(ZOOM)課税通関WG オンライン懇談会開催

日伯法律委員会( 岩尾玄委員長)課税・通関WG(天野義仁グループ長) は、2022年6月10日午前10時から11時まで12人が参加して開催、司会は三上氏が担当、意見交換会では、農務省による税関ストライキの可能性及び影響、輸入品梱包における木材使用の回避、DU-IMP開始の遅延、メルコスール加盟国の足並みの乱れによる影響、OECD加盟のガイドラインに沿ったプロセスへの転換、PIS/Cofinsの計算方法、日本企業が抱える問題の見える化、OECD加盟関連タスクフォース設立、OECD加盟に関するブラジル政府への提言及びセミナー開催、Covid‐19パンデミック収束に伴うブラジル政府への対面形式での意見交換会アプローチ考察、連邦政府による税関ストライキに対する倉庫代の補償など多岐に亘って意見交換された。

参加者は天野氏 (KPMG) 三上氏 (KPMG) 笹澤氏(EY) 松川氏(住友商事) 安岡氏(Deloitte)  谷口氏(IDL) 永井氏(日清紡)  古木氏(JETRO) 岩崎書記官(在伯大) 渡邊副領事(在サンパウロ総) 平田事務局長 大角編集担当

 

昨年のブラジルの直接投資残高は世界6位

国際貿易開発会議 (UNCTAD) はグローバルな海外直接投資の傾向についての「世界投資報告書2021」発表によると、昨年のブラジルへの対内直接投資残高は、前年よりも3ランクアップの6位に上昇している。

昨年のブラジルへの対内直接投資残高は、Covid‐19パンデミックで大きな影響を受けていた前年比では77.9%の大幅増加の503億ドルに上昇したが、2020年のブラジルへの対内直接投資残高は283億ドルに留まっていた経緯があった。

昨年のブラジルへの対内直接投資は前年比大幅に上昇したにも関わらず、Covid‐19パンデミック前の2019年の650億ドルには大幅な差が存在するが、昨年の対内直接投資は外資系企業による再投資が幅を占めていた。

今年のブラジル向け対内直接投資は、国際コモディティ価格の高騰で、石油・天然ガスや金属などの鉱業部門や農畜産部門への投資拡大を国際貿易開発会議 (UNCTAD) 投資担当部門のJames Zhan理事は予想している。

昨年の世界の対内投資ランクでは、米国への投資がトップ、次いで中国、香港、シンガポール、カナダに次いでブラジルは6位と年間平均のGDP伸び率が8.0%のインドを追い越している。

昨年ブラジルへの対内直接投資503億ドルの18%は民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)であったが、2020年のFBCF比率は11.8%であった。

昨年末のブラジルへの累計対内直接投資残高は、前年比マイナス0.4%に相当する5,927億ドル、昨年の対内直接投資額はGDP比36.9%に相当するが、2020年は41.1%であった。

5月のインフレ指数は0.47%、過去12カ月間の累計は11.73%(2022年6月9日のエスタード紙)

9日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年5月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、4月の1.06%増加から半分以下の0.47%増加に減少を記録、ブロードキャストプロジェクションの調査では、5月のIPCA指数の平均予想は0.60%であった。

今年5月の過去12か月間の累計IPCA指数は11.73%と依然として二桁台を維持している一方で、ブラジル中央銀行の今年のインフレ指数の中央目標値3.75%、最高許容値5.00%を大幅に上回っている。また今年初め5か月間お累計IPCA指数は4.78%を記録している。

ブラジル地理統計院(IBGE)の調査によると、調査対象の9部門のうち8部門で増加を記録、特に衣類部門のIPCA指数は2.11%増加、輸送部門は前月の1.91%増加から1.34%増加と大幅に減少、食品・飲料部門は前月の2.06%増加から0.48%増加と大幅に減少している。

また住居関連のIPCA指数は、4月のマイナス1.14%からマイナス1.70%と更に減少を記録、教育部門は前月の0.06%増加から0.04%増加に微減、前記同様に健康保健・個人ケア部門は1.77%増加から1.06%増加、通信関連部門は0.08%増加から0.72%増加を記録している。

また生鮮食料品ではトマトはマイナス23.72%、ニンジンはマイナス24.07%とそれぞれ大幅な値下がりを記録した一方で、玉ねぎは21.36%増加と5月のIPCA指数調査では最高の値上がりを記録している。

今年第1四半期のブラジル国内のベンチャーキャピタル向け投資は、前四半期比42.0%下落の15億4,000万ドルに留まる(2022年6月9日付けエスタード紙)

コンサルタント会社 KPMG社の調査によると、2022年第1四半期のブラジル国内のベンチャーキャピタル向け投資は、前四半期比42.0%下落の154,000万ドルに留まっている。

今年第1四半期のブラジル国内のベンチャーキャピタル向け投資は、前四半期に次いで2か月連続で減少しているにも拘らず、統計を取り始めた2014年初めからでは3番目の投資金額を記録、過去最高の投資金額は、2021年第3四半期の30億1,000万ドルであった。

高止まりするインフレ指数及び12.75%に達する政策誘導金利(Selic)の更なる引上げ予想、不透明な大統領選挙の行方などの要因で、今年第2四半期のブラジル国内のベンチャーキャピタル向け投資は同じ水準で推移すると KPMGレポートは指摘している。

今年第1四半期のブラジル国内のスタートアップ企業向け投資では、フィンテク部門投資が牽引しており、特に Neon社の3億ドルの投資を筆頭に、 Creditas社は2億6,000万ドル、 Velvet社は2億ドル、 Flash社は1億ドルの資金調達に成功している。

今年第1四半期の世界のスタートアップ企業向け投資は、前四半期比24.5%減少の1,919億ドル、投資対象企業数は9,349社の一方で、昨年第4四半期の投資総額は1,448億ドル、投資対象企業数は1775社であった。

今年第1四半期の世界のスタートアップ企業向け投資トップは、米国で投資総額は776億ドル、投資対象企業数は4138社であった。米国に次いで英国、ドイツ、インド、中国、トルコ、エストニアが続いている。

5月のブラジルのセメント販売は1.0%微減も今年初め5か月間では2.2%微増(2022年6月7日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、20225月の経済動向指標の一つであるブラジル国内のセメント販売は、 前年同月比0.9%減少の550万トンに留まっている。

今年5月のブラジル国内のセメント販売が微減した一因として、セメント生産用の原材料コスト上昇で、製造業部門向けセメント価格転嫁を余儀なくされたと全国セメント工業組合(SNIC)は説明している。

また海外要因として、ロシアによるウクライナ侵攻の影響による石油、天然ガスやコークスなどの国際コモディティ価格の上昇が更に、セメント生産コストの上昇を助長していると全国セメント工業組合(SNIC)は指摘している。

一方国内要因として、過去最高水準に達している家庭収入の52.5%に達する一般家庭の負債レベル、4月には10.5%に減少した失業率も依然として二桁台を維持している上に、今年初め4か月間の新規雇用者の7.9%に達する実質賃金の目減りを指摘している。

更に二桁台が継続しているインフレ指数、今後も上昇が懸念されている政策誘導金利Selicは既に12.75%に達して、住宅購入向けクレジット金利の上昇を招いているために、4月及び5月は2ヶ月連続で上昇、また今年第1四半期の住宅販売リリース軒数は2.6%減少、2020年以降では初めて減少を記録している。

今年初め5か月間のセメントの累計販売は、前年同期比2.2%減少の2,560万トン、5月の1日当りの平均セメント販売は4.7%減少、今年初め5か月間の1日当りの平均セメント販売は3.1%減少している。

今年初め5か月間の道路輸送車販売は1.02%微減(2022年6月8日付けヴァロール紙)

大手から小規模メーカーまで約150社が加盟する全国道路機器生産会社協会(ANFIR)によると、2022年初め5か月間の道路輸送向けトラックやトレーラーなどの販売は、前年同期比1.02%微減の61,919台に留まり、特に大型輸送機器を中心に昨年同期の62,555台を636台下回っている。

今年初め5か月間の大型並びに中型トラックやトレーラー販売は、前年同期比9.47%減少の3万3,296台に留まり、昨年同期の3万6,779台よりも約3,500台近く減少している。

一方今年初め5か月間の業界でと呼ばれる小型トラックやトレーラー販売は、前年同期比11.05%の二桁台増加の28,623台に達し、昨年同期の2万5776台よりも約3,000台増加を記録、輸出台数は9.21%増加の1,566台を記録している。

今年初め5か月間の道路輸送向けトラックやトレーラーなどの販売は、前年同期比1.02%微減の61,919台に留まった要因として、主にアグロビジネス向け輸送機器販売が低調に推移した上に、インフラ整備部門、鉱業部門並びに建設業部門向け輸送機器販売が芳しくなかった。

2021年の道路輸送向けトラックやトレーラーなどの販売は、COVID-19パンデミックの影響を受けていた前年比では33.47%と大幅増加の162,700台を記録していたが、今年初めの全国道路機器生産会社協会(ANFIR)は、今年の道路輸送機器販売は前年比5.0%~10.0%増加を予想していた。

今年初め5か月間の月間平均道路輸送機器生産は12,400台、今年の道路輸送機器販売台数は、伝統的に下半期の販売増加を期待して148,600台を全国道路機器生産会社協会(ANFIR)では見込んでいる。

今年の穀物生産は2億7,130万トンに上方修正(2022年6月8日付けヴァロール紙)

今月8日の国家配給公社(Conab)の発表によると、2021/2022年の穀物生産は、先月の予想を0.4%上回る2億7,130万トンに達し、過去最高を更新すると予想、また前年比では6.2%増加が予想されている。

今回の国家配給公社(Conab)による2021/2022年の穀物生産予想が前月を0.4%上回った要因として、トウモロコシ及び大豆の第2期収穫増加予想に加えて、小麦生産も上方修正されている。

トウモロコシのサフリーニャと呼ばれる収穫期に突入した第2期のトウモロコシは、種蒔時の理想的な降雨にマッチしたために、異常気象の影響で大幅な減産を余儀なくされていた前年同期比では、44.9%と大幅増加の8,800万トンと上方修正されている。

今年のトウモロコシ生産は、第2期の大幅な増産予想で前年比32.3%増加の1億1,520万トンの収穫が見込まれている。またブラジルの穀物生産を牽引する今年の大豆生産量は、5月の予想の1億2,380万トンを50万トン上回る1億24,30万トンが見込まれているにも関わらず、南マット・グロッソ州の一部地域及び南部地域の旱魃による影響で昨年を10.1%下回る生産高が予想されている。

国家配給公社(Conab)では,今年の米生産は前年比9.9%減少の1,060万トンを予想、今年の三毛作のフェジョン豆生産は、前年比6.6%増加の310万トンが予想されている。また今年の原綿生産は前年比19.2%と二桁台の大幅増加の280万トンが見込まれている。

2017年以降に株式上場した80%企業の株価は下落している(2022年6月7日付けエスタード紙)

2017年以降の過去5年間にサンパウロ証券取引所B3で新規株式公開(IPO)した上場企業のうち80%の企業の現在の株価は、上昇一途の政策誘導金利(Selic)COVID-19パンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻などの悪影響で、IPO時の初値を下回っているとEconomática社及びTC社の調査で判明している。

20213月迄7か月間に亘ってSelic金利は過去最低の2.00%を維持していたが、その後はインフレ圧力軽減のために連続して上昇に転じ、現在は12.75%に達しているが、年末には13.25%が予想されているために、大半の投資家は株式などの変動相場投資家から確定金利付き投資に投資金を移動せている。

大手小売販売 C&A社の現在の時価総額は98,000万レアルと新規株式公開時の初値の半分以下まで減少している。また薬局チェーン網 D-1000社のIPO時に4億レアルの資金調達に成功したが、現在の時価総額は2億レアル以下まで減少している。.

スキンケアチェーン網を展開する Espaçolaser社は新規株式で26億レアルの資金調達に成功したが、現在の時価総額はIPO時の初値の3分の1に相当する75,000万レアル迄減少している。

Getninjas, Westwing, Mobly社並びにEnjoei社は1年以上前のB3で新規株式公開で資金調達に成功したが、現在の時価総額はIPO時よりも80%以上減少している。世界最大のデジタル銀行 Nubank社は、IPO時に株購入の争奪戦を展開したが、昨年12月以降では株価が60%以上下落している。

Getninjas社の Eduardo L’Hotelier社長は、同社の株価は下落しているにも関わらず、IPOによる資金調達による潤沢な運転資金による企業買収で積極的な事業を展開して、果敢に事業拡大に繋がっているとコメントしている。

2021年にサンパウロ証券取引所に新規株式公開した企業は45社に達するが、現在の株価がIPO時の初値を上回っているのは僅か9社、その大半はコモディティ商品関連企業とコンサルタント会社 Nord社アナリストのDanielle Lopes氏は指摘している。

ブラジルのアジア・オセアニア地域向け鉄鉱石輸出はオーストラリアに後塵(2022年6月7日付けヴァロール紙)

中国を中心としたアジア・オセアニア地域向けブラジルの鉄鉱石輸出シェアは、過去25年間で30%から20%と大幅に減少した一方で、オーストラリアの鉄鉱石輸出は、20%から徐々にマーケットシェアを上げていき、今では50%以上を占めて寡占状態が続いている。

過去25年間のブラジルの世界向け鉄鉱石輸出のマーケットシェアは一時30%を占めていたにも拘らず、オーストラリアは生産拡大に伴って、鉄鉱石輸出ではブラジルからトップシェアを奪っており、ブラジルが今後数年間以内にトップシェアを奪還するのは不可能と見込まれている。

1997年のブラジル国内の鉄鉱石輸出企業として、Vale, Caemiグループ傘下のMBR 社、 Samitri社並びに Belgo-Mineira 社傘下のSamarco社が名を連ねており、ブラジルのアジア・オセアニア地域への鉄鉱石のマーケットシェアは30%に達していた。

一方1997年当時のオーストラリアは、国内の Pilbara地域での鉄鉱石生産に留まっており、 Rio Tinto社並びに BHP社の2社が鉄鉱石の輸出をして、マーケットシェアは20%に留まっていたが、2016年以降は50%以上に達している。

2019年のブラジルの鉄鉱石輸出は、Vale, CSN Mineração社並びに AngloAmerican 社の3社で34,000万トンを輸出したが、マーケットシェアは20%強であった.

世界最大の鉄鉱石ペレットを生産していたサマルコ社は、2015年に発生したミナス州マリアナ市で起きた社の鉱山廃水ダムの堤防決壊事故による環境破壊の修復や各種の賠償金支払いを余儀なくされているが、2015年の鉄鉱石生産は2,800万トンを記録していた。

サマルコ社は2020年末に鉄鉱石生産を再開、現在の年間の鉄鉱石生産能力は800万トンに留まっているが、2026年には倍増、2029年には2,800万トンの生産を目指している。

ヴァーレ社は2019125日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故では270人が犠牲となり、環境破壊問題でミナス州の同社の他の鉱山での操業停止を余儀なくされていた。

アジア・オセアニア地域の鉄鉱石の年間貿易量は16億トンに達しており、2019年のブラジルの鉄鉱石輸出は34,000万トン、オーストラリアは8億3,600万トンと World Steel Associationの統計に表れている。

5月の新車販売は0.9%減少も新車生産は6.8%増加(2022年6月7日付けヴァロール紙)

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、20225月のバスやトラックを含む新車販売は、前年同月比マイナス0.99%に相当する187,100台に留まったが、前月比では27.0%と二桁台の増加を記録している。

今年初め5か月間の累積新車販売は、前年同期比マイナス17.0%に相当する74万台に留まっており、世界的な自動車向け半導体をはじめとして部品供給問題で、各自動車メーカーは生産調整を余儀なくされていると全国自動車工業会(Anfavea)Márcio de Lima Leite会長は指摘している。

また自動車業界では半導体供給問題による生産調整以外にも、ブラジル国内では二桁台を維持している金利及び新車購入向けクレジットの与信強化などの要因で、新車販売は低調に推移している。

今年初めの1日当りの新車登録台数は6,000台で推移していたが、3月には7,000台、5月には8,500台に達し、20215月の1日当りの新車販売台数の9,000台に接近して回復してきている。

自動車メーカにとって、半導体供給不足は最大の頭痛の種であり、今年初め5か月間にブラジル国内の16カ所の自動車生産工場では、操業停止を余儀なくされ、操業停止の延べ日数は331日に達している。また各自動車工場の平均操業停止日数は20日に相当、延べ15万台の新車生産が停止されている。

今年5月の新車生産は、前年同月比6.8%増加に相当する205,900台を記録した一方で、今年初め5か月間の累積新車生産台数は、前年同期比マイナス9.5%に相当する88万8,100台に留まっている。

世界的な自動車向け半導体の供給不足に加えて、ゴム関連製品やプラスティック製品の不足も新車生産の足枷になってきていると全国自動車工業会(Anfavea)Márcio de Lima Leite会長は指摘している。

今年初め5か月間の新車の累計輸出台数は、前年同期比19.4%増加の198,900台、新車の輸出金額は、27.0%増加の38億ドルを記録している。5月の新車輸出は、チリやコロンビア向けが牽引して24.6%増加の46,100台、輸出金額は27.0%増加の94,380万ドルを記録している。

今年5月末の自動車業界の従業員総数は、前月並みの101,800人を維持したが、前年同月比ではマイナス2.2%、COVID-19パンデミック前の20195月は、11200人を記録していた。