製造業部門の鉱工業部門に占める比率が減少(2021年6月29日付けエスタード紙)

自動車セクターや電機・電子セクターなどの製造業部門は、食料品セクターや飲料セクターを含む鉱工業部門に占める比率が減少して、付加価値の高い雇用の減少に結びついているとエコノミストは指摘している。

2008年~2018年の過去10年間の耐久消費財や資本財を生産する情報テクノロジーセクターや自動車セクターなどハイテク製造業部門が鉱工業部門に占める割合は、23.8%から18.7%と5.0%以上後退している。

製造業部門は、膨大な研究開発や投資にブラジル経済活性化を牽引する部門であり、大きな雇用並びに優秀な人材育成に欠かせない部門となっている。

一方伝統的に食品部門や飲料部門は、イノベーション技術や優秀なマンパワー育成にそれ程投資は行っていないにも拘らず、過去10年間の鉱工業部門に占める比率は、25.6%から35.0%と10.0%以上増加している。

また過去10年間の木材セクターや紙・パルプセクターなどの中間材生産部門の鉱工業部門に占める割合は、49.3%から44.4%に減少していると全国工業連合会(CNI)チーフエコノミストのRenato da Fonseca氏は指摘している。

2019年~2020年にかけての製造業部門の鉱工業部門に占める割合は更に後退、2014年から始まった経済リセッションから非工業化が始まったと工業開発分析研究所(Iedi)エコノミストのRafael Cagnin氏は指摘している。

製造業部門の後退の一方で、鉱業部門や農畜産部門のブラジルの主な輸出品の国際コモディティ価格の上昇に伴って、付加価値の低い鉱工業部門の比率が上昇してきている。

2008年~2018年の自動車部門の鉱工業部門に占める割合は、10.8%から7.4%に減少した一方で、食品部門は10.3%~18.0%と大幅に増加してきていると全国工業連合会(CNI)のRenato da Fonseca氏は指摘している。

過去10年間の農畜産部門の年間平均GDP伸び率は3.5%を記録、ブラジルの平均GDP伸び率は0.1%~0.3%増加した一方で、製造業部門の年間平均GDP伸び率は、マイナス1.6%と継続して大幅に後退している。

今年5月のブラジルの公的債務残高は1.61%増加の5兆1,000億レアル(2021年6月28日付けヴァロール紙)

2021年5月の連邦政府の対内公的債務残高は、前月比1.82%増加の4兆9,400億レアル、対外公的債務残高は、441億ドルに相当する2,307億5,000万レアルを記録している。

今年5月のインフレ指数を考慮しない名目公的債務残高は、前月比1.61%増加の5兆1,710億レアル、5月の国庫庁の年間ファイナンス計画では、今年の公的債務残高は5兆5,000億レアル~5兆8,000億レアルに修正されている。

今年5月のブラジル国債の発行総額は1,568億レアル、そのうち確定金利付きブラジル国債発行残高は、全体の45.56%に相当する714億3,000万レアル、インフレ指数連動の国債発行は、全体の40.15%に相当する629億5,000万レアルであった。
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今年5月のブラジル国債の平均償還期間は、3.78年と4月の3.79年より若干短縮、世界各国の国債の平均償還期間は、4月の5.08年から5.07年に若干短縮している。

海外投資家の今年5月のブラジル国債の所有比率は、4月の9.75%の4,729億5,000万レアルから9.87%の4,878億3,000万レアルと若干上昇を記録している。

5月の年金投資ファンドのブラジル国債比率は、4月の23.84%から23.16%に若干減少、前期同様金融機関の国債所有比率は29.96%から29.71%、外国政府系ファンドは4.06%から4.0%、保険機関の国債所有比率は、3.89%から3.83%とそれぞれ若干減少している。

一般家庭の負債比率は、COVID-19パンデミックの影響で58%に達して過去最高を記録(2021年6月28日付けエスタード紙)

26日の中銀の発表によると、2021年3月の金融システムにおける負債を抱えているブラジルの一般家庭の比率は58.0%と過半数以上に達して、統計を取り始めた2005年以降では最高の負債比率を記録している。

今年3月の一般家庭の住宅ローンを除いた金融システムの負債比率は、COVID-19パンデミックの影響による失業率増加並びに家庭収入の減少に伴って35.7%に上昇しており、統計を取り始めてからでは最高の負債比率を記録している。

COVID-19パンデミック直後の昨年3月の一般家庭の負債比率は、49.4%と過半数に達していなかったが、1年後の今年3月は8.6%も上昇している。

中銀の発表によると、今年5月の融資先が自由に選択できる自由クレジット総額は、前月比2.2%増加の3,475億レアル、5月の過去12か月間の自由クレジット総額は2.0%増加している。

今年5月の個人向けクレジットは、前月比4.3%増加の1,786億レアル、過去12か月間では4.8%増加。一方法人向けクレジットは0.2%増加の1,689億レアル、過去12か月間ではマイナス0.9%を記録している。

今年5月の個人向けの銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる特別小切手税と呼ばれる口座借越残のクレジットカードの平均年利は、4月の336.1%から6.5%減少の329.6%に低下したが、非常に高金利の貸出金利のために緊急時のクレジットとして注意を要する。

今年初め5か月間のオンライン販売比率は全体の6.5%に上昇(2021年6月28日付けエスタード紙)

2021年初め5か月間のインターネットによるオンライン販売は、前年同期比47.0%大幅増加、小売販売に占める割合は6.5%まで上昇してきている。

昨年3月からのCOVID-19パンデミックの影響で、外出自粛や必需品以外の営業自粛、ホームオフィス体系への移行でオンライン販売が増加、今年初め5か月間のEコマース販売は、2019年同期比153.5%増加、前年同期比では74.4%増加している。また食肉、オートバイや自動車販売もEコマース販売比率が大幅に上昇している。

2019年初め5か月間の実店舗での小売販売総額は、1兆3,250億レアルに対して、オンライン販売比率は、小売販売全体の4.9%に相当する644億レアルであった。

前期同様に2020年の実店舗の小売販売は、1兆3,330億レアルに対して、オンライン販売比率は5.9%に相当する782億レアル、2021年初め5か月間は1兆7,780億レアル、オンライン販売比率は6.5%に相当する1,148億レアルを記録している。

2020年のオンライン販売として、セルラー、テレビ、コンピューター、カメラ販売は346億レアル、繊維・衣類・履物は183億レアル、食品・飲料・嗜好品165億レアル、家電121億レアル、医薬品・化粧品・香水販売は84億レアルを記録している。

前期同様二輪・四輪・パーツ77億レアル、家具59億レアル、建材40億レアル、書籍・雑誌・新聞37億レアル、その他は26億レアルを記録している。

今年初め5か月間の電子ノッタに計上された販売総額は、前年同期比40%増加の4兆3,700億レアル、そのうち小売販売は、1兆7,800億レアルを記録している。

今年のインフレ指数予想は許容上限値を突破(2021年6月28日付けエスタード紙)

28日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.90%から5.97%に12回連続で上方修正され、6.00%に接近してきている。1か月前の予想は5.31%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されているが、5.97%予想は許容範囲上限値を大幅に突破している。

中銀は2022年の目標中央値のIPCA指数は、前回同様3.78%に据え置かれた。また2023年並びに2024年の目標中央値のIPCA指数は、3.25%に据え置かれている。

また2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。2024年の中央目標値は3.00%、最低1.50%、最高4.50%、各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

2020年のインフレ指数のIPCAは、食料品高騰が牽引して4.52%と連邦政府の目標中央値4.00%を突破、2016年以降のインフレ指数では、最高のインフレを記録していた。

今年の政策誘導金利(Selic)は、前回同様6.50%に据え置いている。3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げていた経緯があった。2022年末のSelic金利は6.50%が予想されている。

今年のGDP伸び率は、前回予想の5.00%から5.05%と僅かに上方修正、2022年のGDP伸び率は2.10%から2.11%に微増したが、1か月前の予想は2.25%であった。

今年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の6.20%から6.23%微増、1か月前の予想は5.5%であった。2022年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想2.43%から2.36%に下方修正、1か月前の予想は2.30%であった。

今年の連邦政府の財務残高は、前回予想のGDP比62.10%から61.60%と下方修正したが、1か月前の予想はGDP比63.20%であった。2022年の財務残高はGDP比64.22%から63.40%と下方修正されている。1か月前の予想はGDP比65.65%であった。

カルフールグループは19億レアルで買収したマクロ29店舗をアタカダン傘下に(2021年6月25日付けエスタード紙)

フランス系のスーパーマーケットチェーンのカルフール(Carrefour)グループは昨年2月に19億レアルで卸売販売チェーンのマクロ(Makro)の29店舗を買収していた。

日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(Cade)による昨年2月に買収したマクロ29店舗をカルフールグループ傘下の卸売販売チェーンのアタカダン傘下の組込承認には12ヶ月から15ヶ月が見込まれていた。

アタカダンでは、経済防衛行政審議会(Cade)による買収承認の可能性が濃厚と算段して、昨年からマクロ店舗のアタカダン化を並行して進めており、今年6月初めには既に準備が整っていた。

29店舗のマクロチェーン買収で今年末のアタカダン社の売上は4年後の売上に相当する効果に相当する。29店舗のマクロチェーンの売上は55億レアルに相当する。昨年のアタカダン社は206店舗であったが、今年末にはマクロ29店舗の加入で250店舗に急増するとMarco Oliveira副社長は説明している。

マクロ29店舗の買収は、カルフールグループの売上増加の一方でコスト高に繋がる。昨年第1四半期のブラジルカルフールのEbitdaは7.7%であったが、今年第1四半期のEbitdaは6.7%に減少、アタカダンも7.1%から6.6%に減少している。

6月のインフレ指数IPCA-15は0.83%を記録(2021年6月25日付けエスタード紙)

2021年6月の5月16 日~6月15 日までの30 日間に計測されたインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、前月の0.44%増加から倍増に相当する0.83%増加を記録したとブラジル地理統計院(IBGE)は発表している。

今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)の0.83%増加した要因として、ガソリン並びに電力料金値上げがそれぞれ0.17%押し上げる結果となっている。

今年4月~6月の四半期の累計IPCA-15指数は1.88%を記録した一方で、COVID-19パンデミックの影響を受けていた昨年4月~6月の四半期の累計IPCA-15指数はマイナス0.58%を記録、今年上半期の累計IPCA-15指数は4.13% 6月の過去12か月間の累計IPCA-15指数は8.13%を記録している。

今年6月の住居費は1.67%と5月の0.79%から大幅に増加、特に電力エネルギーの値上げが牽引、旱魃による水力発電所危機の影響で火力発電所の稼働を余儀なくされているために、100 kWh当たりの赤旗1の追加料金4.169レアルから赤旗2は6.243レアルとなっている。

また6月の公共輸送のインパクトは1.35%を記録したが、5月はマナス0.23%であった。ガソリン価格は2.86%と最も低い値上げりに留まったが、自動車用ガスは12.41%、エタノール9.12%、ディーゼル油3.53%それぞれ値上している。

6月の食料品・飲料値上がりは0.41%と5月の0.48%から微減、一般家庭の食料品値上がりは0.15%と5月の0.50%よりも大幅に減少している。衛生・日用品は5月の1.23%増加から0.53%増加に留まっている。

2021年6月25日 (Teams) ジェトロサンパウロの岩瀬次長と後任の宮本次長との面談

2021年6月25日、今月帰任するジェトロサンパウロの岩瀬恵一次長と後任の宮本敏央次長が平田事務局長とオンライン面談を行った。

経産省から赴任の岩瀬次長はメディカル分科会をはじめ各種ワーキンググループや会合に参加し会議所活動に貢献、宮本新次長は過去に経産省中南米室に所属、ブラジル出張経験もある。

交替挨拶のほか、昨今のブラジル情勢や日伯経済関係などについて意見交換を行った。

5月の経常収支黒字は38億4,000万ドル(2021年6月25日付けエスタード紙)

中銀の発表によると、2021年5月のブラジルの経常収支は、農畜産物の輸出並びにドル高の為替が牽引して、4月の53億5,900万ドルの黒字に続いて38億4,000万ドルの黒字を計上している。

今年5月の貿易収支は、COVID-19パンデミックの影響を受けた前年同月比では157.7%と大幅増加の81億2,900万ドルの黒字を記録している。

2020年末から中国を中心に鉄鉱石や食肉などの国際コモディティ商品の価格上昇並びにレアル通貨に対するドル方の為替は輸出促進の一方で、輸入にブレーキをかける効果となっている。

今年初め5か月間のブラジルの経常収支は、62億1,300万ドルの赤字を計上しているにも関わらず、昨年同期の経常収支赤字240億7,400万ドルの約4分の1まで縮小している。中銀では今年のブラジルの経常収支は、30億ドルの黒字を予想している。

今年5月の海外投資家による対内直接投資は、12億2,900万ドルを記録したが、中銀が予想していた23億ドルの対内直接投資の約半分に留まっている。今年初め5か月間の対内直接投資は、前年同期比30%増加している。

今年初め5か月間の対内直接投資は、国内経済の回復に伴って224億8,200万ドルと前年同期の173億3,300万ドルよりも50億ドル増加、中銀では、今年の対内直接投資を600億ドルと見込んでいる。

今年5月のブラジル人の国際旅行収支は、1億3,900万ドルの赤字を計上したが、昨年5月の国際旅行収支は、8,700万ドルの赤字を計上していた。

今年5月のサンパウロ市内の新築アパート販売は記録更新(2021年6月24日付けエスタード紙)

サンパウロ州内の不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の発表によると、2021年5月のサンパウロ市の新築アパート販売は前月比44.1%増加の5883軒に達して過去17年間では記録更新している。

昨年5月はCOVID-19パンデミックの影響で、不動産会社は営業自粛要請で閉鎖を余儀なくされていた結果、今年5月のサンパウロ市の新築アパート販売は、前年同月比144.6%と2.5倍増加を記録している。

また今年5月の過去12か月間のサンパウロ市内の新築アパート販売は、前年同期比20.5%増加の6万602軒に達して、記録更新している。

今年5月の新築アパートのリリース軒数は、不動産会社の景況感の改善による新規プロジェクト増加に伴って前月比77.4%の大幅増加の8443軒、前年同月比では428%増加、5月の過去12か月間では15.7%増加の7万2582軒で記録更新している。

現在は住宅ローン向け金利は、過去の平均を大幅に下回っているが、今後の政策誘導金利Selic上昇に伴う住宅ローン金利の上昇、インフレ圧力並びに建設用資材の高騰で先行きが不透明になってきているとサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)チーフエコノミストのCelso Petrucci氏は指摘している。