ブラジル国内の農業用地は、過去20年間で最高の値上がり(2021年7月12日付けエスタード紙)

IHS Markit社の調査によると、穀物や食肉の国際コモディティ価格の上昇に伴って、ブラジルの穀倉地帯の農業用地の価格が上昇を続けており、今年4月の過去12か月間の農業用地の平均価格は、約30%も値上がりを記録している。

マット・グロッソ州のヴァーレ・ド・アラグアイア地域で、農畜産会社Agro Oeste社を経営するGuilherme Pinezzi Honório氏は、1万1300ヘクタールで大豆、トウモロコシ並びにゴマの生産、牧畜を営んでいるが、過去10年間に亘って農業用地を購入していなかった。

しかしHonório氏は、今年3月のマット・グロッソ州セーラ・ドラーダ地域の750ヘクタールの牧草地、同州サン・フェリックス地域の2500ヘクタールの牧草地を穀物栽培に転用するために購入を決定した。

Honório氏は農地転用の牧草地を購入した土地の価格は、過去20年間で最高の値上がりを記録、4月の過去12か月間では、18.0%の値上がりを記録している。

Honório氏は、農業用地の購入価格は希望価格よりも25%高かったにも拘らず、購入を決定したのは、農畜産物の国際コモディティ価格の上昇並びにインフレ圧力の上昇に伴って、土地の購入を先延ばしすればするほど購入が難しくなると判断している。

Honório氏が農業用地購入を決定した要因として、生産している大豆やトウモロコシ、牛肉の国際コモディティ価格の上昇、レアル通貨に対するドル高の為替、依然として非常に低い政策誘導金利(Selic)、農業向けクレジットの緩和政策が牽引している。

2020年から始まった農畜産製品の国際コモディティ生産ブーム、中西部地域の国道BR-163線の舗装、農畜産物輸出のFerrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルの鉄道建設構想などの要因で、中西部地域を農業用地価格が値上がりを続けている。

今年4月の過去12か月間のブラジル国内の穀物栽培用農地の平均土地価格は30%値上がりしている。コーヒー並びに植林向け農地は14.0%値上がり、牧草地は11.5%値上がり、サトウキビ栽培用地は10%値上がりしている。パラナ州の穀物栽培向け1ヘクタール当たりの平均農業用地は5万レアル、特にパラナ州カスカベル地域の農業用地は8万レアル~10万レアルで取引されている。

マット・グロッソ州ロンドノポリス市、タンガラーダ・ダ・セーラ市、シノップ市の4月の過去12か月間の1ヘクタール当たりの穀物栽培用地は平均60%~70%値上がりしている。また同州の牧草地も81%値上がりを記録している。

痩せた牧草地を安価で購入して、肥料による土地改良で穀物栽培向け土地に転用すれば、世界的に問題になっている熱帯雨林の伐採を行う必要はないとIHS Markit社アナリストのLeydiane Brito氏は指摘している。

農業専門不動産会社Fazendas Mato Grosso社のMauro Melo共営者は、現在最も需要の高い農業用地はマット・グロッソ州、トカンチンス州、バイア州西部地域並びにパラー州の低価格の牧草地で、土地価格が非常に高い穀物栽培向けに転用する。

大規模な農業用地を積極的に購買しているのは、大規模農業グループ、製造業や小売業のオーナー、ブラジル企業を通した海外投資家もブラジル国内の農業用地に投資を行っている。

Mato Grosso社のMelo氏は、COVID-19パンデミック以前の年間取引は15件から20件のファーム売買契約であったが、COVID-19パンデミック以後の6ヶ月間では、過去20年間で最高となる30件のファーム売買契約が成立していると説明している。

COVID-19パンデミック前の大規模農業用地の分割払いの平均返済期間は6年から7年であったが、現在の平均返済期間は3年、長くて4年に短縮しているとBorges Imóveis Rurais社ブローカーのLuciano Borges氏は説明している。

2022年末のSelic金利は7.0%予想(2021年7月12日付けエスタード紙)

12日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年末の政策誘導金利(Selic)は、前回予想の6.50%から6.63%に上方修正されたが、1か月前の予想は6.25%であった。

また2022年末の政策誘導金利(Selic)は、前回予想の6.75%から7.00%に上方修正されたが、1か月前の予想は6.50%であった。2023年末並びに2024年末のSelic金利は、前回同様6.50%に据え置かれている。

3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げ、4.25%になっている。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の6.07%から6.11%に上方修正したが、1か月前の予想は5.82%であった。一方2022年のIPCA指数は、前回予想の3.77%から3.75%若干下方修正している。1か月前の予想は3.78%であった。

また2023年のIPCA指数は、前回同様3.25%に据え置かれたが、2024年のIPCA指数は、前回予想の3.25%から3.16%に下方修正されている。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。また2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。2024年の中央目標値は3.00%、最低1.50%、最高4.50%が設定されている。各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

今年のGDP伸び率は、前回予想の5.18%から5.26%に上方修正されたが、1か月前の予想は4.85%であった。また2022年のGDP伸び率は、前回予想の2.10%から2.09%と若干下方修正されたが、1か月前の予想は2.20%であった。年初の今年のGDP伸び率予想は3.4%であった。

2021年7月12日 (Teams) サンパウロ総領事館経済班の中野直樹副領事と吉田佳代さんがオンライン面談

在サンパウロ日本国総領事館経済班の中野直樹副領事と吉田佳代さんが2021年7月12日に平田藤義事務局長とオンラインで面談を行った。吉田さんはブラジルの企業の情報収集や日本企業へのフィードバック等の業務を行う為、去る9日着任、事務局長に挨拶を行った後、昨今のブラジル情勢などについて意見交換を行った。

製造業部門の部品供給不足はブラジル経済回復の足枷の可能性(2021年7月8日付けエスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、今年6月の製造業部門の主要18セクターのうち8セクターでは、半導体や電機・電子部品を中心とした部品供給不足の影響で、通常の在庫水準よりも低い在庫での操業を余儀なくされている。

「我々は景気回復による需要増加が要因で、製造メーカーからの製品供給が追着いていないのであれば、設備稼働率は高いはずであるが、設備稼働率は低いレベルで推移しており、サプライヤーからの部品供給問題でメーカーの生産体制に支障をきたしている」とIbre/FGVのAloisio Campelo Júnior総裁は指摘している。

今年6月の製造業部門のセクター別の在庫状況調査では、非鉄金属セクターの在庫は通常レベルよりも33.1%減少、金属製品セクターは15.3%、鉄鋼セクター13.5%はそれぞれ二桁台の在庫不足をきたしており、2020年下半期から供給問題が発生している。

前期同様プラスティックセクター5.5%、機械・装置セクター4.9%、機械・電気材料セクター2.5%、繊維セクター0.7%、石油派生品・バイオ燃料セクターの在庫不足は、通常の僅か0.2%に留まっている。

今年4月の製造業部門で部品不足による生産調整を余儀なくされているセクターとして、機械・電気材料セクターの27.6%の企業が生産調整を強いられており、次いで金属製品セクターの23.8%、プラスティックセクター22.3%とそれぞれ20%以上の企業が影響を受けている。

前期同様機械・装置セクターは19.3%、金属セクター16.9%、繊維セクター8.4%、非鉄金属セクター8.2%、石油派生品・バイオ燃料セクターは僅か1.0%に留まっている。

インターネットプロバイダーの新規株式公開が数珠つなぎ(2021年7月8日付けエスタード紙)

今月中に地域インターネットサービスプロバイダー数社は、サンパウロ証券取引所(B3)での新規株式公開(IPO)で資金調達をして、事業の拡大やマーケットシェア拡大などを積極的に進める計画を立てている。

ブラジル国内最大のリージョナルプロバイダーBrisanet社は、既にIPO前に50億レアルに達する資金調達が確約されており、リオ州に本社を置くAtmos Gestão社並びにXP Gestão Asset社は12億5000万レアルの投資を行うと見込まれている。

またリージョナルプロバイダーUnifique社は、新規株式公開で22億レアルに資金調達を見込んでおり、Fourth Sail Capital社やAZQuest社がUnifique社のIPOでの資金調達オペレーションを牽引する。

またサンパウロ州に本社を置くリージョナルプロバイダーDesktop社は、今月19日に新規株式公開で7億レアルに資金調達を目指しているが、調達資金の大半は事業拡大に投資する。 Brisanet社、Unifique社並びにDesktop社は、IPOによる自己資金で競業他社の買収を視野に入れた事業拡大を目論んでいる。

IPOを予定しているBrisanet社、Unifique社並びにDesktop社のコンペチターは、これら3社のIPOによる資金調達状況を分析後にIPOを予定している。

プライベートエクイティVinci Partners社傘下のプロバイダーVero社は、今年10月予定の新規株式公開での15億レアルの資金調達のために、主幹事銀行を選定して契約している。

リオ州プロバイダーSumicity社を傘下に置くEB Fibra社、北東部地域プロバイダーのMob Telecom社、第サンパウロ圏のプロバイダーVipTelecom社もIPOの可能性を示唆している。

今年6月のインフレ指数は電力料金値上げが牽引して0.53%、過去12か月間では8.35%に達す(2021年7月8日付けエスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年6月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、5月の0.83%から0.30%減少の0.53%に減少、今年5月のIPCA指数0.83%は、2018年6月に記録した1.26%以来の3年ぶりの高インフレ指数を記録していた。

今年6月のIPCA指数0.53%を牽引したのは、電力エネルギー料金の値上げであった。また今年上半期の累計IPCA指数は3.77%、過去12か月間の累計IPCA指数は8.35%に達し、2016年9月に記録した8.48%以来で最高のIPCA指数を記録、昨年6月のIPCA指数は僅か0.26%であった。

今年6月のIPCA指数のグループ別調査では、調査対象の9グループのうち8グループで前月比増加を記録、住居グループのIPCA指数は、電力エネルギーの1.95%増加が牽引して1.10%増加を記録したが、5月の住居グループのIPCA指数は、電力エネルギー料金値上げが牽引して5.37%上昇していた。

6月の「赤旗レベル2」の100キロワット時(kWh)当たり電力エネルギー料金は、5月の「赤旗レベル1」の4.169レアルから一挙に6.24レアルに値上げされていた。

また今年6月の食品・飲料グループのIPCA指数は0.43%上昇、輸送グループは0.41%上昇している。家庭内食料品のIPCA指数は、5月の0.23%から0.33%に上昇、5か月連続で上昇している食肉のIPCA指数は1.32%上昇、6月の過去12か月間の累計では38.17%の大幅な値上がりを記録している。

6月の輸送グループのIPCA指数は0.41%、燃料グループは0.87%、過去12か月間では43.92%と大幅に上昇、ガソリン価格は0.69%、エタノール価格は2.14%、ディーゼル燃料価格は1.10%、自動車用ガスは0.16%それぞれ値上がりしている。

6月の衣類グループのIPCA指数は、1.21%上昇、そのうち履物は1.53%、男性用衣服は1.52%、女性用衣服は1.10%それぞれ上昇を記録している。

今年5月の一般小売販売は前月比1.4%増加(2021年7月7日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間小売調査(PMC)によると、2021年5月の自動車や建材部門を除く一般小売販売量は、前月比1.4%増加を記録、また今年4月の一般小売販売量は1.8%から4.9%増加に上方修正されている。

また今年初め5か月間の累計一般小売販売量は前年同期比6.8%増加、5月の過去12か月間の累計一般小売販売量は5.4%増加、今年5月の一般小売販売量レベルは、COVID-19パンデミック以前の昨年2月の水準を3.9%上回っている。

今年5月の前月比での一般小売販売のセクター別調査では、調査対象の8セクターのうち7セクターで増加を記録、繊維、衣類・履物セクターは16.8%と最高の増加率を記録、続いて燃料・潤滑油セクターは6.9%増加を記録している。

前期同様日用雑貨・装身具類セクターは6.7%、書籍・雑誌・印刷物・製本セクター1.4%、情報機器・事務機器・通信機器セクターは3.5%、ハイパー・スーパーマーケット・食料品・飲料・嗜好品セクター1.0%、家具・家電セクターは0.6%それぞれ増加を記録している。

今年5月の繊維、衣類・履物セクターは16.8%と最高の増加率を記録したが、4月は6.2%増加した一方で、3月はマイナス7.8%と上限が激しいが、5月の繊維、衣類・履物セクターは、依然としてCOVID-19パンデミック前の水準に達していない。

5月の一般小売販売量が前月比を下回った唯一のセクターとして、販売品目がスーパーマーケットと競合する必需品の医薬品・香水・化粧品・医療機器セクターはマイナス1.4%を記録している。

今年5月の自動車セクター並びに建材セクターを含む広範囲小売販売量は、前月比3.8%増加、そのうち建材セクターは5.0%増加、二輪・四輪・部品セクターは1.0%増加したにも拘らず、依然としてCOVID-19パンデミック前の水準を下回っている。

今年5月の広範囲小売販売量は、前年同月比3.8%増加と3か月連続での増加を記録、前年同月比26.2%増加、今年初め5か月間では12.4%増加、過去12か月間では6.8%増加している。

前期同様に5月の広範囲小売販売量のうち自動車セクターは前年同月比71.9%増加、建材セクターは25.7%増加、今年初め5か月間では26.3%増加、25.6%増加、過去12か月間では4.1%増加、23.7%増加を記録している。

今年上半期の自動車メーカーは、半導体不足で12万台の新車生産を断念(2021年7月7日付けエスタード紙)

2021年上半期のブラジル国内で新車を生産している各自動車メーカーは、全世界的に半導体を中心とした電気・電子部品の供給不足の影響で、10万台から12万台に達する新車生産の断念を余儀なくされていると全国自動車工業会(Anfavea)のLuiz Carlos Moraes会長は指摘している。

今年6月の過去12か月間の新車生産は、世界的な自動車向け半導体不足で、前年同期比13.4%の二桁台の減少を余儀なくされており、今年上半期の新車生産は、最高14万台の減産になるとLuiz Carlos Moraes会長は困惑している。

ボストン・コンサルティンググループ(BCG)の統計を基にした調査によると、世界的な半導体の供給不足による今年上半期の南米での新車生産は、16万2,000台の減少を予想、ブラジルの自動車生産は、南米の80%~85%を占めている。また今年上半期の世界全体の新車生産の減少は、360万台に達すると予想している。

自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の今月初めの発表によると、今年上半期の乗用車販売は、部品不足で各自動車メーカーは生産調整を余儀なくされた影響で、20万1,000台減少を余儀なくされている。

今年1年間の世界の自動車メーカーの新車生産は、半導体を中心とした自動車部品の供給不足で、500万台~700万台の減産を余儀なくされるとBCGグループは指摘している。

自動車生産にとって欠かせない半導体の供給体制が正常化するのは、2022年上半期にずれ込むと全国自動車工業会(Anfavea)のLuiz Carlos Moraes会長は憂慮している。

全国自動車工業会(Anfavea)では、今年のバスやトラックを含む自動車生産は、前回予想の前年比25%増加から22%増加に相当する246万台に下方修正している。

今年のバスやトラックを含む自動車生産が前回予想の25%から22%増加に下方修正された要因として、軽自動車生産が前回予想の25%増加から21%増加に下方修正された一方で、トラックやバスを含む重車両車生産は、前回予想の23%増加から42%増加に上方修正されている。

また今年の新車販売は、前回予想の前年比15%増加から13%増加に下方修正、特に重車両車販売は、前回予想の14%増加から半分の7.0%に下方修正されている。

全国自動車工業会(Anfavea)では、今年のアルゼンチン向けを中心とした新車輸出は、前回予想の前年比9.0%増加から20%増加と2倍以上の上方修正を行っている。

今年6月の新車生産は、各自動車メーカーは半導体を中心とした部品不足による生産調整を余儀なくされて、前月比13.4%減少の16万6,900台に留まり、過去12か月間では最低の自動車生産を記録している。

今年6月のバスやトラックを含む新車生産は、COVID-19パンデミックで必需品以外の製造業が各自治体の要請によるプトロコルによる減産や生産中止を余儀なくされていたために、前年同月比69.6%の大幅増加を記録している。

今年上半期の新車生産は、前年同期比57.5%増加の115万台、今年6月のブラジル国内の半数の自動車メーカーは、半導体供給問題で生産調整を余儀なくされている。

今年6月の自動車ディーラーの新車販売は、半導体不足の影響で特定の新車生産停止で前月比3.3%減少した一方で、前年同月比では32.8%増加、今年上半期の自動車ディーラーの新車販売は107万台を記録している。

今年6月の自動車輸出は前月比9.4%減少の3万3,500台、前年同月比では72.6%増加、今年上半期の新車輸出は、アルゼンチン向け輸出が牽引して前年同期比67.5%増加の20万100台を記録している。今年6月の自動車業界は、1,350人の従業員を解雇したために、業界全体では10万2,700人に減少している。

欧州の工業部門が中国の影響力拡大を懸念しメルコスールとの貿易協定を要求

近年では珍しい対応であるが、経済団体が自由貿易協定案の迅速な批准を要求している。

フランスなど一部の国が抵抗していることからしばらく見ることのなかった珍事として、欧州連合(EU)の加盟国に対して欧州の産業団体13団体が連名により、メルコスールとの自由貿易協定(FTA)に関する合意を早急に批准するよう強く求めるという事態が発生した。

今回の共同声明で産業諸団体は、両経済圏が交渉した最大規模で最も意欲的な貿易協定を前進させ、ネックを解消させる時が来たと表明。さらに、両経済圏の企業に対する優遇措置を伴う協定が、現在の不況と健康危機からの回復を助けると主張した。

さらに協定批准に失敗すれば、「相互の信頼を構築し、かつ、現代のより大きな課題に対処する上で、その手段がより限定的なものになる」と警鐘を鳴らした。その上で、批准されないことでブラジルとアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイは、環境規制と労働規制の基準が大幅に低い貿易パートナーとの関係を継続あるいは拡大することすら有り得ると例証した。

今回の意見表明は、有利な状況の中国によってEUでビジネスをさらに失うことへの欧州側の懸念の表明でもある。

アマゾン熱帯雨林の保護に対してメルコスール側に環境分野で追加のコミットメントを含めるよう強力な圧力がかかっている中、欧州の産業諸団体は、この協定には持続可能性に関する確固としたコミットメントが盛り込まれており、「ブラジルは長期的に協力関係となるパートナーであり孤立させるべき国ではない」と指摘した。

EUの行政を担う欧州委員会は、2021年の年初、環境に関する追加のコミットメントについてメルコスールと交渉するための提案をまとめると発表した。だが今のところ、いつ行われるのかだけでなく、本当にそれが提出されるのかも、何の兆候もない。実際のところ、加盟国間、欧州議会内で合意を批准する政治的条件が存在しないのだ。というのも欧州では、2022年4月に行われるフランスの大統領選挙前にメルコスールとの協定が前進することはないと受け止められている。

こうした事情から今回、欧州版全国工業連合会(CNI)であるビジネスヨーロッパと、建設機械の欧州建設機械委員会(CECE)、工作機械の欧州工作機械工業連盟(CECIMO)、自動車部品の欧州自動車部品工業会(CLEPA)、皮革品のヨーロッパ皮革産業連合会(COTANCE)、テクノロジー分野の欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIME)、乳製品の欧州酪農協会(EDA)、サービス業の欧州サービス会議(ESF)、蒸留酒産業のスピリッツヨーロッパ(Spirits Europe)、繊維・衣料品の欧州繊維産業連盟(EURATEX)、フットウェアの欧州靴工業協会(EFC)、小売及び卸売のユーロコマース(Eurocommerce)、玩具工業の欧州玩具工業協会(TIE)が共同で声明を発表したことは、驚きをもって受け止められた。

実際のところ、これらの団体は、基本合意から2周年を迎える6月、欧州の人々が時間とビジネスを無駄に失っていることを示す目的で、これを祝すことに決めた。協定によりメルコスールからの輸入が10.6%拡大すると同時に、EUは、ブラジルとアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイに対する輸出を52%引き上げる可能性があると訴えている。欧州の工業にとっても、欧州が輸出した財にメルコスールが課徴する輸入税率が引き下げられることで、年間40億ユーロを節約できるという。

これらの欧州の産業諸団体は、財及びサービスに限らず、知的財産権の保護、そして「パートナーシップを発展させ気候変動の緩和を支援し、双方が効率的な形でパリ協定を推進するという持続的な開発に関する準備をさらに進めていく」ことを含めて、通商が改善するものだと主張している。

また森林伐採または木材貿易に対する既存の規定の見直しのようなEU内の一方的な立法府の取り組みは、「EUに対する輸出が現在の森林伐採または土壌の荒廃に対して貢献しないという状況を強め確実にしてしまう」と主張している。

これまでのところ、協定に反対する声のほうが大きかった。だが今回の産業諸団体が主張するのは、もはや、両経済圏による協定の批准とコミットメントの実行を断固として進めるべきということだ。

一方のブラジルではCNIが、ブラジルがメルコスール=EU貿易協定の義務だけでなく「同様に環境及び労働に関する置く最適な合意と協定に基づくコミットメントについても」実行するために参画と準備を整えているというビジョンを示すべく小冊子を作成した。(2021年6月30日付けバロール紙)

(ZOOM)「ICMS税累積クレジットのリリース申請プロセス」オンラインセミナー開催 2021年7月7日

日伯法律委員会(岩尾玄委員長)課税・通関ワーキンググループ(天野義仁グループ長)のオンラインセミナーは、2021年7月7日午前9時から10時まで約100人が参加して開催、司会は天野グループ長が担当、講師にGlobal Link Consultoria社の佐藤マリオ代表を迎えて、テーマ「ICMS税累積クレジットのリリース申請プロセス」と題して講演した。

講師のGlobal Link Consultoria社の佐藤マリオ代表は、価値修正の付かないICMS税クレジット累積残高は、デジタルファイルは過去5年にさかのぼって作成・申請可能、ICMS税クレジット累積残高のリリース申請、申請プロセスは規制83号に沿ってデジタルファイル作成義務、作成前の不可欠な社内チェック手続き、州税務局による暗証番号の発行、クレジット金額の有効性チェックプログラムのダウンロードおよびインストール、e-CREDACシステムにアクセスするためのe-CNPJなどについて説明した。

クレジット申請の第一部として、累積ICMSクレジットリリースの申請会社の商取引・輸入・購入・販売オペレーション分析、有効性チェック。第二部として購入若しくは開発するソフトウエアチェック及びインストール。第三部は累積ICMSクレジットリリース申請のデジタルファイル作成準備及び情報チェック。会社の税務・コスト・在庫品管理、購入ソフトでデジタルファイル作成、作成したデジタルファイルをデーター検証システムに送信、e-CREDAC への送信、GDOC証明書受理。第四部は州税務局(DRT)の審査後に州税務本部へのデジタルファイル送付。第五部では本部のSEFAZ-DEAT部署で最終チェックがOKであればリリース申請会社に通知(Notificação)、e-CREDACシステム内の口座振込みプロセス、またSPED FISCAL及び特別ICMS措置、FAST TRACK、特にデジタルファイル作成時の注意点などについても説明。

質疑応答では、ICMS税の還付申請から現金化するまでの平均期間。特別ICMS措置で銀行保証以外として保険保証でも可能か。ICMSクレジットの第三者への販売。デジタルファイル作成ソフトの購入若しくは自社開発に要する時間及び経費などが挙げられた。

PDFクレジット累積残高のリリースの申請プロセス 2021July