最終フォーカスレポートでは、今年のインフレ指数を5週間連続で上方修正(2022年2月14日付けエスタード紙)

14日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の5.44%から5.50%に5週間連続で上昇修正、1か月前の予想は5.09%であった。

中銀の今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)の中央目標値3.50%、最低許容値2.0%、最高許容値の5.0%を既に大幅に突破している。昨年のIPCA指数10.06%は最高許容値を4.81%上回っていた。

2023年のIPCA指数は前回同様の3.50%に据え置いたが、中銀の中央目標値の3.25%を上回っている。また2024年のIPCA指数は、前回予想の3.00%から3.04%に上方修正、2025年のIPCA指数は前回同様3.00%に据え置いたが、1か月前の予想は3.00%であった。

今月開催されたの金融政策委員会(Copom)の議事録では、今年のIPCA指数5.40%、2023年のIPCA指数を3.20%に設定、今月2日のブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って、政策誘導金利(Selic)を8回連続での引上げを余儀なくされ、現在のSelic金利9.25%を1.50%引上げて10.75%に決定していた。

今年のGDP伸び率は前回同様0.30%増加に据え置いたが、1か月前の予想は0.29%増加、2023年のGDP伸び率は、前回予想の1.53%から1.50%に下方修正、1か月前の予想は1.75%であった。

フォーカスレポートの2024年のGDP伸び率は前回同様2.00%、2025年のGDP伸び率も前回同様2.00%に据え置いたが、1か月前の予想も2.00%であった。

2021年の燃料販売は1,395億リットルで記録更新(2022年2月14日付けエスタード紙)

ブラジル石油監督庁(ANP)の発表によると、2021年のブラジルのガソリン、ディーゼル燃料、エタノール、ケロシンなどの燃料販売は、COVID-19対応のワクチン接種の拡大や国内経済の回復に伴って前年比6.0%増加の1,395億リットルを記録、ANP監督庁が統計を取り始めた2000年以降では記録更新している。

また昨年のガソリン、ディーゼル燃料及びエタノール販売は、1,180億リットルで記録更新、特にディーゼル燃料販売は、トラック輸送の拡大に伴って前年比8.1%増加の621億リットルに達しており、2000年の350億リットルの約2倍の販売を記録している。

昨年のガソリン販売は、前年比9.7%増加の393億リットルを記録した一方で、エタノール販売は、マイナス13.0%の二桁台減少の157億リットルに留まっており、COVID-19パンデミック前の2019年よりも220億リットル減少している。また液化天然ガス販売は、前年比マイナス1.0%の134億立方メートルであった。

2021年のケロシン販売はCOVID-19パンデミックの影響で、世界的な航空機の運航減少で、前年比マイナス22.8%の43億リットルの減少を余儀なくされていた。

2021年第4四半期の業務・会計監査開催

2021年第4四半期(上半期)の業務・会計監査は、2022年2月14日午前11時から開催。監事会から二宮正人監事会議長 (Advocacia Masato Ninomiya)、佐藤マリオ監事(Global Link Consultoria)、ウーゴ・アマノ監事(BDO監査法人 オンライン参加)、財務委員会から福元信義委員長(副会頭、Banco MUFG Brasil)、事務局担当委員会の長島公一委員長(丸紅株式会社)が参加、事務局から2021年第4四半期及び通年の現金預金並びに有形固定資産、収入、支出などの財務諸表とその詳細、入会・退会状況、会費延滞状況などについて説明、それに対する監事会側からの質問やアドバイスなど受けた。最後に監事会は、「2021年第4四半期の会議所の業務遂行と会計処理は適正であったこと」を承認した。

業務・会計監査は慣例に従い各四半期を締めた後3ヶ月おきに開催され、事務局からは平田藤義事務局長、日下野成次総務担当、上田エレーナ会計担当、久場アレッシャンドレ会計担当補佐が参加した。

2021年の実質経済活動指数(IBC-Br)は4.5%増加予想(2022年2月11日付けエスタード紙)

2021年のGDP伸び率の先行指標となる中銀発表のインフレ指数を差引いた実質経済活動指数(IBC-Br)は、前年比4.5%増加予想、しかし2020年のGDP伸び率はCOVID-19パンデミックの壊滅的な影響で、マイナス4.06%を記録していた。

しかしブラジル中央銀行並びに金融市場のエコノミストは、高止まりする政策誘導金利(Selic)、COVID-19の変異株の蔓延、不透明な10月の大統領選挙の行方などのネガティブな要因で、2022年のGDP伸び率の下方修正の必要性を指摘している。

昨年のブラジル地理統計院(IBGE)によるGDP伸び率の公式発表は3月4日迄遅れたが、ブラジル中央銀行では、2021年のGDP伸び率を4.4%増加と予想している。

ブロードキャストプロジェクションの調査によると、2021年のGDP伸び率の最低予想は4.20%増加、最高予想は4.70%増加、平均予想は4.30%増加、中銀の実質経済活動指数(IBC-Br)は、前年比4.5%増加を下回っている。

中銀の2021年の実質経済活動指数(IBC-Br)の前年比4.5%増加予想の要因として、昨年上半期は、主にサービス業部門がCOVID-19パンデミックの影響を受けていた一方で、農畜産部門は、穀物の国際コモディティ価格の上昇及びレアル通貨に対するドル高の為替の恩恵を受けていた。

Covid-19対応ワクチン接種の加速化で、昨年中頃からサービス業部門の回復の兆しがでてきたにも拘らず、上昇するインフレ及び製造業部門の部品供給問題などの要因で、国内経済の活性化に水を差していた経緯があった。

昨年12月の実質経済活動指数(IBC-Br)は、11月の0.51%増加に続いて0.33%増加を記録、昨年12月の中銀の経済活動指数は、11月の139.27ポイントから139.73ポイントに上昇、昨年2月に記録した141.05ポイント以降では、最高の経済活動指数を記録している。

中銀では2022年のGDP伸び率を1.0%増加に留まる要因として、連邦政府の驚異的な財政リスク及び大統領選挙の今年の不透明な公共支出を挙げている。先週実施された100社以上の金融機関対象の今年のGDP伸び率予想調査では、今年の平均GD伸び率は0.30%増加に留まると予想されている

2021年のヴァーレ社の鉄鉱石生産は前年h日5.1%増加の3億1,560万トンで最低目標達成(2022年2月11日付けヴァロール紙)

2021年のヴァーレ社の鉄鉱石生産は、前年比5.1%増加の3億1,560万トンで最低目標達成、同社では昨年の鉄鉱石の生産目標を3億1,500万トン~3億2,000万トンの間を掲げていた。

2020年のヴァーレ社の鉄鉱石生産は、3億40万トンと辛うじて3億トンを突破していた。一方2020年の鉄鉱石の生産目標は、3億2,000万トン~3億3,500万トンに設定している。

2021年の同社の鉄鉱石の生産能力は3億4,000万トンであったが、2022年の鉄鉱石の生産能力は、昨年よりも3,000万トン増加の3億⒎000万トンを見込んでいる。

同社ではミナス州のItabira鉱山並びにBrucutu鉱山の鉱石濾過ユニットの立ち上げ、および下半期のItabiruçuダムとTortoダムの処分能力増加を見込んでいる。Citi銀行では、今年の同社の鉄鉱石生産を3億2,800万トンと見込んでいる。

昨年の鉄鉱石パレット生産は、前年比6.8%増加の3,170万トンを記録している。昨年の鉄鉱石生産が前年比5.1%増加した要因として、2020年末のSerra Leste鉱山の操業再開が牽引している。

またパラー州カラジャス鉱山のS11Dシステムの鉄鉱石生産は正常に戻っており、今年のS11Dシステムの鉄鉱石生産は、8,000万トン~8,500万トンを見込んでいる。

昨年のヴァーレ社のニッケル生産は、カナダのSudburyニッケル鉱山の操業停止の影響で、前年比マイナス8.5%の16万8,000トンに留まったが、ブラジル国内のOnça Puma鉱山は、長期間の操業停止にも関わらず、好成績を残している。

昨年の同社の銅生産は、カナダのSudburyニッケル鉱山の操業停止の影響で、前年の36万100トンを17.6%下回る29万6,800トンに留まっている。

今年初めてのハイブリッド形式化学品部会懇談会

ハイブリッド形式による化学品部会(亀岡功良部会長) は、2022年2月10日午後3時から5時まで21人が参加して開催、司会は亀岡副部会長が務めた。

初めに2022年度執行部の亀岡部功良会長、和久津道夫副部会長、大 澤巌副部会長、渡辺弘樹副部会長がそれぞれ挨拶を行った。3月8日の化学品部会並びに食品部会共催の部会長フォーラムでの発表資料作成のために、参加者はそれぞれ自社の昨年下半期の回顧と今年の展望について発表した。

昨年下半期の回顧では、輸送コスト上昇による利益圧迫、ライフスタイルの変化、半導体問題の長期化、バイオロディスティック市場拡大、レアル安の為替による原価上昇及び利益低下、堅調な農業生産・輸出拡大、供給不足によるアロケーション実施、景気減速、インフレ拡大、巣籠需要、解熱剤・風邪薬販売の増加、旱魃・霜害による農産物への影響、世界3位の香水市場の回復、国際物流の混乱などが挙げられた。

今年の展望では、景気減速、インフレ継続、中国メーカーとの価格競争、農薬製品の供給不足、作付面積の拡大、新製品の上市、海上運賃高騰とコンテナスペース不足による原料入手の遅延対策などが挙げられた。また輪番制執行部への参加協力及び野菜収穫ツアーの実施などが説明された。

最後のコメントでは、ジェトロサンパウロ事務所の原所長は、多岐に亘る市場規模の大きな化学品部会の経営者の苦労や弛まぬ努力、コロナ禍やビジネス障害への対応などの実情が把握できたと説明した。

またサンパウロ総領事館の渡邉副領事は、インフレや半導体問題などにも拘らず、増収増益の会員企業が多い。ブラジルのOECD加盟審査開始も正式加盟プロセスには3年~5年を要する事。ブラジルの税制簡素化や透明性向上などに対して、日本政府から是正を勧告することが可能となる。ブラジル政府の対応は、今までは往々にして暖簾に腕押しだったが、今後は日本企業が抱えているビジネス障害の問題点を精査して、ブラジル政府に対する要請などを説明した。

平田事務局長は、これほどの規模の対面部会懇談会の実現は率直にうれしい。過去2年間の面談会はオンラインで実施してきたが、対面でない難しさもある。1月21日の商工会議所の新年会に参加した林禎二大使は、新任大使の抱負、モットーとして、ビジネス環境改善に全力を尽くすので、些細な問題でも気軽に相談できる雰囲気を醸し出して、大使館の敷居をゼロにすると強調。また一緒に参加していた桑名良輔総領事も総領事館の敷居をマイナスにすると強調、日本進出企業などに対する力強い支援を強調していた。我々も官民一体となってブラジルコスト削減に繋げて行きたい。インフレ、為替や部品不足問題など厳しい環境の中でも会員企業が頑張っているのがうれしいと説明した。

参加者
亀岡氏(東洋インキ)
古賀氏(ロート製薬)
渡辺氏(三井化学)
大澤氏(日本農薬ブラジル)
三寺氏(ADEKA)
大谷氏(東レ)
大島氏(東洋紡)
平松氏(久光ブラジル)
和久津氏(ナガセブラジル)
松木氏(双日)
尾崎氏(K-I Chemical)
碧川氏(高砂ブラジル)
佐々木氏(三菱商事)
渡邊副領事(在サンパウロ総)
原所長(ジェトロ)
松平次長(ジェトロ)
古木氏(ジェトロ)
宮本氏(ジェトロ)
平田事務局長(商工会議所)
日下野総務担当(商工会議所)
大角編集担当(商工会議所)

昨年のペトロブラスの原油・天然ガス等の1日当りの平均生産は277万バレル(2022年2月10日付けヴァロール紙)

2021年のペトロブラス石油公社の国内外の石油・天然ガス・液化天然ガス(LPG)の1日当りの平均生産は277万バレル(boe/dia)に達し、同社が設定していた目標の272万バレルを上回った。

昨年のペトロブラスの石油派生品の生産277万バレルの70%に相当する195万バレルは、原油のAPI度が非常に高い軽質油で商業価値の高い岩塩層下(プレソルト) 油田からの生産であった。

ペトロブラスの昨年第4四半期の生産レポートによると、同社の昨年のブラジル国内の1日当りの原油並びに液化天然ガスの平均生産は、前年比マイナス2.4%に相当する221万バレルであった。

一方昨年のブラジル国内の天然ガスの生産は、前年比マイナス0.2%の52万1,000バレルであったが、昨年第4四半期の生産は、前年同期比0.7%増加の215万バレル、前四半期比ではマイナス5.2%に留まっている。

昨年第4四半期のブラジル国内の天然ガス生産は、前年同期比2.2%増加の51万3,000バレル、前四半期比ではマイナス1.3%を記録している。

昨年のブラジル国内のプレソルト油田の石油派生品生産は、全体の70%に相当する195万バレルに達し、5年前の2倍の生産量を記録している。また昨年第4四半期のプレソルト油田の石油派生品生産は、全体の71.0%に相当する193万バレルに達している。

昨年のペトロブラス傘下の製油所でのプレソルト油田生産の石油精製量は、年々の生産拡大に伴って全体の59.0%に達し、過去最高の比率を占めている。API度が非常に高い軽質油のプレソルト原油の石油精製比率の上昇は、S-10ディーゼル燃料や船舶用燃料bunkerの生産拡大に繋がる。

昨年のペトロブラスの1日当りのガソリン、ディーゼル燃料並びに航空機用燃料ケロシン(QAV) などの平均石油派生品販売は、前年比8.5%増加の180万バレルを記録している。

昨年の1日当りの平均ガソリン販売は、前年比19.1%増加の40万9,000バレル、ディーゼル燃料販売は16.7%増加の80万1,000バレルに達し、COVID-19パンデミックで大幅な減少を記録していた前年比ではそれぞれ二桁台の増加を記録している。

昨年のサービス部門生産量は前年比10.9%増加、過去最高の伸び率を記録(2022年2月10日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2021年のサービス部門生産量(生産性指標)は、前年比10.9%と二桁台の増加を記録、統計を取り始めた2010年からでは、対前年比の伸び率は過去最高を更新している。

また昨年12月のサービス部門生産量は前月比1.4%増加、昨年1年間のサービス部門生産量の10.9%増加は、COVID-19パンデミックの影響を受けてマイナス7.8%を記録した2020年の損出を補っている。

ヴァロールデーター社の29社のコンサルタント会社並びに金融機関対象の調査では、昨年12月のサービス部門生産量の平均予想は0.9%増加、最低予想はマイナス1.0%、最高予想は1.8%増加であった。

ヴァロールデーター社による15社のコンサルタント会社並びに金融機関対象の調査では、昨年のサービス部門生産量の平均予想は10.7%増加で僅かに下回っていた。

昨年12月末のサービス部門生産量レベルは、COVID-19パンデミック前の2020年2月の水準を6.6%上回っており、2015年8月の以降では最高の水準に達している。

昨年の調査対象の5部門のサービス部門生産量レベルは、全ての部門で前年を上回っており、また調査対象の166の小セクターの74.1%は増加を記録している。

昨年の5部門のサービス部門生産量比較では、輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門は前年比15.1%増加、情報・通信サービスセクターは9.4%増加、教育・研究機関などの公共サービスセクターは7.3%増加、一般家庭向けサービスセクターは18.2%増加、その他のサービスセクターは5.0%増加を記録している。

昨年12月のインフレ指数を考慮しない名目サービス部門生産量は前月比2.9%増加、前年同月比15.7%増加、昨年1年間の名目サービス部門生産量は、前年比14.1%増加している。

昨年12月の州別サービス部門生産量比較では、27州のうち19州で増加を記録、特にサンパウロ州は1.5%増加、ブラジリア連邦直轄地は9.3%増加、ミナス州も2.3%増加を記録した一方で、リオ州はマイナス1.5%を記録していた。