6月のブラジル銀行システムのクレジット残高は5兆4,000億レアル (2023年7月27日付けヴァロール紙)

2023年6月のブラジル銀行システムのクレジット残高は、前月比0,8%増加の5兆4,010億レアルを記録、6月の過去12カ月間の累計クレジット残高は前年同期比8,9%と大幅な増加を記録している。

6月の融資先が自由に選択できる自由クレジットは、マイナス0,2%に相当する3兆1,890億レアル、大型プロジェクト向けクレジットで融資先が限定されている限定クレジット残高は、0,5%増加の2兆2,110億レアルを記録している。

6月の個人向けクレジット残高はマイナス0. 4%の3兆2,890億レアル、法人向けクレジット残高は1,0%増加の2兆1,120億レアルとなっている。

ブラジル中央銀行では、今年のブラジル国内のクレジット部門伸び率は前年比7,7%増加を予想、そのうち自由クレジット伸び率は6,3%増加、個人向けクレジットは9,9%増加、法人向けクレジットは4,4%増加を予想している。

今年6月の新規クレジットは前月比0,8%増加、そのうち個人向けクレジットは0,4%増加、法人向け新規クレジット伸び率は3,0%増加、新規自由クレジットは1,5%増加、限定クレジットは1,7%増加を記録している。

 

ルーラ政権末までの新経済成長加速プログラム(PAC)による投資総額は2400億レアルに達する可能性 (2023年7月25日付けヴァロール紙)

2007年に左派政権の労働者党のルーラ大統領は、国内経済を牽引するために経済成長加速プログラム(PAC-1)発表、ジウマ・ロウセフ政権では引き継ぐために経済成長加速プログラム(PAC-2)発表していた経緯があった。

2023年~2026年まで政権を担当するルーラ大統領政権は、8月11日に新経済成長加速プログラム(PAC-3)の詳細なプロジェクトや投資の詳細について発表すると今月25日にルイ・コスタ官房長官はアナウンスしている。

PT政権がプログラムの実施日の変更を発表するのはこれで5回目となり、プラナルト宮殿は当初、4月までに「新PAC」を発足させると説明していた。この予想は後に5月、さらに6月に変更された。最終的には7月に予定されていたが、実現しなかった。

ルーラ政権の4年間で過去のPT政権時並みのブラジルの国内総生産を加速化するために、新経済成長加速プログラム(PAC-3)を導入するが、年間平均600億レアルの投資が予定されており、政権末までに総額2,400億レアルの投資が見込まれている。

この新経済成長加速プログラム(PAC-3)には、サンパウロ州南海岸地帯のサントス市とグアルジャ―市を結ぶ海底トンネルの建設が含まれているが、民営化官民パートナーシッププロジェクト(PPP)での実施が見込まれている。

コスタ官房長官は、下院議会での勢力取組にセントロン(Centrão:中道多数派)との政治工作が不可欠ではあるが、アツール・リラ下院議長との交渉は慎重に期すようにルーラ大統領に要請している。


 

今年6 月のブラジルの経常収支は8億4,300万ドルの赤字計上 (2023年7月26日付けヴァロール紙)

2023年6 月のブラジルの経常収支は8憶4,300万ドルの赤字計上したが、前年同月のブラジルの経常収支は、2億6,600万ドルの黒字収支から一転して大幅な赤字を計上している。

今年6 月の過去12か月間のブラジルの累積経常収支は、GDP比2,50%に相当する499億6,700万ドルの赤字を計上している。

ブラジル中央銀行の四半期インフレレポート (RTI)では、2023年のブラジルの経常収支は450億ドルの赤字を見込んでいる。

今年6 月の海外投資家による対内直接投資(IDP)金額は、18億8,000万ドルと昨年同月の52億2,800万ドルの3分の1まで縮小している。

今年6 月の過去12か月間の海外投資家による対内直接投資(IDP)金額は、GDP比4,01%に相当する800億2,000万ドルと前年同期比のGDP比3,50%を上回っており、また6 月の過去12か月間のブラジルの累積経常収支はGDP比2,50%をカバーするには十分な対内直接投資残高を記録している。ブラジル中央銀行では今年の対内直接投資(IDP)総額は750億ドルを見込んでいる。

今年6 月の海外投資家によるブラジル国内の金融投資は、58億3,700万ドルの買い越しを記録しているが、昨年同月は3億ドルの売り越しで赤字を計上していた。

また今年6 月の海外投資家によるブラジル国債への投資は58億7,400万ドルを記録している。またサンパウロ証券取引所B3及びニューヨーク証券取引所でのブラジル関連の株式投資は3億3,700万ドルの買い越しを記録している。

今年6 月の開始系企業による本国への利益・配当金送金は38億4,100万ドルに達し、昨年同月の23億ドル400万ドルを大幅に上回っている。ブラジル中央銀行では今年の利益・配当金送金総額は380億ドルを予想している。

Nubank の顧客総数は8,500万人に達し、ブラジル銀行を追い越して4位に浮上(2023年7月26日付けヴァロール紙)

世界最大のデジタル銀行と称されるブラジル資本の「Nubank(ヌーバンク)」のブラジル国内の顧客総数は8,000万人をすでに超えており、メキシコやコロンビアを含むラテンアメリカの顧客総数は8,500万人に達している。

ブラジル中央銀行の発表の今年月末の統計によると、連邦貯蓄金庫の顧客総数は1億5,040万人、 ブラデスコ銀行1億450万人、イタウー銀行は9,990万人、Nubankは 7,770万人で4位に浮上、ブラジル銀行7,460万人、サンタンデール銀行は6,440万人の顧客総数で6位となっている。

Nubankの顧客ベースの継続的な成長で、デジタル ビジネス モデルの効率性と可能性が強化され続けており、さまざまな製品提供で市場シェアを拡大​​できる大きな可能性があり、マーケットシェア拡大のための投資成を継続するとNubank の創設者兼 CEO の David Vélez 氏は説明している。

ブラジルの成人人口のほぼ半数がすでに Nubank の顧客であり、このシナリオで当社の基盤を拡大し続けることは、当社の製品とサービスの品質を裏付けるものとDavid Vélez 氏は説明している。

メキシコでのNubank事業開始発売からわずか 1 か月後に 100 万人以上の顧客を獲得。Nubankのコロンビア向けの2023年のロードマップにはデジタルアカウントの開設も含まれており、現時点ではクレジットカードのみを提供している。

 

第1回女性ビジネスグループ会合開催

ブラジル日本商工会議所の女性ビジネスグループの第1回会合は、2023年7月26日午前に商工会議所大会議室に50人以上の女性が参加して開催、このグループは商工会議所に関連する企業で働く女性間の交流促進を趣旨としている。

バンコ・シティバンクのグローバル子会社グループ、GSG日本デスクの責任者カレン・ピント氏がコーディネートし、50名以上の参加者を集めたこの会議には、日伯交流・地場企業推進委員会のマルコス・ハニウ副委員長も出席した。

写真左からKaren Pinto e Marcos Haniu

6 月の国庫庁の歳入総額は1,804億7,500万レアル (2023年7月25日付けヴァロール紙)

2023年6 月のブラジル国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比マイナス 3,37%に相当する1,804億7,500万レアルに留まっている。

6 月のブラジル国庫庁の実質歳入総額1,804億7,500万レアルは、前年同月比マイナス 3,37%を記録したにも拘らず、統計を取り始めた1995年以降では昨年上半期に次ぐ歳入総額を記録している。今年上半期の累積歳入総額は、前年同期比 0,31%微増の 1兆1,430億レアルを記録している。

6 月のブラジル国庫庁の一般歳入総額は、マイナス2,70%の1749億5,600万レアル、今年上半期の累計一般歳入総額は1,58%増加の1兆890億レアルに留まっている。

6 月のブラジル国庫庁の石油などのロイヤリティ収入などの臨時歳入総額はマイナス 20,60%の55億1,900万レアルに留まっている。また今年上半期の累計臨時歳入総額は、マイナス19,87%の541億2,000万レアルと大幅に減少している。

6月のブラジル国庫庁の一般歳入総額がマイナス2,70%の1749億5,600万レアルに留まった要因として、燃料部門向け税率引き下げによる30億レアルの歳入減少及び工業製品税IPIの税率引き下げによる19憶レアルの歳入減少が挙げられる一方で、燃料を含む輸入税の引き上げによる14億レアルの増収が記録されている。

6月のブラジル国庫庁の一般歳入のうち法人所得税(IRPJ)と純利益に対する社会分担金(CSLL)による歳入はマイナス30,60%の 245億3,500万レアル、燃料に対する特定財源負担金(CIDE)はマイナス98,63%の30億レアルに留まっている。

6月のブラジル国庫庁の一般歳入のうち個人所得税(IRPF)はマイナス3,77%.の62億8,800万レアル、源泉所得税 (IRRF)は10,79%増加の173億8,000万レアル、社会統合基金/公務員財形計画(PIS/PASEP)及び社会保障賦課金(Cofins)は0,62%増加の355億4,300万レアルを記録している。

 

フォーカスレポートは今年のインフレを4,90% 、来年は3,90% 、再来年は3,50% 予想(2023年7月25日付けヴァロール紙)

中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の4,95%から4,90%に下方修正している。

また2024年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の3,92%から3,90%、2025年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の3,55%から3,50%.にそれぞれ下方修正している。

今年末の政策誘導金利Selicは前回同様12%に据置、また2024年末のSelic金利は9,50%、2025年末のSelic金利は9,00%それぞれ据え置かれている。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

今年のGDP伸び率は前回同様2,24%に据置かれたが、2024年のGDP伸び率は1,30%.に据置、2025年のGDP伸び率は1,88% から1,90%.に上方修正している。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回予想のR$ 5,00からR$ 4,97に上方修正、2024年末はR$ 5,05に据置かれたが、2025年末はR$ 5,15からR$ 5,12に上方修正されている。

過去1年間及び今後1年間のインフレ指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のSelic金利の指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のGDP伸び率指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のドルの為替推移及び予想

今年上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4390万トン (2023年7月25日付けヴァロール紙)

今年6月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス0,1%の1億5,880万トン、上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4,390万トンであったと世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表している。

世界最大の粗鋼生産で主要消費国である今年6月の中国は0.4%増加の9,110万トンとなった。今期の累積量は5億3,560万トンで、同期比1.3%増加している。

今年6月の世界の粗鋼生産の57,4%は中国の生産で世界の過半数を占めており、上半期の累積粗鋼生産は56,7%と世界の過半数を占めている。

中国の鉄鋼市場は、鉄鋼の主要消費者である不動産セクターを中心とした国内経済の不確実性によって打撃を受けており、習近平国家主席による景気刺激策導入が期待されている。

今年6月の世界の粗鋼生産では、インドの粗鋼生産は12,9%増加の1,120万トンを記録している。徐々に粗鋼生産が上昇してきているイランの今年上半期の粗鋼生産は1,610万トンで世界8位とブラジル及びトルコを追い越している。6月の粗鋼生産は320万トンであった。

今年6月の世界の粗鋼生産でマイナスを記録したのはドイツの粗鋼生産はマイナス8,4% の290万トン、世界3位の日本はマイナス1,7%の730万トン、ブラジルはマイナス(12,5%の260万トン、トルコはマイナス1,5%の290万トンを記録している。

トルコの粗鋼生産は今年2月に発生した大地震の影響を受けており、今年上半期の累計粗鋼生産はマイナス16,3%と大幅な減少に留まっている。

6月の一般消費者の信頼感指数(ICC) は、前月比4,1ポイント増加の92,3ポイント(2023年7月25日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・バルガス財団(FGV)の消費者動向調査によると、2023年6月の一般消費者の信頼感指数(ICC) は、前月比4,1ポイント増加の92,3ポイントに上昇、2019年2月に記録した94,5ポイント以降では最高の信頼感指数(ICC)を記録している。

6月の消費者信頼感指数の回復は、調査対象のすべての所得階層に波及したことに加え、現状認識の改善と今後数カ月間の期待の両方によってもたらされている。

今後数カ月間の耐久財の消費意向を示す指標が同月の結果の主な要因となっており、インフレの緩和と将来の金利低下期待を踏まえると支出意向の悲観が後退していることを示唆している。

一部の消費者信頼感指数はここ数カ月良好の結果を達成しているにもかかわらず、消費者信頼感の持続的な改善を確認するにはまだ時期尚早であり、その主な理由は、大きな一般家庭の負債が消費者の消費傾向に影を落としており、一般世帯の経済状況が依然として非常に満足のいくレベルにないためとジェツリオ・バルガス財団(FGV)エコノミストのAnna Carolina Gouveia氏は指摘している。

消費期待指数(IE)は、2か月連続で3.6ポイント上昇して104.0ポイントに改善し、現状指数(ISA)は4.4ポイント上昇して75.7ポイントとなり、新型コロナウイルス感染症パンデミックが始まった2020年3月に記録した76.1ポイント以来の最高水準に達している。

一般消費者の信頼感指数(ICC)を構成する項目のうち耐久財の購入意向を示す指標は、指数の改善に最も影響を及ぼし、11.7ポイント上昇の91.6ポイントとなり、2014年10月に記録した92.5ポイント以来遠ざかっていた90ポイントの水準に達している。

現状の経済状況に対する信頼感指数は、2,3ポイント上昇の118,4ポイントを記録、消費者の先行き信頼感指数IE-Cはマイナス4,0ポイントの101,3ポイントに減少している。

連邦政府は製造業部門活性化で設備投資向け優遇税制検討(2023年7月24日付けヴァロール紙)

ブラジル国内の製造業部門活性化のために、設備の近代化や最新鋭装置や機械の導入活性化に向けた政策の導入を検討しているとフェルナンド・ハダジ財務相は発表している。

製造業部門の設備の近代化や最新鋭装置や機械の導入活性化に向けた政策導入の予算として30億レアル~150億レアルが見込まれているが、政策導入は2024年からが予定されている。

連邦政府では、ブラジル国内の製造業部門の機械・装置の使用年数が減価償却期間を大幅に上回っており、早急な機械・装置の入れ替えや最新鋭機械・装置の導入を行う必要があるとジェラウド・アウキミン副大統領は指摘している。

新たな工業政策プログラムは「新産業化」計画を補完するもので、生産性を向上させ、より多くの経済成長、より多くの雇用と国民の収入を生み出すための措置を講じて、地元産業を国際舞台で再位置づけすることも目的とアウキミン副大統領は指摘している。

ハダジ財務相は、この工業政策導入に伴う税制恩典は、財政に影響を及ぼすものではないと説明、ブラジルの製造業部門の活性化には不可欠な工業政策になると説明している。