今年第3四半期のブラジルのGDP伸び率は0,1% 増加(2023年12月5日付けヴァロール紙及びIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)は12月5日、2023年第3四半期(7~9月期)の国内総生産(GDP)伸び率は、前四半期比が0,1% 増加したと発表している。今年第1四半期のGDP伸び率は1.4%増加、 今年第2四半期のGDP伸び率は1.0%増加を記録していた。

バロール紙が71社の金融機関とコンサルティング会社から集めた事前の平均予想のマイナス0. 2%を大幅に上回る伸び率を記録。最低予想はマイナス0. 6%、最高予想は0,5%増加であった。今年第2四半期のGDP伸び率は前四半期比1%増加を記録していた。

今年第3四半期のGDP伸び率は前年同期比では2%増加、バロール紙が64社の金融機関とコンサルティング会社から集めた事前の平均予想の1,9%増加を僅かに上回り、最低予想は0. 8%増加、最高予想は3,4%.増加であった。

今年第3四半期のブラジルGDP伸び率は前四半期比0.1%増加、農畜産部門はマイナス3.3%とGDP伸び率の足を引っ張る要因となり、鉱工業部門は0.6%増加、GDPの67%を占めるサービス業部門は金融・保険や不動産部門が牽引して0.6%増加、国内総固定資本形成(FBCF)はマイナス2.5%と4四半期連続で落ち込みを記録、一般消費は.1.1%、連邦政府消費は0.5%増加を記録している。

前記同様に前年同期比では2.0%、 8.8%、 1.0%、 1.8%、 マイナス6.8%、 3.3%、 0.8%を記録している。また過去12カ月間の累計GDP伸び率は3.1%増加、 14.4%増加、 2.0%増加、 2.8%増加、 マイナス1.1%、 3.7%増加、 1.0%増加を記録している。

今年第3四半期のブラジルGDP総額は2.7兆レアル、農畜産部門は1,540憶レアル、鉱工業部門6,216憶レアル,サービス業部門1.6兆レアル、国内総固定資本形成(FBCF)4,550憶レアル,一般消費は.1.7兆レアル、連邦政府消費は4,797憶レアルを記録している。

2018年第1四半期以降の各四半期のGDP伸び率の推移

2021年第1四半期以降の各四半期の鉱工業部門、サービス部門並びに農畜産部門のGDP伸び率の推移

2021年第1四半期以降の各四半期の国内総固定資本形成(FBCF)部門、輸出部門並びに輸入部門のGDP伸び率の推移

 

11月の新車登録台数は前年同月比5,3% 増加の36万1,200台を記録 (2023年12月4日付けヴァロール紙)

2023年11月の四輪・二輪・トラックやバスなどを含む新車登録台数は、前年同月比5,3% 増加の36万1,200台を記録した一方で、前月比ではマイナス3,7%に留まったと自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)が発表している。

11月の新車登録台数が前月比マイナス3,7%に留まった要因として、2日の万聖節、15日の共和制宣言記念日、20日の黒人意識の日などの祝日による営業日数の減少、特に国内新車登録台数を牽引するサンパウロ州の営業日数は、僅か19日と前月の21日よりも短かったと全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)のJosé Maurício Andreta Júnior会長は指摘している。

しかし1日当たりの平均売上の増加などの明るい兆しがあり、休日の増加がなければ結果は違っていたとJosé Maurício Andreta Júnior会長は指摘している。また同氏は、最終四半期の一般消費者の債務不履行の減少と失業率低下、自動車セクターの金利低下と信用環境の改善が1日当たりの平均売上の増加に繋がっていると説明している。

11月のトラックやバスを除く乗用車登録台数は前年同月比5,06%増加、特に電気自動車登録台数は112,2%と大幅増加を記録している。

11月のトラック登録台数は、クレジットコストの上昇及びEuro 6規制導入の影響を受けて前年同月比マイナス8,91%を記録している。また11月のバス登録台数は前年同月比マイナス8,1%した一方で、道路輸送関連は21,9%増加、二輪車登録台数も5,8%増加を記録している。

10月のブラジル国内のクレジット部門の平均年利はマイナス0,8%の29,7%まで減少 (2023年12月5日付けヴァロール紙)

2023年10月のブラジル銀行システムのクレジット部門の平均年利は、前月比マイナス0,8%の29,7%まで減少、今年10月の過去12カ月間の累計金利は前年同期比ではマイナス0,4%を記録している。

今年10月の法人向けクレジットの平均年利は、前月並みの19,7%で推移した一方で、個人向けクレジットの平均年利は前月の36%から34,8%と1.2%の減少を記録している。

今年10月の融資先を自由に選択できる自由クレジットの平均年利は、前月の43,3%から42,2%に減少している。

今年10月の銀行システムのスプレッド金利は前月の21,2%から20,3%と0.9%減少、個人向けクレジットのスプレッド金利は、前月の27,1%から25,8%に減少した一方で、法人向けクレジットのスプレッド金利は、前月並みの9,6%で推移している。

中国はブラジルを追い越してラテンアメリカ地域で自動車販売トップ(2023年12月4日付けヴァロール紙)

10年前までは、ブラジル国内の自動車メーカーはブラジル国内市場の需要がだけで充分に利益を出しており、自動車を輸出するのに多大な努力は必要なかった。ブラジル製自動車は近隣諸国の需要が保証され、それを補完する役割を果たしていた。

しかし過去10年以降は、ブラジルの国内市場は大幅に縮小し、必要な生産能力を満たすには不十分になってきている。さらに悪いことに、ブラジルはラテンアメリカ市場におけるリーダーシップを失い、昨年以来、中国はブラジルを追い抜き、ラテンアメリカへの最大の自動車輸出国となっている。

ラテンアメリカ地域における自動車輸入に占める中国のシェアは10年間で4.6%から21.2%に上昇した。一方、ブラジルは22.5%から19.4%に低下した。Penta-transactionとComtrade(国連)の2022年のデータではここ数カ月のブラジル輸出の連続減少から判断すると、今年状況が逆転することはほとんどないと予想されている。

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、2023年のトラックやバスをふくむ新車輸出台数は、42万台に留まると予想している。

今年の新車輸出台数は前年比マイナス12.7%に留まると予想、パンデミックのピークだった2年間の大幅な減少を除けば、2015年の輸出量に戻っている。これはまた、自動車の海外販売のピーク時の58%に相当する。 2005年の新車輸出台数は72万4.100台に達していた。

アルゼンチン、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルー及び売り具合向けの米国およびカナダ製の新車輸出のマーケットシェアは17,9%とブラジルに近いが中国にマーケットシェアを奪われている。日本及び韓国製新車のマーケットシェアは12,8%まで減少している。

全国自動車工業会(Anfavea)では、ブラジル製新車輸出のトップは常にアルゼンチンであったが、今年7月はメキシコ向け新車輸出がトップとなっている。

アルゼンチン政府は外貨準備金の不足に加え、今年、メルコスールからの自動車を除外せずに輸入製品に7.5%の税を課したため、ブラジルとの二国間自動車協定に違反している。

アルゼンチンでは、国内で生産された自動車のみが価格統制プログラムの対象となったためにドル不足と相まって、ブラジル製新車売上の減少に繋がったとBright Consulting社のCassio Pagliarini氏は指摘している。

アルゼンチン政府が今年7月から、中国からの輸入品の代金支払いに中国通貨である人民元で行われることを認め始めた。

中国がブラジルを含む中南米でも自動車輸出を拡大している要因として電気自動車とハイブリッド車の両方の電動車をいち早く発売して果敢にマーケットシェア拡大を行っている。

過去 20 年間、ブラジルの自動車生産に占める輸出の割合は平均 25% ~ 28% の間で推移していたが、42万台出荷という予測が現実になれば、今年のシェアは過去10年間で最低となり、18%未満となる。

初めのグラフは2005年以降のブラジルのラテンアメリカ地域への新車輸出台数の推移。

2番目のグラフは2005年以降のブラジルの自動車貿易収支の推移

3番目のグラフは2013年及び2022年の各国のラテンアメリカ地域のマーケットシェア比較

4番目のグラフは2022年の主要各国の自動車生産台数

 

最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数を4,53%から4,54%に微調整 (2023年12月4日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の4,53%から4,54%に微調整している。

2024年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の3,91%から3,92%微調整したが、2025年の広範囲消費者物価指数(IPCA)に3,50%に据置いている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回同様11.75%に据置、2024年末は9,25%に据置したが、2025年末のSelic金利は8,75%から8,50%に下方修正している。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

今年のGDPの伸び率は前回予想同様に2,84%に据置。2024年のGDPの伸び率は前回予想の1,50%、2025年のGDPの伸び率は前回予想の1,93%から1,90%に下方修正している。

ヴァロール紙が74社のコンサルタント会社並びに金融機関対象の調査によると、今年第2四半期のGDP伸び率の平均予想はマイナス0.2%であった。今年第3四半期のGDP伸び率は12月5日に発表される。

レアル通貨に対するドルの為替は前回同様にR$ 5からR$ 4,99に微調整、2024年はR$ 5,05 からR$ 5,03に微調整したが、2025年はR$ 5,10に据え置かれている。

2023年、2024年、2025年のIPCA指数の推移予想

2023年、2024年、2025年のSelic金利の推移予想

2023年、2024年、2025年のGDP伸び率の推移予想

 

2023年、2024年、2025年のレアル通貨に対するドルの為替の推移予想

10月のブラジルの経常収支は2億2,970万ドルの赤字計上 (2023年12月4日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2023年10月のブラジルの経常収支は2億2,970万ドルの赤字計上したが、昨年同月の58億800万ドルの半分以下の赤字に縮小している。

今年初め10か月間のブラジルの累積経常収支は、GDP比1,62%に相当する339億7,600万ドルの赤字を計上している。

ブラジル中央銀行の最終四半期インフレレポート (RTI)では、今年のブラジルの経常収支は370億ドルの赤字を予想している。

今年10月の海外投資家による対内直接投資残高は、33億600万ドルと昨年同月の58億2,600万ドルから大幅に縮小している。

今年10月の過去12か月間の累積対内直接投資残高は、GDP比2,74%に相当する575億2,200万ドルと昨年同月のGDP比3,99%を大幅に下回っている。今年の対内直接投資予想は750億ドルが見込まれており、今年の経常収支赤字を十二分にカバーできると中央銀行では見込んでいる。

今年10月の海外投資家による株式などの金融関連投資残高は, 30億7,900万ドルの黒字を記録したが、昨年同月は31億4,200万ドルの黒字を記録していた。中央銀行では今年の海外投資家による株式などの純金融関連投資残高は、100億ドルの黒字を見込んでいる。

今年10月の海外投資家による確定金利付き投資は25億7,900万ドルを記録、今年10月の外資系企業による本国への利益・配当金送金は、28億4,300万ドルと昨年同月の34億9,800万ドルを大幅に下回っている。

 

今年10月の鉱工業部門生産は予想を下回る僅か0.1%増加(2023年12月1日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2023年10月の鉱工業部門生産は予想を下回る前月比0,1%増加に留まった。

Valor Data社が31社のコンサルタント会社及び金融機関対象の調査では、最低予想がマイナス0,1%、最高予想が1.5%増加、平均予想の0,4%増加を大幅に下回る0.1%微増に留まった。

今年10月の鉱工業部門生産は前年同月比1.2%増加に留まり、Valor Data社の平均予想の1.8%増加を大幅に下回っている。また今年10月の過去12カ月間の累計伸び率は0.0%、今年初め10か月間の累計伸び率も0.0%であった。

今年10月の資本財部門伸び率は前月比マイナス1.1%、前年同月比マイナス10.3%と二桁台の落込みを記録。今年初め10か月間の累計ではマイナス10.3%、過去12カ月間の累計ではマイナス9.0%であった。

前記同様に中間財部門伸び率は、0.9%増加、1.3%増加、マイナス0.1%、0.0%。消費財部門伸び率はマイナス1.1%、3.0%増加、2.1%増加、1.8%増加を記録している。

消費財部門のうちの耐久消費財部門伸び率はマイナス2.4%、マイナス3.2%、2.5%増加、2.3%増加、非耐久消費財部門伸び率は0.1%増加、1.2%増加、0.0%、0.0%であった。

2022年10月以降の鉱工業部門の月間伸び率の推移

2022年10月以降の鉱工業部門の過去12か月間の月間累計伸び率の推移

2023年10月の鉱工業部門の部門別伸び率

11月の企業経営者の景況感指数(ICE)は1.1ポイント減少の91.8ポイントと4カ月連続で前月割れ(2023年12月1日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2023年11月の企業経営者の景況感を計る企業経営者の景況感指数(ICE)は、91.8ポイントと前月比では1.1ポイント減少と4カ月連続で前月割れを記録している。

今年11月の企業経営者の景況感指数(ICE)は、過去2カ月間のシナリオに従い、現状評価はわずかに改善したが、その後の数カ月に関して予想はより顕著に悪化した。この結果を総合すると、GDPの約2/3を占める景気循環部門が第4四半期も引き続き活動のペースが鈍く、2024年第1四半期の経済見通しに懸念を抱いていることが示唆される。

今年11月の企業経営者の景況感指数(ICE)のポディティブ面としては、今年下半期に建設業部門の企業経営者の景況感指数(ICE)が初めて上昇し、インフラ工事分野での持続的な楽観的な見方の影響を受けて、建設業部門は比較的回復力を示している

11月の企業経営者の景況感指数(ICE)低下の要因として、今後数カ月に関する予想の悪化に起因している。見通し信頼感指数(IE-E)は1.4ポイント低下して88.2ポイントとなり、8月以降では累積7.0ポイントのマイナスを記録、1月に発表された今年の最低水準となる86.0ポイントに接近している。

見通し信頼感指数(IE-E)構成要素のうち、6カ月先の景気動向と予測雇用はそれぞれ89.0ポイントと94.5ポイントで安定しており、予測需要は1.0ポイント低下の88.6ポイントと1月以来の低水準となった。 11月の現況景況感指数(ISA-E)は、0.7ポイント上昇し、95.5ポイントとなっている。

企業経営者の景況感指数 (ICE) は、FGV IBRE が作成した景況調査の対象となる 4鉱工業部門、サービス、商業、建設業部門の信頼指数を統合したもの。

11月企業経営者の景況感指数 (ICE) では、主要4部門の中で鉱工業部門の景況感指数 (ICE)のみが1.9ポイント上昇し92.7ポイントとなった。商業部門の景況感指数 (ICE)は、2.7ポイント低下の86.5ポイントと最悪の結果となり、企業の現状に対する期待と認識がともに悪化している。

サービス業部門の景況感指数 (ICE)は、期待が若干改善したものの、0.9 ポイント低下して 94.4 ポイント、建設業部門の景況感指数 (ICE)は横ばいとなり、0.1 ポイント低下して 96.2 ポイントとなっている。

 

今年11月のブラジルの貿易収支は87億7,500万ドルの黒字計上(2023年12月1日付けヴァロール紙)

.開発商工サービス省(MDIC)の発表によると、2023年11月のブラジルの貿易収支は、87億7,500万ドルの黒字を計上、1日当たりのへ金貿易収支は前年同月比41,5%増加を記録している。

11月の輸出総額は0,6%増加の278億1,900万ドル、輸入総額はマイナス11,2%の190億4,400万ドルを記録している。

今年初め11カ月間の累計貿易収支黒字は前年同期比56%増加の892億8,400万ドル、累計輸出総額は0,5%増加の3,106億800万ドル、累計輸入総額はマイナス12,1%の2,213億2,300万ドル、貿易総額はマイナス5,2%の5,319億3,100万ドルを記録している。

11月の農畜産物輸出は前年同月比22,25%増加、鉱業関連輸出は3,19%増加、工業関連輸出はマイナス7,16%であった。また11月の農畜産物輸入はマイナス13,81%、鉱業関連輸入はマイナス28,39%、工業関連輸出はマイナス9,07%であった。

11月の輸出先トップは中国、香港並びにマカオ向け輸出で27,45%増加、アジア向け輸出は11,98%増加を記録している。

開発商工サービス省(MDIC) 経済省通商局(Secex)では今年のブラジルの貿易収支を930億ドルの黒字収支を予想、輸出総額は3,342億ドル、輸入総額は2,411億ドルを見込んでいる。

 

ブラジルにおける二国間クレジット制度 (JCM) 支援スキーム活用促進セミナー開催

11月28日午後、日本国経済産業省主催、ブラジル日本商工会議所(環境委員会: 宮原達也委員長)、JETROサンパウロ事務所の協力で「ブラジルにおける二国間クレジット制度 (JCM) 支援スキーム活用促進セミナー」が開催された。セミナーの運営はパシフィックコンサルタンツ株式会社及び当商工会議所が行った。

日本が推進するJCM制度についての概要や、経済産業省が実施しているJCM実現可能性調査、NEDOによるJCM実証事業の概要について説明するほか、ブラジルにおける脱炭素分野の技術ニーズや、JCM実現可能性調査を活用した日系企業様の事例を紹介。

当会議所会員企業から60名が参加、活発な質疑応答セッションも繰り広げられ有意義なセミナーとなった。

プレゼンテーション資料(PDF)リンク↓

1. 経済産業省_二国間クレジット制度(JCM)の最新動向【令和5年11月公表版】

2_PCKK_JCM実現可能性調査の応募におけるポイント

3_NEDO_NEDO JCM実証について

4_JETRO_ブラジル炭素取引法とビジネス動向

5_AGC_ブラジル国苛性ソーダ・塩素製造プロセス転換によるJCM実現可能性調査