 2 を占める砂糖部門への事業拡大を積極的に展開する。

LOTS はすでにチリで鉱物部門で事業を展開しているが、鉱物資源大手のヴァーレ社などを擁するブラジル国内での鉱業部門への事業参入を虎視眈々と狙っている。

LOTS はブラジル国内での事業拡大は持続的成長を基本としているにも関わらず、ポートフォーリオ拡大のための新事業参入時には企業の買収や合併もオプションとして視野に入れている。

LOTS社は2016年にスカニアグループの小事業部門として設立され、スカニアグループにとって戦略的な役割を担う事業であり、技術が物流輸送市場で進歩するにつれて、業界は変革を遂げ、サービスの提供が強化されると予測されており、LOTS社は物流輸送部門でのマーケットシェア拡大を狙っている。

LOTS社はブラジル及びチリ以外にもカナダ、米国に進出して物流輸送部門での事業を拡大しており、ペルー、ドイツおよびオーストラリアでの物流輸送部門への進出を計画している。

LOTS社の今年のブラジルでの売上は前年比94.0%増加に相当する2億2,500万レアルを見込んでおり、ブラジルの売上は全体の3分の2に相当。2023年の世界の売上は5億レアル、そのうちブラジルでの売上は3億3,000万レアルを見込んでいる。

調査対象の60%はブラックフライディ期間中の商品購入を否定している(2022年11月23日付けヴァロール紙)

米国の感謝祭の11月の第4木曜日の翌日金曜日に当たる今年のブラジル国内のブラックフライディー商戦向けの購買調査によると、調査対象の10人中6人は、ブラックフライディー商戦で謳っている大幅な割引価格は、実態を反映しない偽造価格と疑っており、ブラックフライディー期間中の商品購入はしないと回答している。

今年のブラックフライディー商戦期間中のインフレ指数を差引かない名目小売販売は、前年同期比2.0%~9.0%増加が見込まれている。

2021年のブラックフライディー商戦期間中の小売販売は、ブラジルで米国のブラックフライディー商戦を導入した2010年の小売販売以降では、COVID-19パンデミックや高止まりするインフレ指数や金利、低調な国内経済を反映して、最も低調な小売販売に留まっていた。

デジタル企業の Reclame Aqui社が11月11日から13日にかけて、同社サイトの1万3700人のユーザー対象の調査によると、56.7%の消費者はブラックフライディー商戦期間中花にも購入しないと回答、そのうち20.8%は値下げ販売価格は実態を反映しない偽造価格と疑っている。

昨年の同社の調査によると、一般消費者は、小売販売店やメーカーがブラックフライデー前に値上げし、イベント直前に価格を下げて誤った割引を表示していると指摘している。

また一般消費者が何も買わない主な理由の2番目に相当する19.5%はオファーを信頼できないため、3 番目に相当する13.4%は購入資金に余裕がない。4番目の12.9%は負債を抱えていると回答している。

一方ブラックフライディー商戦期間に商品を購入すると回答したのは43.3%、30%は1か月前から購入予定の商品価格をモニタリングしていると回答、また23%の商品購入予定者は3か月前から目当ての商品価格のモニタリングをしていると回答している。

また購入先調査では、36.2%は小売販売店のオンラインサイトと回答、20.6%は販売価格の最も安いサイト、また19.7% はソフトアプリで購入、実店舗での購入はわずか11.2% であった。

11月のオンライン労働問題研究会開催

企業経営委員会(島田領委員長)主催の11月のオンライン労働問題月例会は、2022年11月23日午後4時から5時30分まで57人が参加して開催、司会は三原フェルナンド副委員長が務めた。

初めに Gaia, Silva, Gaede AdvogadosのMARIA BEATRIZ RIBEIRO DIAS TILKIAN パートナーとCRISTIANA ALLI MOLINEIRO 弁護士は、テーマ『雇用契約におけるLGPDの実務的側面』“Aspectos práticos da LGPD nos contratos de trabalho”、続いてAbe Advogados のBIANCA MARTINS JULIANI弁護士は、テーマ『有能な人材を維持する方法としての戦略的報酬形態』 “Formas de remuneração estratégicas como forma de retenção de talentos”についてそれぞれ講演した。

ビデオ視聴は右クリック→ acesse aqui

PDF anexos:
1. “Aspectos práticos da LGPD nos contratos de trabalho” 
2. “Formas de remuneração estratégicas como meio de retenção de talentos”

今年のE-commerceによる輸入は約100億ドルで貿易収支悪化の一因(2022年11月23日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の統計によると、今年初め9か月間の海外での e-commerceによる小口の輸入総額は84億9,000万ドルと前年同期の39億2,000万ドルの2倍以上の伸び率を記録して、今年の貿易収支の黒字幅を下げる一因となっている。

今年9月末の過去12か月間の海外からの累計オンライン輸入額は102億4,000万ドルの一方で、今年初め9か月間のブラジルから海外へのオンライン輸出額は28億9000万ドルと前年同期の15億3,000万ドルの2倍弱に増加している。

ブラジル中央銀行では、郵便または宅配便でブラジルに到着または国外に出入りする国際注文を含む小額の輸入または輸出は支払容易な商品販売と見なしているが、 郵便による個人向け一般的な輸入は、1回の輸入金額は3,000ドルに制限されている。

中央銀行のデータによると、Secexでは今年の貿易黒字を 570 億ドルと見込んでいるが、今年9 月の 12 か月間の暗号資産取引は68.6 億ドル並びに e-commerceによる少額の国際商取引 は66.4 億ドルとそれぞれ大幅な赤字を計上している。

コンサルタント会社テンデンシアス社のシルビオ・カンポス・ネト氏は、暗号通貨とe-commerceによる少額の輸入増加は、税制優遇措置の変更後の新しい現象は経済的要因に沿ったものであるとコンサルタント会社テンデンシアス社のシルビオ・カンポス・ネト氏は指摘している。

今年10月の中国の粗鋼生産は11.0%と二桁台の増加を記録(2022年11月22日付けヴァロール紙)

64カ国の約170鉄鋼メーカーが加盟しているベルギーのブリュッセルに本部のある世界鉄鋼協会(Worldsteel)の発表によると、2022年10月の中国の粗鋼生産は、前年同月比11.0%増加の7,980万トンを記録している。

中国の粗鋼生産が2021年下半期から減少傾向になった要因として、中国政府による二酸化炭素排出削減政策の強化及び今年初めからのCOVID-19パンデミック対応のCOVID-19ゼロ政策の対応が生産減少に繋がっていた。

しかし今年下半期から中国政府はCOVID-19パンデミック対応のゼロ規制プログラムの緩和政策の導入及び大口消費の建設業部門の活性化が中国の粗鋼生産の大幅な増加に繋がっている。

今年初め10か月間の中国の累計粗鋼生産は、前年同期比僅かマイナス2.2%に相当する8億6,060万トンまで回復していると世界鉄鋼協会(Worldsteel)は指摘している。また今年10月の世界の粗鋼生産は、中国の回復に伴って1億4730万トンと昨年同月並みの粗鋼生産に回復している。

今年10月の世界の粗鋼生産比較では、米国、日本、ロシア、韓国、ドイツ、トルコ及びブラジルは前年同月比マイナスを記録した一方で、粗鋼生産が世界2位のインド、およびイランは増加を記録している。

今年10月のブラジルの粗鋼生産は前年同月比マイナス4.5%の280万トン、今年初め10か月間の累積粗鋼生産はマイナス5.2%の2,870万トンに留まっている。

10月の電力エネルギー消費は2.5%増加(2022年11月22日付けヴァロール紙)

ブラジル電力取引市場(CCEE)の統計によると、2022年10月のブラジル国内市場の電力エネルギーの平均消費は、前年同月比2.5%増加の6万5,912メガワットを記録している。

今年10月の電力エネルギー需要の増加は、9 月の電力エネルギー消費が降雨と低温の影響を受けた後、大半の州で平均気温が上昇したこととブラジル電力取引市場(CCEE)は指摘している。

電力エネルギー供給会社が自由に選択できる10月の自由市場の電力エネルギー需要は前年同月比4.8%増加の2万3,738メガアット、販売先が限定されている電力エネルギー消費量は1.3%増加の4万214メガワットであった。

10月の販売先が限定されている電力エネルギー消費量は今年の月間記録の要因として、南東部地域、北部地域及び北東部地域の一部で今年1番の高温を記録していた。

今年10月の電力消費量が最も減少したのはペルナンブーコ州でマイナス5.0%を記録した一方で、最も消費が増加したのはマラニョン州の29.0%、トカンチンス州17.0%、リオ州は7.0%とそれぞれ大幅に増加している。

産業別の電力消費量比較では、上下水道部門は17.2%、サービス業部門12.0%、紙・パルプ部門10.5%とそれぞれ二桁台の増加を記録した一方で、電力消費量が減少したのは、通信部門はマイナス0.3%、商業部門はマイナス0.6%となっている。

今年10月の電力エネルギー供給量は前年同月比2.2%増加の6万8,572メガワット、そのうち水力発電による電力エネルギー供給は25.4%増加の4万4,281メガワットの一方で、火力発電はマイナス55.3%の9,301メガワットに留まっている。

また風力発電による電力エネルギー消費量は32.5%増加の1万3,101メガワット、太陽光発電は70.8%増加の1,879メガワットとそれぞれ大幅に電力エネルギー供給量が増加している。

 

フォーラム委員会主催の「初の左派政権を迎えたコロンビアの今」セミナー開催

写真は講演中のジェトロボゴタ事務所の豊田哲也所長

フォーラム委員会(森谷伸晃委員長)主催のオンラインセミナーは、2022年11月22日午後2時から3時まで約60人が参加して開催。進行役はジェトロサンパウロ事務所の古木勇生ディレクターが務めた。

講師はジェトロボゴタ事務所の豊田哲也所長、テーマ「初の左派政権を迎えたコロンビアの今」について講演。初めに豊田所長は、ペトロ新政権の動向として、2022年6月の決選投票で、グスタボ・ペトロ氏が50.44%の得票率で勝利。8月7日就任。長年、右派と中道右派が政権を担ってきたコロンビアで、初の左派政権が誕生。主要閣僚に実務経験者を配置する人事と評されるオカンポ大蔵・公債相指名について産業界からは歓迎の声。閣僚18名中、半数の9名が女性閣僚が占めている。

3月に実施された議会選挙では、自由党と保守党という伝統的な2大政党が支持を伸ばした一方、左派のパクト・イストリコが大幅に躍進。ペトロ氏の大統領選勝利以降、保守党、U党、自由党、緑の党が次期大統領を支持すると表明。上院、下院ともに与党が約9割を占める構成となっている。。

新政権の基本政策は、社会的正義、環境正義及び経済的正義で大統領選から公表している政策コンセプトは大統領就任後も一貫。公約キーワードは「和平」「対話」「地域」。ペトロ大統領は、2018年以降中断されていたELNとの停戦協議を、キューバ、ノルウェー、ベネズエラの仲介の元で再開すると発表。新政府は、武装組織・犯罪組織と「対話」をすることで、コロンビアの「完全な平和(Paz Total)」を実現する考えと説明した。。

税制改革では、オカンポ大蔵・公債相は、ペトロ大統領の就任翌日、「平等と社会正義のための税制改革」と名付けた法案を提出。法人税は据え置く一方、原油、石炭部門、水力発電部門への上乗せ課税を導入。外国企業の配当金に対する源泉徴収税率は、現行の10%から20%へ引き上げ。健康税の対象となる超加工品には、醤油などの調味料を含まれる。富裕層から実質的により多く徴税。エネルギー・環境関連政策では、石油探査を停止するとの大統領公約について閣僚間で見解に相違が生じている。フラッキングによる採掘については禁止の意向。今年11月のCOP27においてアマゾン環境保全に年間2億ドルを拠出すると宣言。欧州投資銀行(EIB)とグリーン水素等を含むエネルギー転換での協力を発表している。

ベネズエラとの関係改善では、ペトロ政権はマドゥロ政権をベネズエラの正当な政権と認定。ベネズエラとの関係は急速に改善。コロンビア国内には約180万人のベネズエラ移民が存在。コロンビア経済動向では実質GDP成長率推移。今年第3四半期は7.0%の成長。民間最終消費支出、投資、輸出が堅調。今年のGDP成長率予想は4~8%と幅広い。来年は2~3%の成長が見込まれている。物価、金利では今年1月以降、単月で1%超が常態化。今年は年間で10%を超える見込み。今年10月末に政策金利を11.0%まで引き上げ。為替は昨年平均は3,744ペソ。今年10月の月間平均は4,715ペソ。貿易では 今年上半期は輸出入ともに前年同期比2桁増。貿易収支では今年の輸出は石油、コーヒーなど一次産品価格の上昇により1~9月で前年通年を上回る。経常収支では、2020年に貿易収支が改善したこと等により一時的に経常収支赤字が減少。

対外債務残高は2020年以降、対GDP比50%超。今年の財政赤字を対GDP比6.2%と見込む。格付けでは Moody’sは格付けを変更せず、2021年10月6日、見通しを「Stable」。格付け機関S&P、Fitchtはそれぞれ2021年5月、7月に格付けを1段引き下げ。「投資適格」外となる。

日本企業関連の状況では、80社の日本企業が進出、そのうち約40社が駐在員を派遣。2021年の営業利益は前年と比べ「改善」が44%。半数は「横ばい」。最大の改善理由は「現地市場での売り上げ増加」。今後1~2年で事業展開を「拡大」するとの回答は55%と中南米有数。EPA実務者間での交渉が停滞。租税条約は2018年12月署名も漸く今年9月4日発効。最後に豊田所長は、外面イメージの良くないコロンビアですが、ビジネスチャンスの大きなコロンビアには実施に来て肌で感じてほしいと要請した。

質疑応答では、現在のコロンビアではコカインは合法化されたのか。脱炭素に対する現地企業の対応は。砂糖及び塩の入った食品に対する課税措置は既に開始されたか。ラーメンも多勢対象になるのかなどが挙げられた。

PDF コロンビアの政治経済動向(2022.11)ジェトロボゴタ事務所の豊田哲也所長

 

コンサルタント部会主催「ブラジル法制度に関する第1回基礎セミナー」開催

コンサルタント部会(天野義仁部会長) 主催は、2022年11月22日午前9時から10時30分までハイブリッド 形式で130人が参加して開催。進行役は天野義仁部会長 が務め、講師に現在Cescon, Barrieu, Flesch & Barreto Advogados出向中のTMI総合法律事務所の柏健吾氏を迎えて講演、初めにブラジルの法制度では制定法主義、連邦法、州法及び自治体法、憲法、法律、政令、規則、暫定令、訓令、省令などの多種類の法令の存在、裁判制度では基本的に三審制度も時には連邦高等裁判所までの四審、米国の様なデスカバリ制度や集団訴訟はない。訴訟件数が多いために時間が掛かる裁判制度について説明した。

また会社運営では会社の清算、休眠会社による会社存続。契約では私的自治の原則、契約の無効及び取り消し。契約違反時の対応。販売代理の形態、独占権、契約解除方法及び補償金規定、知的財産権では日本と同様の種類。ライセンス契約、INPI登録、職務発明・著作、並行輸入、模造品対策。消費者保護法ではブラジルの消費者保護法、製造物責任、契約不適合責任、クーリングオフ、倒産法では破産手続き、裁判上の破産手続き及び裁判外の破産手続き等について講演した。

質疑応答では、国立工業所有権院(INPI) 登録のロイヤリティの日本への支払期間。日本の下請法に類似する法律の存在。INPI登録で100年間の契約の可能性。会社清算時の労災補償を受けている従業員への対応。日本企業のブラジルへの投資の少ない要因。日本本社に対する株主責任。通信販売法におけるクーリングオフの適用。法人税に関する税理士と弁護士の対応などが挙げられた。

PDF 商工会議所主催セミナー2022年11月22日(TMI柏)

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