ITの進化にともなって新たなサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社会そのもの変革につなげる施策のデジタルトランスフォーメーション(DX)によるデジタル化の進展に伴って、各銀行の実店舗の閉鎖が加速化してきている。
銀行業務のデジタル化に伴って、2022年のブラジル国内の銀行支店数は1万7,216店舗数まで縮小、2010年の1万6,980店舗以降では最低の店舗数まで減少している。
2020年2月のCOVID-19パンデミックによる外出自粛や必需品以外の営業自粛政策導入で、銀行業務のデジタル化が加速に反比例するように、銀行支店の窓口業務の減少に繋がってきている一方で、銀行支店に必要な現金、セキュリティ、およびバックアップ業務は行わないが、対面で顧客にサービスを提供する銀行支店ユニットは増加してきている。
新しい競合他社の出現もデジタル化に貢献しており、銀行の物理的な存在とは対照的に、2022 年にブラジル市場では銀行市場の参入企業数がは前年比11% 増加、特にはクレジット フィンテックと決済機関に集中。 昨年は71の金融機関が設立され、今では710 金融機関に増加している。
ブラジル国内銀行の実店舗での対面サービス縮小は2018年から開始。それ以来、3,973の銀行支店が閉鎖に追いこ魔れた一方で、金融システム機関数は 29.6% 増加している。
2022年のクレジットフィンテックである直接および個人間ローン会社(SCDおよびSEP)は、前年比47.3%に相当する35社増加の109社迄した一方で、決済機関は前年比2倍に相当する74機関と急増している。
Getulio Vargas Foundation (FGV)大学のClaudia Yoshinaga 財務担当教授は、特に即時決済システム Pix による、最貧層の金融デジタル化がある程度進んでいると指摘。 Covid-19パンデミックは、金融システムのデジタル化プロセスを大幅に加速させた。 外出自粛政策導入で社会的孤立が高まり、高齢者などのグループを含め、多くの人々が仮想サービスへの参加を余儀なくされたと説明している。
連邦貯蓄金庫の昨年末の実店舗の支店数は、3,372支店と2021年末の3,403店舗よりも31店舗の閉鎖に追いこなれている。また昨年末のブラジル銀行の支店数は、3,983店舗と2021年末の3,979店舗と逆に4店舗の増加を記録している。
2022年末の銀行支店に加えて、国内にはサービス ポイント (PA) が 11,593店舗存在する 。 2018 年は 10,914 店舗で、4年間で6.2%に相当する 679 サービスポイントが増加。 PA はより単純な構造で、支店に従属するものであるが、外国為替、財務業務、適格顧客向けの投資ファンドなどのサービスはなく、大半は一般に公開されおらず、企業、官公庁、大学などにサービスを提供することを目的としている。
昨年末のイタウー銀行は3,530支店と657PAを擁していたが、5年前は3,530支店、703PAからそれぞれ減少。ブラデスコ銀行は2,864支店及び3,524PA であったが、5年前は4,617支店、3,824PA 、サンタンデール銀行は1,701支店、1,266PA、5年前は2,283支店、1,267PAを擁していた。

上段は2009年~2022年までの銀行支店数の増減。下段は金融機関数の増減