シティバンクのカレン・ピント ジャパンデスク担当が会議所を訪問

写真左から平田藤義事務局長、シティバンクJapan Desk Head for Brazilのカレン・ピント(Karen Pinto)氏、日下野政次総務担当

2022年4月6日、シティバンクJapan Desk Head for Brazilのカレン・ピント(Karen Pinto)氏が挨拶と入会手続きの為、会議所を訪問した。

応対した平田藤義事務局長と日下野成次総務担当とともに会議所活動の経緯と現状況、昨今のパンデミックやウクライナ危機などに伴う世界情勢の変化(パラダイムシフト)などについて幅広く意見交換を行った。平田事務局長は08年のリーマンショックの後に新規進出日本企業が約80社増えた実績から、今起きつつあるパラダイムシフトが「ピンチはチャンス」になるのではとの見解を示した。

3月の二輪車販売は四輪車を上回る11万台を記録(2022年4月6日付エスタード紙)

20223月のブラジルの二輪車販売は、前年同月比76.8%増加の11100台を記録、今年3月のトラックやバスを除く四輪車販売の108,200台を突破して、特異な現象を記録している。

今年3月の新車販売は、新車販売に対する工業製品税(IPI)18.5%減税及び営業日数が前月よりも多かったにも拘らず、3月としては過去18年間で最低の販売台数に留まっている。

3月の二輪車販売が前年同月比76.8%増加の11100台を記録した要因として、COVID-19パンデミックによる外食の減少に反比例するように内食増加に従って、宅配サービス需要の増加、感染防止のための需要増加及び四輪車よりも容易なクレジット与信が原因している。

今年第1四半期の二輪車販売は、COVID-19パンデミックによる昨年初めに余儀なくされていた生産調整による減産を強いられた前年同期比では、33.7%の大幅増加の274,800台を記録している。

一方3月のバスやトラックを含む新車販売が146,800台に留まり、2004年に記録した141,600台以降の18年間では最低の販売台数に留まっている

全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、 今年2月のトラクターやコンバインなどを含む農業機械の販売は前年同月比45.0%増加の5,200台を記録、前月比では30.4%増加している。

中国資本CTG社は大統領選挙後にIPOで10億ドル調達予定(2022年4月6日付ヴァロール紙)

中国の民間最大の電力エネルギー企業China Three Gorges(CTG)社は、今年10月に行われる大統領選挙後に、ブラジル国内での積極的な事業展開のために、新規株式公開(IPO)10億ドルに達する資金調達を検討している。

China Three Gorges(CTG)社は、2013年にブラジルに進出して、17カ所の水力発電所及び11カ所の風力発電所網を擁して、総発電能力は8.2ギガワットでブラジル国内での発電能力は2位となっている。

昨年末からに今年初めにかけて、多くの非上場企業が新規株式公開による資金調達を予定していたが、ロシアによるウクライナ侵攻による不透明な海外情勢、二桁台に達している政策誘導金利(Selic)や高止まりするインフレなどで、大半のIPOを予定していた非上場企業は、大統領選挙後のIPO先送りを余儀なくされている。

海外投資家はブラジル国内の投資先として石油・天然ガス部門、電力エネルギー及びコモディティ商品関連事業に注視しているが、今年第1四半期の投資がフォローオン投資が大半を占めており、Alpargatas, Arezzo, BRF社並びに Equatorial社はフォローオンで110億レアルの資金調達、 Votorantimグループ傘下の CBA社は今週中にフォローオンを予定している。

IPOを取扱う投資銀行では、10月の大統領選挙でどの候補が勝っても昨年末から今年初めにIPOを予定していた非上場企業は、今年第4四半期のIPO実施を予想している。

中国資本CTG社の2021年のブラジル国内の売上は625,000万レアル、純益は前年比2.0%減少の174,600万レアルと Valor Data社では見込んでいる。運転資金の豊富なCTG社は抱えている負債は少なく、電力エネルギー業界での企業買収を積極的に進めて、マーケットシェア拡大を行う。

2013年にブラジルに進出下CTG社は、2014年にパラー州 Santo Antônio do Jari水力発電所の50%の株式を取得、またアマパ州 Cachoeira Caldeirão水力発電所の50%株式、マット・グロッソ州 São Manoel水力発電所の33%の株式を取得した。

また2015年にはゴイアス州 Salto水力発電所並びにサンタ・カタリーナ州Garibaldi 水力発電所の100%の株式を擁している Triunfo Participações社を買収している。

20161月には電力鉱山エネルギー省の入札で、サンパウロ州 Jupiá水力発電所及びIlha Solteira水力発電所を落札、201612月には Duke Energy社のブラジル国内の事業を買収している。

J&F社はヴァーレ社の鉱山を12億レアルで買収(2022年4月6日付エスタード紙)

資源大手ヴァーレ社は、大手食肉加工メーカーJBS社を擁するJ&FInvestimentos 社にマット・グロッソ州に擁している鉄鉱石、マンガン鉱及び輸送ロディスティック一括を譲渡する契約にサインした。

J&FInvestimentos 社に譲渡する鉱山である中西部システムは鉄鉱石を年間270万トン、マンガン鉱石を年間2万トン生産しており、12億レアルで売却交渉が成立している。

ヴァーレ社では、コア事業に資本を集中的に投下するために、積極的にポートフォーリア事業の縮小を進めており、年間の鉄鉱石の生産が270万トン、マンガン鉱生産が2万トンの小規模の中西部システムの売却を決定している。

2021年の中西部システムの税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) 11,000万ドルであった。

J&FInvestimentos 社に譲渡する中西部システム取引の完了時に、Valeは、ロジスティクス契約に関連する義務と一連の資産に存在する残りの負債を購入者に譲渡することに加えて、約15,000万ドルを受け取る。

J&FInvestimentos 社は、中西部システムの全ての従業員を継続して雇用するが、
中西部システム取引の完了には、日本の公正取引委員会に相当する 経済防衛行政審議会(Cade)、国家水上輸送庁(Antaq)、国家水上輸送庁(CDN)およびその他の規制当局の承認が必要となっている。

今年3月の新車販売は、前年同月比マイナス22.5%と過去18年間で最低記録(2022年4月5日付ヴァロール紙)

全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、20223月のブラジルのバスやトラックを含む新車登録台数は、前年同月比マイナス22.5%の146,800台に留まっている。

3月の新車販売が146,800台に留まったのは、2004年に記録した141,600台以降の18年間では最低の販売台数に留まっていると全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)は指摘している。

しかし今年3月の新車販売は、新車販売に対する工業製品税(IPI) 18.5%減税及び営業日数が前月よりも多かったために、前月比では11.0%と二桁台の販売増加を記録している。

今年第1四半期の新車販売は、前年同期比マイナス23.2%の405,600台に留まって2005年以降の第1四半期の新車販売では過去最低記録となっている。

世界的な自動車用半導体の供給不足問題が昨年から継続しており、また新車需要の減少、新車価格の上昇、自動車購入向け金利上昇、また自動車業界は以前ほど簡単に製造されたモデルを販売しなくなり、在庫が増加している。

今年3月のトラックやバスを除いたピックアップ車やバンなどの乗用車販売は、前年同月比マイナス23.8%相当に留まっている。トラック販売は、マイナス6.1%の1100台に留まった一方で、3月のバス販売は18.6%増加の1,800台を記録している。

2021年のブラジルの歳入総額はGDP比33.9%で記録更新(2022年4月5日付ヴァロール紙)

経済省の発表によると、2021年の連邦政府及び地方政府の歳入総額は、GDP33.9%に相当する29,420億レアルを記録、COVID-19パンデミック対応による大幅な免税や減税政策同友を余儀なくされて大幅な歳入減少を記録した2020年の歳入総額のGDP31.77%よりも2.17%上昇を記録している。

2021年のブラジルの歳入総額は、COVID-19パンデミック対応の免税や減税政策の中止及びブラジル国内経済の回復に伴って、前年比5,703億レアル増加の29,420億レアルを記録している。

昨年のブラジルの歳入総額29,420億レアルの内訳は、連邦政府の歳入総額は19,510億レアル、州政府の歳入総額は7,890億レアル、市役所の歳入総額は2,020億レアルを記録している。

昨年の連邦政府の歳入総額は前年比1.55%増加のGDP22.48%、州政府の歳入総額は0.55%増加のGDP9.09%、市役所の歳入総額は0.06%増加のGDP2.33%を記録している。

昨年のブラジルの歳入総額GDP33.9%のうち商品 ()及びサービス関連歳入総額はGDP14.76%、またブラジルの歳入総額の43.5%に相当する12,800億レアルを記録している。

また昨年の社会保障院(INSS) への年金関連納付金による歳入総額はGDP5.19%、またブラジルの歳入総額の15.3%を占めている。

昨年の歳入増加の一因として、ブラジルの国内経済の回復に伴って企業の収益回復による法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL) は、前年比0.78%増加、GDP0.26%増加している。

昨年の金融取引税(IOF)が前年比のGDP0.27%増加した一因として、202043日から20201231日迄金融取引税(IOF)は、免税措置が採用されていたために大幅な増加を記録している。

また2021年の地方政府の歳入総額が増加した要因として、州税の商品サービス流通税(ICMS)による歳入は GDP0.58%増加、市税のサービス税(ISSGDP0.06%増加している。

2021年のブラジルの銀行強盗発生件数は、前年比36%減少の37件に減少(2022年4月5日付ヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban の発表によると、2021年のブラジル国内で発生した銀行強盗事件の発生件数は、前年の58件から36.2%減少に相当する37件と大幅に減少している。

また昨年のブラジル国内の銀行のATM現金自動預払機) に対する強盗事件発生件数は、前年の434件から266件と38.7%の大幅な減少を記録している。

ブラジル国内で発生した銀行強盗事件の発生件数は毎年減少傾向にある要因として、過去数年間の銀行強盗対策用の投資は、10年前の3倍に相当する年間平均90億レアルの投資を行っている。

銀行強盗の減少傾向は、物理的セキュリティ、ガードマンなどの人材育成への銀行の投資を反映しており、 銀行業界では、現金使用の必要性を減らすテクノロジーの採用と新製品開発による犯罪行為を阻止に繋がっているとブラジル銀行協会連盟(Febraban )のIsaac Sidney会長は説明している。

2000年の銀行強盗の発生件数は1903件に達していたが、2021年の発生件数は僅か37件と過去21年間で98%減少、2014年のATM現金自動預払機) に対する強盗事件発生件数は、3584件であったが、昨年は92.5%減少に相当する僅か266件まで減少している。

ブラジルの鉄鋼メーカーは4月から平板価格を20%値上げ(2022年4月4日付ヴァロール紙)

ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格の高騰及びドルに対するレアル通貨の上昇で、今年4月からブラジル国内の平板鋼価格は、20%前後の大幅な値上げを余儀なくされている。

ドルに対するレアル通貨がR$4.70に上昇して、国内外の鉄鋼製品価格が縮小してきているが、今後も継続してドル安の為替が続くか非常に不透明となっていると金融市場関係者は指摘している。

41日からナショナル製鉄所(CSN)及びウジミナス製鉄所は、鉄鋼製品価格を2分割で20%の値上げを発表、CSN41日に12.5%値上げ、今月15日に7.5%値上げでトータル20%の値上げを行う。

一方ウジミナス製鉄所は、41日に15%の値上げを発表、今月15日から20日にかけて再度5.0%の値上げを予定している。

熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ鋼板、塗装用缶などの塗装済み鋼板は、5月初めから7.5%の値上げをナショナル製鉄所(CSN)Luiz Fernando Martinez営業取締役は、示唆している。

平板鋼を生産しているエスピリット・サント州セーラ製鉄所及び冷間圧延鋼や亜鉛メッキ鋼板を生産しているサン・フランシスコ・ド・スール製鉄所を擁するアルセロールミッタル製鉄所は、 ナショナル製鉄所(CSN)及びウジミナス製鉄所と同じ率の値上げを今月4日から行う。

ブラジルの鉄鋼メーカーによる値上げで影響を受けるのは建設業、機械・装置部門、家電業界、農業機械、自動車業界及び鉄鋼卸売業界となっているが、自動車業界の年2回の価格調整で鉄鋼メーカーと長期契約をしている。

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格の高騰で1トン当たりの半完成品の鋼板価格は、600ドルから既に1,150ドル~1,180ドルと約2倍に高騰している。ウクライナ侵攻後の石炭価格は約2倍に相当する700ドルに高騰、鉄鉱石価格も30ドル上昇している。

中国国内の1トン当たりの熱間圧延鋼板価格は、880ドル~900ドルで推移しているが、ロシアやウクライナが輸出していたヨーロッパ市場でマーケットシェアを拡大している。

メルセデスベンツは、半導体不足でブラジル2工場で生産停止(2022年4月4日付エスタード紙)

メルセデスベンツ社はアジアからの半導体供給不足の影響で、今月18日~53日迄ブラジル国内の2生産工場での操業停止を余儀なくされている。

メルセデスベンツ社は、サンパウロ州サン・ベルナルド・ドカンポ自動車生産工場の従業人5000人及びミナス州ジュイス・デ・フォーラ工場の従業員600人に対して、集団休暇制度を導入する。

1週間前にメルセデスベンツ社はは、600人の労働者の別のグループが同じ期間のレイオフから戻った直後に、すでに10日間600人の労働者の契約を一時停止していた経緯があった。

Caoa Chery社及びメルセデスベンツ社は、世界的な半導体の供給不足の影響で自動車生産停止を余儀なくされていた。

ルノー社はパラナ州サン・ジョゼ・ドス・ピニャエス工場での自動車やエンジン生産停止を余儀なくされており、今週一杯製造ラインの4,500人の従業員に対して、集団休暇制度を採用する。

トラックやバスを生産しているスカニア社のサン・ベルナルド工場の従業人3,800人に対して集団休暇を採用、Caoa Chery,社もサンパウロ州ジャカレイ工場の従業員450人に対して今月末までレイオフを採用する。

今年第1四半期のトラックやバスを含む新車販売は、前年同期比23.7%減少の402,600台に留まっており、またCOVID-19パンデミック直前の2020年同期比では27.8%減少している。

中村新社長が渡伯着任早々に対面訪問 

写真左からブラジル味の素社の山崎一郎常務取締役、平田藤義事務局長、ブラジル味の素社の中村茂雄社長、村田俊典会頭

味の素グループは4月1日付の人事異動で、中村茂雄執行理事 化成品部長から現職の執行役常務 ラテンアメリカ本部長 兼ブラジル味の素社社長就任を発表していたが、同氏は入国の翌日にわざわざ会議所を表敬訪問、村田会頭および平田事務局長に挨拶した。

中村氏は1992年入社、電子材料部門に配属されPCのマザーボードや半導体のパッケージ基盤の絶縁体の研究開発に専念、今日では層間絶縁材料Ajinomoto Build-up Film(ABF)として知られる同社の商品は世界セアーほぼ100%を誇る。

会議所では前任者(佐々木達哉)の役職である副会頭、総務委員長、食品部会長を、そのまま引き継ぐ。総務は何処の団体でも中枢的な存在で3役の一人、直近では佐々木氏が率先垂範して日本のコロナ水際対策改善でも貢献した。

会議所の部会(縦串:10部会)・委員会(横串:14委員会)活動や過去の両国政府への主な提言活動(※)について説明、
同氏にさらなる活動活性化に期待を寄せた。

(※)詳しくはhttp://jp.ccijb.com.br/upload/files/folder_camara_jp.pdfをクリック