(ZOOM)課税・通関WG会合開催 2021年8月2日

日伯法律委員会(岩尾 玄委員長)課税・通関ワーキンググループ(天野義仁グループ長)会合は、2021年8月2日午後3時から4時まで14人が参加して開催した。

進行役の天野義仁グループ長は、初めに2021年度の課税・通関WG活動の中間報告として、オンライン会合では、2月8日に第1回WGオンライン会合、8月2日に第2回WGオンライン会合開催。基礎シリーズ・オンラインセミナーでは、4月26日に個人所得税、5月27日に法人所得税の損金算入、6月10日にブラジル通関入門-輸入取引、6月24日に間接税の基礎、7月7日にICMS税累積クレジットのリリース申請プロセス、7月22日に移転価格税制の基礎の連続5回のシリーズセミナー開催を説明した。

また議員等との税務上の課題等についてのオンライン議論では、2月24日にボルソナーロ大統領に近いDavid Soares下院議員並びに•PEC45の国会での発表者のAguinaldo Ribeiro下院議員との会合。3月17日には伯日議連のNishimori議員、伯日議連のKatagiri議員、Vitor Lippi下院議員との会合を実施した。

課税・通関WG今後の活動では、アンケート実施の検討、今後のセミナーの検討、WGメンバー間での定期的な会合、大使館を通した議員等との面談。最近の税務関係の動向では税制改正などについて意見交換が行われた。

参加者は天野グループ長(KPMG)、谷口氏(IDL Express)、三上氏(KPMG)、松川氏(住友商事)、安岡氏(デロイト)、笹澤氏(EY)、松本氏(丸紅)、岩崎書記官(日本大使館)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、吉田調査員(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、日下野総務担当、梶原アシスタント、大角編集担当

(Zoom)西森ルイス連邦下院議員によるオンライン講演会開催 2021年7月30日

異業種交流委員会(吉田伸弘―委員長)主催の西森ルイス連邦下院議員のオンライン講演会は、2021年7月30日午前10時から11時まで約70人が参加して開催、司会は異業種交流委員会の湯原慶氏が務め、初めに吉田伸弘委員長は、西森ルイス連邦下院議員はブラジルの政界で長きにわたり獅子奮迅の活躍、2011年以降、現在3期目の西森ルイス下院議員、2003年から現在まで、「パラナ州議会議員」を務め、社会活動関係でも、「パラナ日伯商工会議所理事」、「日本移民110周年記念式典会長」、「ブラジル国会議会日伯経済外交使節団団長」など、あまたの要職を歴任、まさに、日伯の大きな架け橋として、多大な貢献をされていると説明した。

異業種交流委員会では、本年度のテーマを「ブラジル日系人社会をより深く知り、理解する」ことに定めて活動してきているが、西森ルイス下院議員は、多忙を極める毎日にもかかわらず、快く二つ返事で、引き受けてもらって感謝している。本日の講演の主題は、「日伯経済・友好交流の展望」、そして、副題は「改めて教えましょう、ブラジルの魅力を!」で講演と紹介した。

西森ルイス下院議員は、最初に日伯経済交流は、1895年パリで日伯修好通商航海条約締結で開始。8年後の1908年に日本移民がサントス港に到着して始まり、既に113年の月日が流れ、ブラジルには250万人の日系人が存在、ブラジルで大きな貢献をしていると説明した。

しかし日本移民は風土病、言葉や食べ物など大きな苦難に直面するも子孫の教育に力注ぎ、今日の揺るぎない日系社会が成り立っている。一昔前は大学に入りたければ日系人を排除すればよいと揶揄されるほど有名大学への進学率が高かった。

日系人のたゆまない努力や勤勉さなどで、ブラジル人の揺るぎない信頼を勝ち得たことも追い風に、日本からの企業進出も700社に達して高い評価を得ている。ブラジル程日本人を重宝に扱ってくれる国は少なく特権で有難いと説明した。

またブラジルの魅力やポテンシャルとして、南米一の消費マーケットがある上に、ハイパーインフレなどを経験しているブラジル人は貯蓄する習慣がなく、収入の多くを消費に回すのは大きな魅力と説明。また天然資源や電力エネルギー資源、農業資源は世界有数。半世紀前はコーヒー栽培一辺倒の食料輸入国に過ぎなかったが、日本政府の支援や日系農家の目を見張る不毛の地と言われていたセラード地域を一大穀倉地帯に変換し、ブラジルを穀物や食肉、果物の輸出国にした。

ブラジルと日本は色々な面で正反対であり、ブラジルから日本へは鉄鉱石、穀物、食肉、ジュースを輸出、日本からブラジルへは精密機械、自動車部品などの完成品輸出で補完関係にあり、コンテナ船を往復満杯にできるような輸出入構成になれば、今後更なる貿易パートナーシップとなると説明した。

ブラジルの政治は三権分立が確立しており、デモクラシーの国である。ブラジルの下院は日本の衆議院に相当、上院は参議院に相当。2020年は大統領選挙の年で、既に与野党で火花を散らしている。ブラジルには36政党の存在で多すぎるために、削減を試みている。また一般的に政治家は不透明で批判的な言われ方をするが、政治家を続けるためには誇りと信念を持っていないと潰れてしまうと説明した。

政治家は各業界の代表であり、商業団体や農業団体など族議員は票田を持っているので強いが、前回の選挙では、ベテラン議員は下院で65%、上院で80%が落選したが、我々ベテラン議員は辛うじて生き残った。

ブラジルの下院議員は513人いるが、日系下院議員は私とキン・カタギリ議員の二人だけであり、もっと日系政治家に活躍してほしいと説明。日系団体関連で憂慮しているのは、出稼ぎで空洞ができていることであり、文協などの日系団体でブラジルの若者日本語を教え、日本での研修後にブラジルで活躍できる好循環システムの構築を説明した。

私は日伯経済外交使節団団長として、毎年パラナから経済ミッションを率いて訪日、パラナ州からの農畜産物の輸出拡大や日本進出企業のパラナ州への誘致などの成果に繋がっている。今後も継続して日系議員として日伯の懸け橋になるよう更に努力したいと締めくくった。

質疑応答では、農業規制の更新状況について。ブラジルの税制改革や行政改革の予定。電子印刷投票について。60億レアルに達する選挙資金給付について。仮に大統領に当選した時に初めに実行したいことなどが挙げられた。

___  以下、西森議員の講演内容(原稿) ____

おはようございます!

先程、吉田委員長からご紹介を頂きました西森でございます。

先日、JICA所長よりブラジル日本商工会議所、異業種交流委員会で「日伯経済友好交流の展望、又ブラジルの魅力」のテーマで講演をしてくれないかとのお話がありました。Ok致しましたが、今週始めの事前に今日のLive委員会にご列席の皆様のリストを拝見させて頂きましたが、皆さんはブラジルの事を私よりもっと勉強され、ご存知の早々たるメンバーの方々で、経済に関しては私より詳しいので、経済面はあまり触れないようにしておきます。

先程の吉田委員長のご挨拶の中で一言でご引き受けて頂いたとありましたが、皆様のご期待に添えるか分かりませんが、少々後悔をしております。私なりに知っている範囲でお話を進めさせて頂きたいと思っておりますので、宜しくお願い申し上げます。

まず、最初に日伯経済交流は、1895年にパリで日伯外交修好通商航海条約が調印され始まり、この条約で日本ブラジル移民が始まり、1908年、笠戸丸がサントス港に上陸して113年の年月が流れています。現在は約200万人の日系社会が構成されております。

皆様ご存知のように、日本移民の皆様は大きな苦難に直面をされ、言葉、文化の違い、食べ物、風土病等でご苦労され自分を捨て、子孫の教育に専念されました。日本人特有の勤勉で真面目な性格をブラジル社会に認められ高い評価をされておりますのは皆様ご存知のとおりです。

そう言うことで、ブラジル人は日本人が好きで親日家が多いので当然貿易も良い方向に進んでいきます。

ブラジルの大きな魅力は南米一の大きな市場、マーケットを有し、資源が豊かで、エネルギー、パワー、又輝ける農業等です。特にこの40年から50年にかけてブラジル農業は大きな発展をいたしました。世界有数の食糧輸入国から食料輸出国に変わりました。これはやはりセラード開発と高い農業技術改革のお陰ですので、あらためて日本政府JICA、JBIC等の機関に大きな拍手とお礼を申し上げます。

日本は正反対で資源が少なく原料を海外から輸入をして高い技術で加工をした製品を世界に供給をする国ですので、当然、ブラジルと日本は最高のパ-トナーであることは間違いございません。ブラジルからの輸出は穀物、鶏肉、オレンジジュース、コーヒー、鉄鉱石等の第一次産業製品ですが、一方、日本からの輸出は、機械類、精密機器、自動車部品、電子機器等ですが、毎年ブラジルからの輸出が増えていますので日本から新しい分野、部門からの製品開発が必要になってきております。食料加工品などを考えて頂きたいと思っています。貿易はコンテナの行き返りが大事です。現在、コンテナが不足をしている現状ですが、これからの課題だと考えております、ブラジルは日本からもっと物を買わなければなりません。

ブラジルの政治は三権分立で立法権、行政権、司法権で構成され、議会は上院が州を代表して、下院が国民を代表して選出をされます。来年は大統領、上院、下院、知事、州議員の選挙になっています(もうすでに火花の飛出が交わされている)。

ブラジルの政治は本当に複雑で、現在約36ぐらいの党がありますが、来年の選挙で下院議員の15席確保出来ない党は活動中止となりますので党の数は減少します。多分10から15の党が生き残ると予想されています。今、色々な選挙法案が提出されて議論が行われています。政治家は偉そうな悪者、悪党だと言われるのが定番ですが政治家も中々大変です。論争が激しい法律の可決の場合、世論がまっぷたつに分かれますが、Sim かNãoの投票をしなければならず、Sim に投票すれば、その票に支援をしている人達からは拍手で迎えられますが、反対派からは不満と厳しい批判を浴びされます。やはり自分の強い意志と勇気が大事で、誇りと信念を持たないと出来ない仕事です。

私の場合は、自分が会社を経営していたので生産部門を一番に良い法案だと優先をして投票しておりますが、時々は党の会議で結論された場合、党に従わなければならない時もあります。これは少々辛いですが、現在のブラジル政治のシステムです。

そういうことで、議会にはあらゆる分野の代表が選出され論議がされていますが、各分野の集まり、各部門の代表だと考えて間違いはないでしょう。議会には宗教団体、農業団体、環境、地域社会を代表する議員も多いですが、3年前の最後の選挙では、軍人、ポリスの台頭が激しく、約65%の下院議員と80%約の上院議員が落選しまして、私などはその生き残りでございます。只、新しく選出された議員も今までは彼たちの仕事が出来ていないので、次の選挙は又新しい風が吹くか、優先され本当に実績がある議員が当選するのではないかとの話が裏舞台ではささやかれています。

下院議員は513名で構成されています。現議会では、私とサンパウロ選出のKin Kataguiri氏の2名の日系議員のみです。下院は日本の衆議院と考えて頂ければと思います。日本との議会交流は日伯議員連盟を長年にわたり提携しており、現在は私がブラジル側の会長で、日本側は麻生太郎先生が務めており、日伯交流関係の発展によく話し合いを行い、緊密な良い関係を保っております。

今年1月の始めに、日本より茂木外務大臣がブラジリアを訪問されまして、私達と共にボルソナロ大統領と会見をして頂き、農業面、環境面、インフラ設備、日系社会への協力等最高の結果が出てきております。私は地域社会、農業、商工業、生産者の代表の意識を持って、政治にたずされています。委員会は農業委員会、商工委員会と外交委員会に属しております。

パラナ州は399の市がありますが、私は約120の町を中心に選挙区としており、日本の約30%位の地域を訪問して回りますので、週に一度はどこかの選挙区を訪れます、本当に広く距離がありますので、朝は5時から6時起床で、夜遅く帰宅を致しますし、土曜、日曜、祭日は各町のイベントに参加をしますので、月曜から月曜まで働いております。好きではないと出来ない仕事です。只、競争が激しい世界ですので、競争心が無いと出来ません。

政治は多くの人が避けて通ろうとしますが、政治なしでは国の発展はありません。政治が国を動かし、方針を決めていきます。当然、政治が経済界に与える影響は大きいので、是非皆様も参加をして良い方向へ一緒に誘導をして頂ければありがたいです。日系人の皆様も本当に真面目で政治の世界には入りませんし、避けて通る人が多いですが、アラブ人等はその逆で少数民族ですが、彼たちは議員選出の為に票を集めて多くのアラブ系議員を応援して政治にたずされております。私もパラナ州では多くの票を日系人から頂いておりますし、応援も頂いておりますので、日系社会、日系団体への協力と支援には一番気を使っておりまして、日曜日は出来る限りの日系団体のイベントに参加しております。現在、日系団体で心配な事は出稼ぎ現象で空洞化がおこり、経済状態が良くないことです。先日も江口JICA所長にもお話をさせて頂きましたが、前回、日本をBolsonaro大統領と訪問をした際に、安倍前首相に、彼を通じてお願いしたことは、日本は労働力が必要としておりますので、これからは、日系人だけではなくブラジル人の若い世代を研修生として、日本に3年から5年ぐらいの期間学ばせてくださいということでした。当然、研修生としては最小限の言葉と日本の知識を学ばなければなりませんが、私たちの日系団体は各町に文協があり、日本語教育が出来る土台がありますので、それを利用して、月謝を支払い1年程学んでもらい、日系団体の収入減としてはどうかと提案を致しました。各町の日系団体の承認をもらえば良い研修生を日本に送れますし、各団体の活性化にもなりますし、研修生も日本の文化教育技術を学びブラジルに帰国して国の発展の為に貢献できれば何よりです。

又、今私たちが日本に働きかけていることは、ブラジルの牛肉と豚肉の輸出をすることです。私もTereza Cristina農務大臣とは毎週その話をしておりまして、Parana州、Rio Grande do Sul州は本年の5月末にOIEから口蹄液ワクチンの排除の証明書をもらいまして、日本へ輸出の交渉を進めております。豚肉は2年前よりSanta Catarina州は解除になっておりますので、パラナ州その他の州の豚肉が日本に輸出されるのは時間の問題だと考えております。牛肉は他諸国の圧力も当然かかってきますし、やはり農林省は国内の消費、需要、または生産者の声を聞いて少々時間はかかると思いますが、Brasil 産のChurrascoが日本で食べられると考えるだけでワクワクしてまいります。

私も議員になりもう来年で20年になりますが、毎年、経済友好使節団を構成しまして1年に1回から2回、企業家、親日家を引率しまして約25回、約400名を引率して日本を訪問いたしまして、政治界、経済界、姉妹県、姉妹都市等と緊密な関係を保っております、皇室にも毎年光栄な御接見の機会を頂いております。

この交流のお陰で多くの日本企業がパラナ州にも進出されて、現在22社が工場をもち、営業をおこなっております。今週は、兵庫県、姉妹都市に本社をおくSumitomoゴム、Dunlopが第2工場の建設、(1bilhão de reais),10億レアルの投資を発表いたしました。これは兵庫・パラナの姉妹都市のおかげです。皆一同喜んでいる次第でございますし、又、近日には本当に優秀な素晴らしい日本の企業もパラナ州に進出して工場建設の計画を発表することになっております。

尚、先程もふれましたが、来年からブラジルの豚肉、特にParana 州、Rio Grande do Sul 州等の日本向けの輸出計画をたてて経済ミションを構成中でございます。特にParana州には非常に優秀な農業協同組合がございますので、この組合の幹部は15年前にも日本に連れてゆき、鶏肉の輸出をすでに日本と行っている組合ですので、今回の豚肉も短期間でスムーズに成功することを期待しております。なお、日本で今80%の鶏肉はブラジル産です。もし、興味がおありの企業があれば、ご紹介をいたしますので、私に連絡をください。

下院議会で私達が本当に可決をして、ブラジル企業に貢献できたと思うのは、一つは労働問題改革です。労働問題はブラジルの癌だったとと思います。企業側が莫大な納得できない大きな金額を労働者に支払っていましたが、本当にひどい状況でした。これが解決されました。又、この法案の中、Sindicato(組合)が労働者に対して強制的に給料から差し引かれ、労働組合(Sindicato)に収められていたのが、オプショナルとなり、組合の力が弱まり政治的な圧力もできなくなっております。これはブラジルの労働法を変えた大きな成果だと確信をもっております。又、もう一つの社会福祉法案・年金改革も経済界には大きな貢献となりました。

今、私達は税改革と行政改革に取り組んでおりますが、税金改革は最初は、税金統一と簡素化して一本化をはかる事を原点として話し合ってきましたが、最近、政府から農業、工業に対しての増税の件がだされまして、私たちはこの件に反対をして、少々難しい状態になっております。大蔵大臣Paulo Guedesは優秀であるが、やはり、税金改革、行政改革は本当に大事で長く続いた社会主義、共産主義にメスを入れる法案ですので、大きな反論が出てきますが、絶対に変えなければブラジルの発展がございませんので、この二つの改革は必要でございます。これをしないと、国の発展はございません。これらの法案改革後は当然民主国として大きなPotencial可能性を秘めた国として発展していくことは疑う余地もありません。日本ではよく“住めば都”と言うことわざを聞きますが、“ブラジルは住めば天国です”のでこれから日伯関係に皆様のお力をお借りし、より緊密な関係を作り2カ国相互が良き、最高のパートナーになるように働いていきたいと思っております、是非皆様方のお力を頂きたいと思っておりますので宜しくお願い申し上げます。

もう一つお話をしたいのは、ブラジル下院はコロナのパンデミックで、議会へ出勤できなくても、議会は直ちにSistema Virtual(仮想システム)、Sistema Remoto(リモートシステム)に切り替え、議会を進めることができました。このCelular(携帯電話)一つで投票もできますし、論議もできます。これは素晴らしいと思います。又、皆さんもご存知のように選挙は全て電子投票ですし、これらの便宜を図りますと、ブラジルはやれば出来る国だと常に思っております。

最後に、ブラジル日本商工会議所の幹部の皆様、異業種交流委員会の皆様、吉田社長、江口JICA所長、板垣様、司会の湯原様、山下様、石川様、Seiji Kasukano様、Erika 村田様の皆様の御好意に心から感謝をもうしあげます。これからも皆様方のご指導ご鞭撻よろしくお願い申し上げます、又、皆様には私に出来ることが何か有ればご気軽に私の方にご連絡を頂ければ幸いでございます。

どうもありがとうございました。

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西森議員の連絡先(秘書)お気軽にコンタクトしてください →  LauraTamaru@hotmail.com

ブラジル企業の海外投資先は、タックスヘイブンに集中(2021年7月28日付けヴァロール紙)

ブラジル企業や個人の投資金の主な10か所の投資先の中で、投資総額の66%は、タックスヘイブン若しくは優遇税制を導入している国に集中しているとブラジル国庫庁の調査で判明している。

ブラジル中央銀行の統計によると、2019年のブラジルの海外での投資残高は3,850億ドルであったが、2020年には、4,115億ドルと250億ドル以上増加を記録している。

ブラジル企業がオランダに実質的な経済活動を行わない持株会社を保有する場合は、税制優遇措置を享受できるために、ヨーロッパ域内では主な投資先となっている。

2019年のブラジルの対外直接投資のヨーロッパ域内の投資比率は、全体の20.7%であったが、2020年には、その比率は21.2%に相当する874億ドルを記録している。

ブラジルの海外直接投資の内訳として、昨年のオランダ向け投資は、カイマン諸島を抜いてトップに上昇、カイマン諸島への投資比率は、2019年の22.3%から昨年は16.9%に相当する697億ドルに減少している。
またブラジルの海外直接投資のうち英国領バージン諸島向け投資比率は、14.7%に相当する605億ドル、バハマ諸島向け投資比率は、13.0%に相当する535億ドルとなっている。

前期同様、米国向け対外直接投資は、州政府の有限責任会社(Limited Liability Company: LLC)による優遇税制の対象で、2019年の5.7%から9.5%に相当する392億400万ドルで5位に上昇している。

米国に次いで6位は、ルクセンブルクの5.7%に相当する392億ドルを記録している。2011年以降、ヨーロッパの小国では優遇税制の対象国を拡大して外資系企業の取込みを積極的に行っている。,

トップ7位から10位には、優遇税制のオーストリア、タックスヘイブンのパナマ、優遇税制のスペイン、英国は10位で2019年からのランクは変わっていない。現在タックスヘイブンは61地域、優遇税制を適用しているのは12か国となっている。

連邦政府は来年の財政プライマリー収支赤字予算を700億レアル削減か(2021年7月29日付けエスタード紙)

パウロ・ゲーデス経済相率いる経済班は、ブラジルの国内経済回復に伴って臨時歳入増加が牽引して、2022年の財政プライマリー収支の予想赤字1,700億レアルから1,000億レアルに削減する検討を開始している。

経済班は、最近国会で承認されていた来年度予算の1,705億レアルの赤字は、国内経済の回復に伴う歳入増加以外にも、COVID-19対応のワクチン接種拡大による連邦政府の臨時歳出の削減に繋がっており、600億レアルから700億レアルの赤字予算削減の可能性が濃厚となっている。

国内経済の回復や国際コモディティ価格の上昇並びにレアル通貨に対するドル高の為替が追い風となってブラジルの輸出拡大、今年の臨時歳入は、2,000億レアルに達すると経済班は見込んでいる。また来年の臨時歳入も今年並みの2,000億レアルを見込んでい

ミッシェル・テメル政権の2016年に財政プライマリー収支を1,705億レアルの赤字に固定、翌年から徐々に赤字幅の削減を見込んでいたが、赤字拡大していた経緯があった。

2017年並びに2018年の財政プライマリー収支は、固定されていた1,705億レアルの赤字を更に拡大する変更を余儀なくされた。2020年の財政プライマリー収支は、COVID-19パンデミック対応の緊急給付金の支給でさらに悪化していた。また2022年の財政プライマリー収支は、当初予想の1,275億レアルの赤字予算は更なる赤字予算に変更されていた。

連邦政府は既に所得税改正案を国会に提出、2022年の所得税による歳入は24億7,000万レアル増加が見込まれていたが、個人向け利益・配当金などに関する所得税改正案は難航している。

7月のインフレ指数IGP-M は0.78%、過去12か月間では33.83%を記録(2021年7月29日付けエスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の今月29日の発表によると、一般的に不動産の賃貸契約の調整に用いられるインフレ指標の一つである今年7月の総合市場物価指数(IGP−M)は、6月の0.60%を上回る0.78%を記録したが、ブロードキャストプロジェクションの調査の平均予想0.90%を下回っている。

今年7月の過去12か月間の累計総合市場物価指数(IGP−M)は、6月の35.75%から33.83%に減少、今年初め7か月間の累計IGP−M指数は15.98%を記録している。

今年7月の広範囲生産者物価指数(IPA-M) は、6月の0.71%から0.42%に減少。7月の過去12か月間の累計卸売物価指数(IPA)は44.25%、今年初め7か月間の累計卸売物価指数は19.83%を記録している。

今年7月の消費者物価指数 (IPC-M) は、6月の0.57%から0.83%に加速、過去12か月間の累計消費者物価指数 (IPC-M) は8.31%、今年初め7か月間の累計消費者物価指数 (IPC-M) 4.26%を記録している。

また今年7月のブラジル建設コスト指数(INCC)は、6月の2.30%から1.24%と約半分に減速、7月の過去12か月間の累計ブラジル建設コスト指数(INCC)は17.35%、今年初め7か月間の累計ブラジル建設コスト指数(INCC)は10.75%を記録している。

今年7月の広範囲生産者物価指数(IPA-M) が0.42%記録した要因として、製造業部門の生産者物価指数が、6月の0.94%から1.50%に上昇した一方で、農畜産部門の生産者物価指数は、6月のマイナス0.90%からマイナス1.33%と大幅に落ち込みを記録していた。

7月の卸売物価指数(IPA)は原材料の高騰が牽引して、6月のマイナス1.28%から一転して0.09%上昇、鉄鉱石の価格上昇以外にも豚肉は6月のマイナス13.50%から一転して5.69%増加、キャサバはマイナス6.01%から3.57%増加、サトウキビは7.73%から1.36%、コーヒー豆は8.15%から0.04%、大豆はマイナス4.71%からマイナス5.92%を記録している。

今年初め7か月間の原材料の累計インフレ指数は23.60%、過去12か月間では61.20%、前期同様に完成品は10.38%、23.90%、中間財は24.35%、46.15%それぞれ増加を記録している。

2021年7月29日 ジョニー・ササキ議員一行が会議所を訪問

2021年7月29日、サンパウロ州サンヴィセンテ市のジョニー・ササキ(Jhony Sasaki)市議会議員が会議所を訪問した。マルコス・ロベルト・デ・アンドラーデ(Marcos Roberto de Andrade)官房室長、ベニー・コキット・フィーリョ(Benny Coquito Filho)広報担当も同行した。

ササキ議員はサントス市に隣接するサンヴィセンテ市の優良な立地条件等をアピールし、日本企業の投資を誘致、同市の「日本通り」や、公立学校の改設プロジェクトを手掛けている。日本在住20年の経験があり、ブラジル人コミュニティー向けのテレビ局のレポーター、司会者、ダイレクターを歴任した著名人。

応対した平田藤義事務局長と昨今のブラジル情勢や日本企業の動向などについて意見交換し、近い将来会議所定例昼食会の場に同市長を招いて投資誘致のプレゼンテーション実施の可能性などについて語り合った。

最後には平田事務局長があとがきを寄せた文庫本『世界が感謝!日本のもの』がササキ議員に贈呈された。

(Zoom)機械金属部会懇談会開催 2021年7月29日

機械金属部会(山田 佳宏部会長) は、2021年7月29日午後1時30分から3時まで22人が参加してオンライン形式で懇談会開催、司会は山田部会長が務め、参加者がそれぞれ自社の2021年上期の回顧と今後の展望について発表した。

懇談会では、昨年3月からCOVID-19パンデミックによる鉄鋼メーカーの高炉停止による減産や在庫調整からの回復、中国のいち早い経済回復が牽引した鉄鉱石の国際コモディティ価格の上昇による鉄鋼製品価格の上昇、中国の鉄鋼メーカーに対する輸出振興リベートの廃止、内需活性化による輸出関連の課税開始、カーボンニュートラル、環境関連課税の傾向、電力エネルギーオークション再開、好調な建機業界、半導体不足による自動車業界への影響、過去数年の右肩上がりの医療業界、旺盛な鉱山向けマイニング、来年10月の大統領選挙を控えた新規投資動向、航空貨物の物流コスト高騰、渡航禁止によるリモートオペレーション、大半の産業界の回復基調など多岐に亘って意見交換が行われた。

参加者は山田部会長(三菱重工 )、秋山氏(日本製鉄 )、加藤氏(メタルワン )、杉本氏(伊藤忠丸紅 )、小野澤氏(荏原)、石井氏(CBC)、 岡田氏(コマツ)、 平野氏(タダノ)、平野氏(京セラ)、田野口氏(横河南米 )、二本松氏(TMEIC )、長谷川氏(DMG MORI)、加治氏(出光)、脇氏(NSK)、中野氏(NTN)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、吉田調査員(サンパウロ総領事館)、松平次長(ジェトロサンパウロ事務所)、古木調査部長(ジェトロサンパウロ事務所))、平田事務局長、上田アシスタント、大角編集担当

小売大手のCarrefour社, GPA社並びにMagalu社はコロナ禍で更なる寡占化 (2021年7月28日付けヴァロール紙)

ブラジル小売・消費市場経営管理者協会(Ibevar) 並びに経営管理協会(FIA)の共同調査によると、コロナ禍の2020年の小売業界大手120社の総売上は、前年の5,260億レアルから前年比20%増加の6,320億レアルと二桁台の伸び率を記録している。
しかし最大手小売網10社の総売上は、前年比30%増加した一方で、120社の最下位10社の総売上は、マイナス22.0%と明暗が明確になってきており、最大手10社の寡占化が鮮明になってきている。

昨年の小売大手120社の一般家庭に占める消費は、13.6%と2019年の39.0%から大幅に減少しているが、コロナ禍の影響で、売上の少ない小売網は、更に売上減少に見舞われる傾向になっているとIbevar協会のCláudio Felisoni de Ângelo会長は指摘している。

昨年の10大小売販売網のCarrefour社, GPA社, Magalu社, Via社, Americanas社, Big社, Raia Drogasil社, Natura社, Boticário社並びにMateus Supermercado社の総売り上げは3,170億レアルに達し、トップ12社の約半分の売上を占めている。

小売業界でも最も大手企業による寡占化が進んでいるのはスーパーマーケット業界であり、トップ5社の市場占有率は、2019年の54.5%から昨年は58.3%とさらに寡占化に拍車が掛かっている。

また前期同様に建材部門トップ5社の市場占有率は83.9%から86.5%、家電・家具販売部門は86%から88.4%、薬局・化粧品部門は、77.7%から79.2%とそれぞれ更なる寡占化に拍車が掛かっている。

ブラジル国内の小売業界の寡占化の進展はブラジル特有のものではなく、世界的に小売販売の寡占化が進んでおり、コロナ禍による外出自粛や必需品以外の販売自粛要請などで、オンライン販売やコンペチターから有能な人材のヘッドハンターを強化してきている小売販売網が売り上げを伸ばしている。

またコロナ禍による一般消費者のEコマース販売移行の傾向に沿った、デジタルトランスフォーメーションに着手してスタートアップ企業の買収を果敢に行っている大手小売販売がマーケットシェアを伸ばす傾向となっている。

Carrefour社の昨年の売上は、2019年に続いて748億レアルで業界トップを維持、Pão de Açúcar社の売上は557億レアルで2位を維持、Magazine Luiza社は361億レアルで3位に浮上している。

昨年のCasas Bahia社を擁するVia社の売上は、344億レアルで4位、Lojas Americanas社は254億レアルで5位、2019年は4位であったGrupo Big社は252億レアルで6位に後退、薬局チェーン最大手のRaia Drogasil社は211億レアルで7位、化粧品最大手のNatura社は153億レアルで8位、化粧品Botcário社は150億レアルで9位、10位には144億レアルでMateus Supermercado社がトップ10入りしている。

ファッション・スポーツ部門の小売販売では、Lojas Renner社が売上103億レアルでトップ、Havan社100億レアル、Riachuelo社77億レアル、Pernambucanas社は49億レアル、5位には41億レアルでC&A社がトップ5に食い込んでいる。

家電・家具部門の小売販売では、Magazine Luiza社が361億レアルで業界トップ、Via社344億レアル、Móveis Gazin社59億レアル、Lojas Cem社57億レアル、40億レアルの売り上げを記録したFast Shop社が5位となっている。

建材部門の小売販売ランキングでは、ST. Gobain社が81億レアルで業界トップ、Leroy Merlin社71億レアル、Grupo Hervalは27億レアル、Lojas Quero-Quero社は20億レアル、C&C社の売上は18億レアルで業界5位となっている。

最終のCopom会議では2022年のインフレ指数を目標内に収めるためにSelic金利の引上げを加速か(2021年7月28日付けヴァロール紙)

来週開催される中銀の通貨政策委員会(Copom)では、2022年のインフレ指数を連邦政府の許容範囲に収めるために、政策誘導金利(Selic)の引き上げ幅の0.75%若しくは1.00%のジレンマに窮している。

最後に開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)では、今年末のSelic金利を中間レベルの6.50%前後に収める金融政策には無理があり、また2022年のインフレ指数の中央目標値の3.50%前後に収める必要性の考慮を余儀なくされている。

2021年7月の6月16 日~7月15 日までの30 日間に計測されたインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、金融アナリストの平均予想の0.65%を大幅に上回る0.72%と同月としては2004年7月に記録した0.93%以来、過去16年間で最高のインフレ指数を記録している。

今年7月のIPCA-15指数が0.72%を記録した要因として、水力発電所の貯水ダムの水位低下を補うための生産コストの高い火力発電所の稼働を余儀なくされ、電力エネルギー料金が「赤旗レベル2」の52%の値上げの影響で、7月から電力エネルギー料金は3.85%値上げされている。

更に7月からの電力エネルギー料金値上げ、「赤旗レベル2」の100キロワット時(kWh)当たり電力エネルギー料金が年末まで継続すれば、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)インフレ指数は最終予想の6.56%を突破して、7.00%以上に達すると多くの金融アナリストは分析している。

中銀の通貨政策委員会(Copom)によるSelic金利の引上げ効果は、Selic金利引き上げ後12ヶ月から18ヶ月間を要するために、来年のインフレ指数を3.50%に収めるためには、0.75%以上の引上げ幅が不可欠となっている。

今年のIPCA指数が7.00%を上回れば、連邦政府の中央目標値3.75%の約2倍となり、また最高許容値5.25%を大幅に上回る結果となる。今年のインフレ指数が目標値を突破する見込みのため、中銀のRoberto Campos Neto総裁は、経済省のパウロ・ゲーデス経済相にインフレ指数が目標値を突破する理由を記載したレポート提出を余儀なくされている。

来週の中銀の通貨政策委員会(Copom)でSelic金利が1.00%引上げされれば、年末のSelic金利は7.50%~8.00%に達する可能性を金融アナリストは指摘している。

ブラジル企業の海外投資先は、タックスヘイブンに集中(2021年7月28日付けヴァロール紙)

ブラジル企業や個人の投資金の主な10か所の投資先の中で、投資総額の66%は、タックスヘイブン若しくは優遇税制を導入している国に集中しているとブラジル国庫庁の調査で判明している。

ブラジル中央銀行の統計によると、2019年のブラジルの海外での投資残高は3,850億ドルであったが、2020年には、4,115億ドルと250億ドル以上増加を記録している。

ブラジル企業がオランダに実質的な経済活動を行わない持株会社を保有する場合は、税制優遇措置を享受できるために、ヨーロッパ域内では主な投資先となっている。
2019年のブラジルの対外直接投資のヨーロッパ域内の投資比率は、全体の20.7%であったが、2020年には、その比率は21.2%に相当する874億ドルを記録している。

ブラジルの海外直接投資の内訳として、昨年のオランダ向け投資は、カイマン諸島を抜いてトップに上昇、カイマン諸島への投資比率は、2019年の22.3%から昨年は16.9%に相当する697億ドルに減少している。

またブラジルの海外直接投資のうち英国領バージン諸島向け投資比率は、14.7%に相当する605億ドル、バハマ諸島向け投資比率は、13.0%に相当する535億ドルとなっている。

前期同様、米国向け対外直接投資は、州政府の有限責任会社(Limited Liability Company: LLC)による優遇税制の対象で、2019年の5.7%から9.5%に相当する392億400万ドルで5位に上昇している。

米国に次いで6位は、ルクセンブルクの5.7%に相当する392億ドルを記録している。2011年以降、ヨーロッパの小国では優遇税制の対象国を拡大して外資系企業の取込みを積極的に行っている。,

トップ7位から10位には、優遇税制のオーストリア、タックスヘイブンのパナマ、優遇税制のスペイン、英国は10位で2019年からのランクは変わっていない。現在タックスヘイブンは61地域、優遇税制を適用しているのは12か国となっている。