スタートアップ企業Vtex社は193人解雇

オンライン販売向けテクノロジー専門のスタートアップ企業のVtex社は、コスト削減のために193人の従業員の解雇を発表したが、過去数カ月間にわたってテクノロジー関連のスタートアップ企業の従業員解雇が相次いで発生している。

Vtex社のコスト削減のための193人の従業員解雇は同社の総従業員1,765人の約11.0%に相当するが、同社は世界32カ国に19カ所の事務所を構えており、ブラジル国内には4支店を擁している。ラテンアメリカ諸国、米国やヨーロッパでも事業を展開している。

同社は2000年にエンジニアのMariano Gomide de Faria氏並びにGeraldo Thomaz氏が共同で設立、2020年には評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業のユニコーンとなり、2021年7月にニューヨークでの上場時には37億5,000万ドルと評価されたが、昨日のVtex社の時価総額は僅か8億2,330万ドルと上場時の4分の1以下まで下落している。

今年第1四半期の同社の赤字は1,670万ドル、昨年同期も1,200万ドルの赤字を計上していた。今年第1四半期の売上は前年同期比33.7%増加の3,470万ドル、売上の内訳は契約収入は3,260万ドル、サービス収入は210万ドルであった。

先週、オンライン販売向けサービスのInfracomme社は、テクノロジー開発部門の100人の従業員の解雇を発表。また今年2月から4月にかけて、ユニコーン社社Quinto Andar, Facily社並びにLoft社は相次いで従業員の解雇を発表、2月にはLivUp社は事業再構築のために全常行員の15%に相当する従業員の解雇を行っていた経緯があった。

今年の個人向け健保保険プランは値上げ(2022年5月27日付けヴァロール紙)

20201年の健康保険プランの料金改正は8.19% の値下げが実施されたが、今年は個人向け健康保険プランが15.5%の二桁台の値上げが発表されており、国家保健補助庁(ANS)の統計調査開始の2000年以降では、2016年の13.5%の値上げを上回る過去最高の値上げ幅で記録更新となる。

個人向け健康保険プランの加入総数は800万人と健康保険加入者全体の16.0%に相当するが、高止まりするインフレや今年10月の大統領選挙を控えて、与党からの圧力が予想されており、国家保健補助庁(ANS)が一挙に15.5%の値上げ若しくは徐々の値上げ承認するのか注目されている。

健康保健プラン業界にとって、今年の15.5%の料金改正は企業収益改善に繋がるために諸手を挙げて歓迎されている。特に個人向け健康保険プランが30%に達するHapvida社にとっては、利益回復につながる一方で、個人向け健康保険プランの解約増加、料金滞納や不渡りの増加が憂慮されている。

健康保険プラン協会(Abramge)は、2020年の健康保険プランの値上げは8.18%に留まった一方で、2021年のの健康保険プランは8.19%値下げされていたために、過去2年間はインフレ分の補てん出来ていない料金改正に留まっていた説明している。

今年の個人向け健康保険プランの15.5%の値上げは、顧客にとって大きな支出増加につながるが、Covid‐19パンデミック対応の8.00%を上回る値上げを補填する意味では何ら不可解な値上げには相当しないとLCA Consultores社エコノミストのBruno Imaizumi氏は説明している。

マナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)との会合 2022年5月26日

2022年5月26日、マナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)の ルイス・フレデリコ・オリヴェイラ・デ・アギアル(Luiz Frederico Oliveira de Aguiar)貿易部総括代理と平田藤義会議所事務局長との面談がオンラインで行われた。

マナウスフリーゾーンのポテンシャルをあらためて紹介するために行われたこの会合でアギアル氏はパワーポイントを用いて詳しい説明を行った。1967年に開設された経済特区の他、周辺の西アマゾン地域、自由貿易地域の紹介に始まり、各種税制恩典制度やロジスティックインフラの現状、新規プロジェクトとしてのバイオテクノロジーセンターなどについて説明した。

平田事務局長は現役時代の体験談も交えながら今後の課題や同フリーゾーンがフォーカスするべき分野などについてアドバイスを行った。
① 1967年創設以来、10年単位でフリーゾーンに進出した企業数(外資系と地場企業を業種別に区分)
撤退企業の分野とその理由分析調査(例:21年に撤退した日系企業)
② フリーゾーン政策の改正とその効果および法的安定性の欠如(現役時代の体験談:操業2年コロールプラン直後に撤退)
③ 2017年11月の労働法改革後の労働環境の変化
④ インフラ(道路、鉄道、電力、通信等)の整備改善状況と南米社会インフラ8軸計画との連動政策の有無(例:太平洋側へのアクセス)
⑤ 大消費地域までのリードタイムおよびロジコストの改善状況
⑥ 税制改革後のフリーゾーンにおける税制メリット
⑦ EUメルコスールや他国との貿易協定発効後のフリーゾーンの存続意義
⑧ バイオや環境ビジネス(例:カーボンニュートラル)に特化した政策に対するインセンチブの有無と将来展望

参加者: ルイス・フレデリコ・オリヴェイラ・デ・アギアル(Luiz Frederico Oliveira de Aguiar)貿易部総括代理、アルトゥル・デ・フレイタス・リスボア(Arthur de Freitas Lisboa)総務担当、会議所からは平田事務局長、日下野総務補佐、ルーベンス・イトウ編集担当

 

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今年のコンピュータ販売は前年比10%増加予想(2022年5月26日付けヴァロール紙)

2021年のブラジル国内のコンピューター販売は前年比27.0%増加の1,400万台を記録、コンピューターメーカーでは今年の販売は昨年を下回ると予想しているが、ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)では前年に10%増加を予想している。

ジェツリオ・ヴァルガス大学のFernando S. Meirelles教授は、Covid‐19パンデミック当初からコンピューター向け半導体などの部品供給不足に陥っていたが、部品供給が充分であれば昨年のコンピューター販売は1,450万台に達していた可能性はあるが、1,600万台には届かなかったと予想している。

ブラジル国内では2億1,600万台のコンピューターが使用されており、今年はブラジル国民全てにいきわたると予想されている。

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の情報センターによる第33回情報テクノロジー使用状況調査によると、国内のスマートフォン市場は2億4,200万台、総人口の113%に達して、一人当たり1.1台のスマートフォン所有に相当、ブラジルは世界平均の人口の91%を上回っているが、米国の136%を下回っている。

今年4月の国庫庁の歳入総額は、10.94%増加の1,950億8,500万レアル(2022年5月26日付けヴァロール紙)

26日の国庫庁の発表によると、2022年4月のブラジルのインフレ指数を考慮した実質歳入総額は、前年同月比10.94%の二桁増加の1,950億8,500万レアルを記録、今年初め4か月間の累計歳入総額は、前年同期比11.05%増加の7,432億1,700万レアルに達している。

また今年4月のインフレ指数を考慮しない名目歳入総額は、前年同月比24.40%の大幅な増加の2,421億8,000万レアルを記録、昨年4月の名目歳入総額は1,568億2,200万レアルであった。

今年4月の実質一般歳入総額は、7.36%増加の1,720億2,600万レアル、また名目一般歳入総額は20.39%増加、今年初め4か月間の累計実質一般歳入総額は、8.48%増加の6,913億7,800万レアル、名目歳入総額は20.45%増加を記録している。

今年4月のロイヤリティなどの実質臨時歳入総額は、前年同月比47.63%増加の230億5,900万レアル、また名目臨時歳入総額は65.54%を大幅な増加を記録している。今年初め4か月間の臨時歳入総額は62.39%増加の518億3,900万レアルに達している。

今年初め4か月間の連邦政府による税免除総額は、294億9,200万レアルと昨年4月の244億8,200万レアルを50億レアル以上上回る免除を許可している。今年4月だけの税免除総額は101億6,000万レアルを記録している。

今年初め4か月間の連邦政府による人件費の製造コストの割合が非常に大きな労働集約型産業界の特定セクターに対する社会保障院(INSS)への従業員給与額の納付率20%の免税措置による税免除総額は27億700万レアル、健康保険関連の税免除総額は10億1,700万レアル、従業員利益分配金(PLR)関連は10億400万レアルを記録している。

前記同様に資本財加速減却関連の税免除総額は7億2000万レアル、自動車業界向けRota2030プログラム7億500万レアル、運送業者向けの個人所得税(IRPF)関連6億5,300万レアル、零細・小企業向け簡易税務申告(Simples Nacional)向け税免除総額は、226億8,600万レアルを記録している。

今年第1半期のM&Aは47.4%増加(2022年5月26日付けヴァロール紙)

コンサルタント社KPMG社の調査によると、2022年第1四半期のブラジル国内の企業の買収・吸収案件は、国内外の政治・経済情勢の不透明な見通しにも関わらず、前年同期比47.4%増加の553件に達している。

今年第1四半期のM&A案件553件の内訳では、ブラジル企業のM&A案件は全体の69%に相当する384件に達し、前年同期比では57.0%増加を記録している。

今年1四半期のブラジル国内の企業の買収・吸収案件553件は43セクターに及んでいる。昨年第1四半期のM&A案件は375件、昨年1年間では1,963件を記録している。

また今年第1四半期のM&A案件のうち、外資系企業によるブラジル企業のM&A案件は前年同期比27.0%増加の147件、外資系企業による開始系企業のは15件、ブラジル企業による外資系企業のは7件となっている。

今年第1四半期のM&A案件553件のうち最も多いセクターは、インターネット企業の買収・吸収案件で242件、次いで情報テクノロジー企業は83件、サービス提供企業は35件、金融関連企業は26件、テレコン・メディア20件、教育19件、病院・クリニック16件、保険13件、輸送関連企業のM&A案件は12件であった。

デジタルトランスフォーメーション関連のIT企業及び情報テクノロジー企業のM&A案件は全体の60%を占めており、テクノロジーやイノベーション関連企業のM&A案件が牽引しているとKPMG社のLuis Mottaパートナーは説明している。

5月の一般消費者の景況感はインフレ及び雇用困難で減少(2022年5月25日付ヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、20225月の一般消費者の景況感指数(ICC)は、高止まりするインフレ指数及び雇用改善の見込み不透明で前月比マイナス3.1ポイントの75.5ポイントに留まり、今年3月~5月の月間平均一般消費者の景況感指数(ICC)はマイナス0.8ポイントの76.3ポイントを記録している。

最後の一般消費者の景況感指数(ICC)調査では、COVID-19パンデミックの終焉傾向や貧困家庭向け補助金パッケージなどの要因で改善していたにも拘らず、高止まりするインフレや難しい雇用確保などネガティブな要因で、特に貧困層の景況感改善を阻害している。更に10月の大統領選挙の不透明感に対する憂慮などで今後数か月間は回復傾向が不明瞭となっていると Ibre/FGV研究所コーディネーターの Viviane Seda Bittencourt氏は指摘している。

今年5月の一般消費者の現状景況感指数(ISA) は、前月比波の69.1ポイント、一般消費者の今後数か月間の景況感見通し指数(IE)はマイナス5.1ポイントの81.0ポイントと今年1月の80.7ポイント以降では最低の景況感見通し指数(IE)を記録している。

また5月の一般消費者の家庭の現状財政状況指数はマイナス0.2ポイントの62.6ポイント、、現状の経済状況指数はマイナス0.2ポイントの76.2ポイントとそれぞれ過去最低レベルまで低下している。

一般消費者の景況感指数(ICC)は、一般消費者の数か月後の家庭の経済見通し指数に大きな影響を与えており、マイナス9.6ポイントの81.3ポイントと202111月に記録した80.0ポイント以降では最低記録となっている。また今後数か月間の経済見通し指数はマイナス4.9ポイントの96.7ポイントと20213月に記録した92.1ポイント以降では最低を記録している。

今年4月の電力エネルギー消費量は1.2%増加(2022年5月25日付ヴァロール紙)

20224月の電力エネルギーの消費量は、小売部門及び公共部門が牽引、また国内経済の回復傾向に従って前年同月比1.2%増加の3132ギガワット (GWh)を記録している。

ブラジル国内の11社の電力配電業者のうち5業者の地域での電力エネルギー消費が増加を記録、特にマット・グロッソ州内に電力エネルギーを供給する Energisa Mato Grosso社は8.6%増加を記録している。

今年4月の一般家庭部門並びに農村部門の電力エネルギー消費は減少傾向を示しており、南マット・グロッソ州の電力コンソーシアムが供給する電力消費は4.9%減少、 Energisa Nova Friburgo社が供給する電力エネルギー消費は5.6%と大幅に減少を記録している。

今年初め4か月間の Energisa社の電力消費は前年同期比2.0%減少の12521.4ギガワットを記録、ブラジル国内の11社の電力配電業者のうち9事業者は前年同期比増加を記録している。

過去9ヶ月間で基本生活用品で60%の価格差が拡大(2022年5月25日付エスタード紙)

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の小売価格追跡調査によると、 20219月及び今年5月の15項目の基本生活用品の最高価格及び最低価格の価格差調査では、60%に相当する9品目で価格差が拡大している。

昨年9月及び今年5月の15項目の基本生活用品の最高価格及び最低価格の価格差調査では、特にマカロニ類の価格差は276.3%と非常に大きな価格差が発生しており、購入時に細心の注意を払う必要がある。

マカロニ類に次いでコーヒーの価格差は164.5%、砂糖164.5%、大豆油122.4%、食器用洗剤111.7%とそれぞレ2倍以上の価格差が発生している。また精米価格差は99.8%、小麦粉98.5%、マーガリン71.8%、パンの価格差は53.3%生じている。

5月の過去12か月間のインフレ指数は、昨年9月から連続で二桁台のインフレ指数を記録しており、インフレによる実質賃金の目減りに加えて、食料品、衛生用品や清掃用品などの購入時には、小売販売の便乗値上げに注意を払う必要があると指摘している。

マカロニ類の価格差は276.3%と非常に大きな価格差が発生していたが、現在の最高の価格差は、歯磨き用クリームの578% と想像できない価格差が生じている製品も販売されている。

経産省の山中審議官が会議所関係者と懇談会 

山中 修審議官(大臣官房通商政策局)一行は、予定通り24日ブラジル経済省の関係部局長等を訪問、日伯貿易投資促進産業協力委員会(略称:貿投委)の開催日程等について意見交換を行った。翌25日、再びサンパウロに戻り精力的にトヨタのソロカバ工場を見学、その後、今後の貿投委のあり方や進め方などについて会議所関係者と幅広く懇談を行った。

参加者は経済産業省:山中修大臣官房審議官、村山勝彦中南米室長、堀江大地中南米室係長、深田萌子経済連携課係長
JETROサンパウロ:原宏所長、宮本敏央次長
会議所関係者:小寺副会頭(日伯経済交流促進委員長)、中村副会頭(食品部会長・総務委員長)、木阪副会頭(財務委員長)、渡辺化学品副部会長、水守電機・情報通信部会長、平林自動車部会メンバー、平田事務局長