ルノーがサン・ジョゼ・ド・ピニャイス工場への20億レアルの投資を発表

ルノー・ド・ブラジル(Renault do Brasil)が6月30日、新型SUVと1.0リッターの新型ターボエンジンの製造に向けてパラナ州サン・ジョゼ・ド・ピニャイス(São José dos Pinhais)市の工場に20億レアルを投資すると発表した。新型車の製造は、2022年3月に発表済みだったが、新しい投資計画には本社の承認が必要だった。

CMF-Bと呼ばれるSUV向けの新規プラットホームによって将来的に、将来的に発生し得る電気自動車(EV)化も含めて新車種の製造を引き受けることが可能になると同社は強調した。ラテンアメリカ地域を担当するルイス・フェルナンド・ペドルッチ(Luiz Fernando Pedrucci)社長は、「ルノー・グループの世界最高の技術をつぎ込んだ新型車とエンジンのリリースに向けて我々は準備を進めており、ルノーのラテンアメリカ事業の重要なフェーズだ」とコメントした。

ルノー・ド・ブラジルのリカルド・ゴンド(Ricardo Gondo)社長によると今回発表した投資は、2021年3月に発表した投資の完了後に推進される。2021年3月に発表されたこの投資は、ゾエE-Tech elétrico(Zoe E-Tech elétrico)と新型ターボエンジンのTCe 1.3 Flexを搭載したSUVのキャプチャー(Captur)のリリースと、クウィッド(Kwid)及びマスター(Master)、ダスター(Duster)、オロキ(Oroch)のニューラインナップの立ち上げ、8月に納入を予定する事前予約中のクウィッドE-Tech elétrico(Kwid E-Tech elétrico)が対象だった。

利益率重視へ

ルノーは現在、ルノルーション(Renaulution)と名付けた、販売台数よりもバリューを重視し高価格で収益性の高いモデルに照準を合わせた戦略への転換を進めている。

新型SUVは2年以内にリリースが予定されており、現在はフィアットのパルス(Pulse)とフォルクスワーゲン(VW)のTクロス(T-Cross)が席巻する市場に参入する。

ルノーが提携する日産も4月、リオデジャネイロ州レゼンデ(Resende)市の工場に対して2025年までに約13億レアルを投資すると発表している。同社はこの投資を、新型車の製造と工場の近代化に使用する。なお同工場は今月4日から8日にかけて、半導体部品の不足から製造ラインを停止する予定である。(2022年7月1日付けエスタード紙)

2022年2―5月の失業率が過去7年で最低の9.8%に低下したとIBGEが発表

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月30日、2022年3―5月に失業率が9.8%を記録して2―4月の10.5%から低下したとする継続的全国家庭サンプル調査(Pnad Continua)の調査結果を発表した。今回の予想は、エスタード紙が市場から集めた事前予想の平均(10.2%)だけでなく、下限(9.9%)も下回った。予想の上限は、10.6%だった。

Pnad Continuaで計測した失業率が10%を下回るのは、9.6%を記録した2016年1月(2015年11月―2016年1月)以来である。同様に、5月までの3か月間の失業率としては、8.3%を記録した2015年以来の低い水準となる。

2021年3―5月の失業率は14.7%だった。なお、2022年2―4月の3か月間の失業率は、10.5%。

国内の総失業者数は1,063万1,000人。希望する労働時間未満の条件で就労している人と、どうせ仕事が得られないと求職しない人(求職意欲喪失者)を含めると、労働者の希望に対して活用が不十分な労働力は、2,540万1,000人となる。IBGEのアドリアーナ・ベリングイ(Adriana Beringuy)労働・所得調査主任は、「これは、進行中の回復プロセスだ」と受け止めている。

失業率が低下したことについてLCAコンスルトーレス(LCA Consultores)のエコノミスト、ブルーノ・イマイズミ(Bruno Imaizumi)氏は、2022年上半期(1―6月期)に記録した経済回復の影響を受けたと分析しているが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生後、女性と高齢者を中心に一定数の労働者が労働市場に復帰していないことも影響していると指摘した。

今回の結果についてイマイズミ氏は、「5月の結果を2020年2月と比較すれば、依然として280万人が労働力人口の枠外に移っている。これらは、労働市場に復帰できなかった人たちだ」と同氏は話す。「パンデミックによって育児に関する支援と援助のネットワークが大規模に崩壊した時、最も打撃を受けたのが女性たちだった。高齢者のケースでは、年金の繰り上げ需給の外、COVID-19感染と感染後の長期にわたる後遺症への懸念が大きく影響している」と同氏は指摘した。(2022年7月1日付けエスタード紙)

BBBRの倉智CEOがYKS社一行と会議所訪問 

30日ブラジル・ビジネス・コンサルティングの倉智隆昌CEO(創業者)が、香川県の大手アパレルメーカーのドレスシャツやカジュアルシャツを製造しているYKS社等一行と平田事務局長を訪問した。
YKSは新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、医療現場で不足している医療用ガウン(アイソレーションガウン)も開発製造している。ブラジルは北米に続き爆発的なコロナ感染拡大で死者数が最も多かった地域、今なお院内感染防止対策に歯止めがかからず国を挙げて取り組んでいる。今回の訪問の背景にJICAが提案するODAを活用した 民間企業海外展開事業がある。一行の懸念課題であるANVISA(国家衛生監督庁)規制について、過去から取り組んで来た当所の医療機器分科会の活動事例を説明、今後の人脈を含む対応策などについてアドバイスを行った。

写真は左から石森Value Frontier代表取締役(SDGsコンサルタント)、須藤YKS業務改革室室長、平田事務局長、楠井YKS取締役、倉智BBBR CEO

 

税収が増加したものの2022年5月に中央政府の財政収支は393億レアルの赤字

連邦税の税収が増加したものの、中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)は2022年5月に財政赤字を計上した。5月の財政収支は、393億5,000万レアルの赤字。4月の286億レアルの黒字から、赤字に転落したことになる。

国庫管理局と社会保障院、中銀の収支を考慮した金額。5月としては、1,266億レアルの赤字を計上した2020年以来の大きな赤字となる。

また5月の歳入は、インフレを考慮した実質比較で前年同月比+5.6%を記録。一方の歳出は、実質比較で+7.9%を記録した。

また1―5月で見ると、依然として黒字で推移している。2022年初からの5か月間では、中央政府の歳入が392億レアルに達し、この期間としては2011年以来の高水準を記録。前年同期の歳入は、199億レアルだった。

また5月までの過去12か月では、中央政府の歳入はGDP比0.26%に相当する213億レアルだった。なお、2022年の中央政府の財政目標は、1,705億レアル以下の赤字であるが、連邦政府の経済スタッフは、経済省が発表した見通しの中で赤字が659億レアルになると予想している。

年金問題
パウロ・バレ(Paulo Valle)国庫管理局長は今回、社会保障サービス(INSS)の受給者に対する13か月分の給付日程が前倒しされたことを受けて5月の支払いが増加したと説明した。

連邦政府はこれより先、年金受給者と恩給受給者に対する13か月分の支払いを4月と5月に前倒しすると決定。これに伴って5月の社会保障の給付額が、207億レアル上振れした。

またバレ国庫管理局長は5月の中央政府の財政収支を象徴するものとして、税収の増加に伴って歳入が押し上げられたことを強調した。ただし純歳入として見ると、石油開発鉱区事業入札の結果を受けて州政府と市役所に移転した総額77億レアル分が減少している。(2022年6月30日付けエスタード紙)

Aneelがサンパウロ州内の電気料金に対して平均12.4%の値上げを承認

国家電力監督庁(Aneel)が、エネル・ディストリブイソン・サンパウロ(Enel Distribuição São Paulo)の電気料金に対して平均12.04%の値上げを承認した。新料金は、7月4日から有効。

 

低電圧(家庭用)の電力供給契約では、値上げは平均で10.15%。一方、高電圧(工業用)の電力供給契約では、平均で18.03%の値上げとなる。この値上げ率は、今週(6月第5週)に国会で可決した消費者に対する社会統合計画賦課金(PIS)及び社会保障賦課金(Cofins)のクレジットが考慮されている。このクレジットにより、値上げ幅は当初想定されていた水準から8.7%引き下げられた。

 

さらにエレトロブラスの民営化後に電力自由市場で電力を販売することになる同社発電所の構成変更に対して同社が補償する50億レアルの拠出も、考慮した。これに伴う削減効果は、2.84%である。

 

Aneel内でこの問題処理を担当したエルヴィオ・ゲーラ(Hélvio Guerra)氏によると、電力に対して課徴される州税の商品サービス流通税(ICMS)の税率上限を18%に制限する法律が発効すれば、この値上げ幅はさらに縮小する。この法律は既にジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領自由党(PL)が裁可したものの、州政府が州法でそれを定める必要がある。この点、サンパウロ州政府は既に燃料に対するICMSの税率削減を実施済みだが、電気料金に対する税率は変更していない。(2022年6月29日付けエスタード紙)

食ビジネスにチャレンジする塩田氏が会議所で文岡社長を訪問

日本ー海外ビジネスマッチングの新事業を推進する塩田顕太郎氏が、29日Quickly Travelの文岡正樹社長(鹿児島県人会会長)と郷土名物の振興事業や逆に日本へのブラジル特産物の輸出振興について意見交換を行った。塩田氏は来る7月15日~17日開催のフェスティバル・ド・ジャポンも視察する予定。

また、ブラジルにおける輸入通関上の各種規制やリードタイム等について、平田事務局長が過去の事例を用いて説明した。

写真は左から文岡社長、平田事務局長、塩田氏

Cagedの集計で2022年5月は国内で27万7,018人の正規雇用を創出

労働社会保障省は6月28日、2022年5月に国内で27万7,018人の正規雇用の純増を記録したとする全就労・失業者台帳(Caged)の集計結果を発表した。4月の正規雇用の純増減は、19万6,966人の純増だった。2021年5月と比較した場合でも、前年同月は26万5,000人の正規雇用の純増だったことから労働市場が好転していることが示された。ただし、新規に雇用された正規労働者の平均賃金は1,898.02レアルとなり、インフレを考慮した実質比較で前月から18.05レアルの減少となった。

 

金融市場は、2022年5月に正規雇用の増加ペースが減速すると予想していたが、実際には、エスタード紙が市場から集めた予想の平均値(18万1,250人の純増)を上回る結果が出た。なお市場は、下は8万人、上は28万2,416人と予想しており、大きなばらつきがあった。

 

今回の発表にあたってジョゼー・カルロス・オリベイラ(José Carlos Oliveira)労働社会保障大臣は、2022年にブラジル国内で創出される正規雇用が150万人以上になるという見方を示した。また、1―5月期の正規雇用の純増減は、105万1,503人の純増だった。なお、労働社会保障省はCagedの集計データに関して、新規の雇用の創出と消失が発生してから最大で1年後まで修正を加える可能性がある。例えば2021年1月末に経済省は、2020年に正規雇用の創出数が消失数を14万2,690人上回ったと発表した。しかし2021年11月になって同じ2020年の正規雇用の純増減に関して、19万1,502人の純増とする新たなデータを発表している。

 

なお、5月の正規雇用の純増は、12万0,294人の純増を記録したサービス業が全体を牽引、次いで貢献したのは商業で4万7,557人の純増だった。さらに工業が4万6,975人の純増、建築業でも3万5,445人の純増。なお農牧畜業は、2万6,747人の純増だった。(2022年6月29日付けエスタード紙)

 

EYの林ディレクターと笹澤シニアマネジャーが平田事務局長とオンライン面談

2022年6月28日、林 裕孝EY Japan株式会社 Japan Business Services ディレクター及び笹澤誠一EY Brasil Japan Business Services シニアマネジャーが平田藤義事務局長とオンライン面談を行った。

林氏は現在ブラジルに出張中で、2013年より5年間にわたりサンパウロに駐在しており、課税ワーキンググループ等で当会議所活動に貢献した。現在は、EY Japan株式会社Japan Business Servicesの南米デスクを担当するとともに、日本から各国へのグローバルサービスのコーディネーションをサポートしている。

笹澤氏は2019年サンパウロに赴任、会議所コンサルタント部会長として様々なセミナーや会合を開催、今年6月末に帰任するため、平田事務局長に帰国挨拶を行った。

その他、ブラジル情勢や今後の可能性等について多岐にわたり意見交換を行った。

 

6月の予想インフレ指数のIPCA-15 は0.69%の再度加速(2022年6月24日のエスタード紙)

2022年5月16 日~6月15 日までの期間に計測された6月のインフレを予測するインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、5月の0.59%から0.69%に上昇して、今後のインフレの再度加速が懸念されている。

今年5月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)が0.59%に留まった要因として、電力エネルギー料金の特別臨時料金の停止であったが、6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)が0.69%に上昇した要因として、財・サービスグループの値上げであり、特に健康保険プランや医薬品の値上げ、下水道料金、エアーチケット及び新車価格の値上げが牽引している。

今年6月の過去12カ月の累計広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、12.04%を依然として二桁台を維持しており、ブラジル中央銀行の今年のインフレの中央目標値3.50%、インフレ許容範囲の2.00%~5.00%を遥かに上回っている。2021年のIPCA指数は10.06%に達し、中銀の中央目標値3.75%、許容上限値5.25%の約2倍に達していた経緯があった。

今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)を押し上げた要因として、輸送セクターは0.84%上昇して、インパクト指数は0.19ポイントを記録しているが、5月の1.80%増加を大幅に下回っている。

また今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)のセクター別比較では、衣類セクターは1.77%増加、インパクト指数は0.08%を記録、続いて医療費・健康保険セクターは1.27%増加、インパクト指数は0.16ポイントを記録、住居関連セクターは、5月のマイナス3.85%から一転して0.66%増加、教育関連セクターは0.94%増加している。

今年初めの健康保険プランの料金改正は8.19% の値下げが実施されたが、5月26日に個人向け健康保険プランが15.5%の二桁台の値上げ発表した影響で、6月の健康保険プランは2.99%上昇、インパクト指数は0.10%を記録している。

 

今年6月の一般消費者の景況感指数(ICC) は前月比3.5ポイント上昇(2022年6月24日のエスタード紙)

ジェツリオ・バルガス財団(FGV)の消費者動向調査によると、2022年6月の一般消費者の景況感指数(ICC)  は、前月比3.5ポイント上昇して79.0ポイントに達している。また第2四半期の一般消費者の景況感指数(ICC)  は1.4ポイント上昇を記録している。

6月の一般消費者の景況感指数(ICC) は、連邦政府による景気刺激策パッケージの導入で大半の所得層で改善しているにも拘らず、低所得層の景況感指数は悪化してきており、今後数カ月間の低所得層の景況感指数(ICC) は、ボラティリティが継続するとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)調査担当のViviane Seda Bittencourtコーディネーターは指摘している。

所得が高い富裕層の景況感指数(ICC) は、連邦政府による景気刺激策の導入で2カ月連続で上昇している一方で、失業率の高い所得の低い貧困層は雇用改善が不透明なために、景況感指数の目安となる分岐点の100ポイントを下回っているとViviane Seda Bittencourtコーディネーターは説明している。また今年10月の大統領選挙を控えて今後数か月間の一般消費者の景況感指数(ICC) は予測が難しいと指摘している。

今年6月の一般消費者の現状景況感指数(ISA)は、前月比1.3ポイント上昇の70.4ポイント、また一般消費者の先行き景況感期待指数(IEC)は、4.9ポイント上昇の85.9ポイントに上昇している。

一般消費者の現状経済状況指数は0.5ポイント上昇の76.7ポイント、また一般消費者の家庭ファイナンス状況指数は、2.1ポイント上昇の64.7ポイントとそれぞれ過去の平均を下回っているとジェツリオ・バルガス財団(FGV)は指摘している。

今年6月の一般消費者の景況感指数(ICC) を押上げている一因の今後6カ月間後の先行き経済状況指数は6.5ポイント上昇の103.2ポイント、今後6カ月間後の経済状況見通し指数は、4.5ポイント上昇の85.8ポイントを記録している。

また今年6月の一般消費者の耐久消費財購買意欲指数は前月比3.1ポイント上昇の70.6ポイントを記録したが、Covid-19パンデミック前の水準には達していない。