グローバル・タックス

セルソ・ミンギ*

過去に例を見ない合意を通じて6月5日に先進7か国首脳会議(G7)で、フェイスブックとアマゾン、グーグル、アップルのような多国籍企業の巨人に対するグローバル・タックスを設立することが決定した。

この提案には、最も重要なポイントが2つある。こうした大企業の利益に対して15%を最低税率とする所得税を導入すること。そして、各国が、自国内でこれらの企業が財とサービスを販売して得た利益分に対して、法人の本社が国外にあったとしてもその税金を課徴可能とすることだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック時期に失われた税収を補填するためだとか、あるいは、そうでなければ税負担のより公平な分配を保証するためだと一部の人は言うわけだが、そうした意見は内実を伴わないレトリックだ。この税金の承認プロセスが完了するのは、つまり最終的な確定に至るには各国の議会での可決が必要になるはずで、3年とはかからないだろうが、それまでにはパンデミックは終息しているだろう。100社強の企業の利益にわずか15%の税率で課税したところで、税負担の公平性の改善というものに大きな違いは生まれないだろう。早速行われた計算では、この追加の税金で欧州連合(EU)には580億ドル相当、アメリカには490億ドル相当の税収が発生するという(表を参照のこと)。単なる比較として例を挙げると、ジョー・バイデン大統領が立ち上げたインフラ及びクリーン・エネルギー分野への投資の新パッケージは、2兆3,000億ドルである。

今回の合意は、課税を統一する初めての試みであり、世界的に課税を調整する必要性が高まっていることを示している。それはまた、タックスヘイブンの影響力を取り除くために初めて真摯に共同で推進される取り組みだ。そして同様に、これまで課税の網をすり抜けていたデジタル取引を組み入れる第1歩でもある。

合意は、より広範囲なグループを形成する新興国、20か国・地域首脳会合(G20)の加盟国殻も賛同を求めていく。この方面での交渉は、7月にベニスで初会合が予定されている。この提案に反対がないとは誰も考えていない。むしろ反発があり、それも、強いものになるだろう。ただ、少なくとも今回の合意は、経済的に豊かな国が将来的に他国の鍋にスプーンを差し入れる先例になると解釈されるはずだ。

何はさておき、疑問は解消しておくべきだ。今のところ、どれほどの数のどのような企業がこの課税の対象になるのか、さらに今後、どのように他の多国籍企業にこの税金が課徴されるようになるのか、不明なままである。こうしたポイントの策定は、未確定の規定がこれから決められるという意味だ。第2に、企業に対してだけでなく国に対しても、違反をどのように扱う(処罰する)のかという点だ。

グローバル・タックスを導入する大きな理由のひとつが、税制戦争を抑止すること、言い換えると、特定の国に投資する傾向のある企業に恩恵を与える減税を阻止することである。こうした減税は、12.5%の法人所得税率を設定してビッグテックと小企業を呼び込んできたアイルランドの政策の柱である。発展途上国も同様に、今回の判断に満足しているようには思えない。これらの国々は、最低税率という体制が開発にインセンティブを与える政策に対して扉を閉ざすこととなり、これらの国々が世界経済の中で取り残されることにつながりかねないと主張している。

途上国のアナリストらは今回の取り組みについて、先進国がライオンの役回りをして肉にかみつき、貧しい国にはしゃぶり終わった骨だけを与えるものだと批判している。中国は意見を表明していないが、それでも同国はこの取り組みが同国の成長を抑制するという目的も含まれていると理解しているはずであり、同国を納得させるのは難しいだろう。

もうひとつ、多国籍企業が事業を展開している多く国にとってこの15%の税金が、財政赤字を埋め合わせるような十分な税収増につながらないという主張もある。アメリカは、税率を21%に設定すべく取り組んだ。だが15%で妥協した理由は、より高い税率では引き続きタックスヘイブンに魅力を与え続けるだけだと理解したからだ。またG7の首脳らは、今回の合意が単に最低税率を定めただけでありこれを上回る課徴が禁じられたわけではないという点を明確に強調した。

一部の多国籍企業の経営者は、今回の決定を支持したようだ。だがそこでの印象は、とりわけフランスなどで合意以前に計画されていた水準よりもG7の合意が少ない出血で済んだことを歓迎しているだけのようでもある。

新興国、あるいはより重要な中国とロシア、インドのような国がこの提案を受け入れなかった場合、G7が次にどのような方向に足を踏み出すのかはわからない。大国が、一方的に遠慮なく税金を課徴できるようになるのだろうか?

*エスタード紙解説者(2021年6月13日付けエスタード紙)

回章 CIR-061/21 「SacaleUp in Brazil」

                                                                                  CIR-061/21
   会員各位
                                                                                   ブラジル日本商工会議所イノベーション・中小企業委員会

イスラエルの貿易投資促進機関であるIsrael Trade & Investment(サンパウロ事務所)より、6月23日開催の下記ウェビナーのご案内を頂きましたのでご紹介します。

イスラエルのスタートアップ企業が持つサービス・製品をブラジル市場に展開するため、ブラジルのApex-Brasil(ブラジル輸出投資振興局)とイスラエルのIsrael Trade & Investmentが支援する「SacaleUp in Brazil」というイベントです。

長期に渡るイスラエルのスタートアップ企業育成プログラムの最終段階における発表機会となっており、イスラエルのスタートアップ企業によるブラジル市場(取り上げられるテーマ(予定):Fintech, Edutech, 業務効率、Sustainability)の着眼点などをご参考にして頂ける機会となります。ご関心がございましたら、下記リンクよりお申込みください。

イベント名ː ScaleUp in Brazil Forum – Perspective of Israeli Companies
日程ː 2021年6月23日(水)午前10時~12時半(ブラジル時間)アジェンダは添付のとおり)
プログラム詳細URL: https://www.scaleupinbrazil.com/    
言語: 英語(ポルトガル語の同時通訳あり)
参加費ː 無料
形式ː ZOOM
お申し込み先: https://zoom.us/webinar/register/WN_8oQZH6otTfWA0uD-15-y3A

再選を見据えて、ボルソナロ大統領は公務員給与調整を示唆(2021年6月17日付けエスタード紙)

ボルソナロ大統領は、来年の大統領選挙での再選を見据えて、貧困層向けボルサファミリアプログラムの再調整、公共投資拡大並びに150億レアルの財政支出に繋がる5.0%の公務員給与の引上げの選択を余儀なくされている。

ジャイール・ボルソナロ大統領は、パウロ・ゲーデス経済相に対して、長年に亘って凍結している連邦公務員給与の5.0%調整を要請したが、来年度予算の150億レアルの支出に繋がる。

ボルソナロ大統領にとって、COVID-19パンデミック対策で後手に回って、低迷している支持率を上昇させる手段の一つとして、3年間以上凍結している連邦公務員の給与調整なしで、大統領選挙戦への突入は、是非避けなければならない切羽詰まった状態となっている。

今年12月末までの連邦公務員の給与凍結は、与野党間攻防の末に昨年の国会で承認されているが、2022年度の予算基本法では、連邦公務員の給与調整が既に承認されている。

大統領の支持率挙げるための要求は、財政支出に結びつく圧力となる複雑な方程式の様相を示しており、新しいボルサ・ファミリアプログラムの受益者に平均300レアルを支払うと発表した後、それはさらに困難になっている。

ロンドニア州のSICテレビのインタビューで、ボルソナーロ大統領は、平均190レアルの支給額を300レアルに引き上げるため、12月に支給額の50%増加のアイデアを示唆している。 

新しいボルサ・ファミリアプログラムで、頭を痛めている連邦政府の関係者にとっては、平均受給額を250レアルに引き上げるだけで510億レアルの財政支出に繋がる上に、ボルソナーロ大統領は受給対象者の拡大も示唆している。

今年の保険業界は二桁台増加予想(2021年6月17日付けエスタード紙)

今年初め4か月間の保険部門販売は、年間換算で二桁台の増加率を記録、更に5月の保険販売は、更に増加傾向を示しているとブラジル保険連合(CNseg)のMarcio Coriolano会長は指摘している。

COVID-19パンデミックによる死亡者が50万人に達するのを目前にして、一般ブラジル人は、死亡リスクの上昇に伴って生命保険加入を真剣に考慮し始めている。

COVID-19感染が引き金となった死亡率が全体の14.0%まで上昇してきた影響を受けて、今年初め4か月間の生命保険の加入は、前年同期比16.8%と大幅な増加を記録している。

今年4月の家族年金貯蓄プランVGBL販売は、前年同月比98.6%と約2倍の増加率を記録しており、COVID-19パンデミックは、ブラジル人の生命保険に対する姿勢に変化をきたしてきている。

 

今年のGDP伸び率上昇で、連邦政府の対内債務残高は予想を下回る可能性が濃厚(2021年6月16日付けエスタード紙)

COVID-19パンデミックの年初に、2021年のブラジルの対内債務残高は、GDP比100%に接近すると予想されていたが、金融市場関係者は、COVID-19ワクチン接種拡大や国内経済の回復に伴って、今年の対内債務残高は、GDP比80%前後に留まると楽観的な予想に上方修正している。

COVID-19パンデミック対応の連邦政府によるCOVID-19パンデミック対応の緊急給付金(auxílio emergencial)の再支給などによる歳出増加及び国内経済の低迷による企業の収益悪化による国庫庁の歳入減少に伴って、今年初めの金融市場関係者は、今年の連邦政府の債務残高は、GDP比100%に達すると予想されていた経緯があった。

2020年のブラジルのGDP伸び率は、当初予想のマイナス9.1%から中国を筆頭に、世界経済は予想を下回る景気後退に留まったために、中国向け国際コモディティ商品輸出の増加や過去最低並みの金利などの要因で、マイナス4.1%と予想を大幅に上回る経済後退に留まった。

国際通貨基金(IMF)では、2020年のブラジルの負債残高は、GDP比102.3%と予想していたがにも拘らず、GDP比89.3%に留まったが、2019年の負債残高を15ポイント上回っている。

イタウー銀行は、今年のブラジルの対内債務残高を前回予想のGDP比84.1%から81.9%に下方修正、2022年もGDP比84.5%から81.6%に下方修正、ブラデスコ銀行では、今年のブラジルの対内債務残高を前回予想のGDP比89.7%から84.6%と5ポイント以上も下方修正、ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)では、86.1%から84.0%にか阿呆修正している。

今年第1四半期のブラジルのGDP伸び率は、予想を上回る前四半期比1.2%増加、予想を上回る国庫庁の歳入増加で、負債残高の減少に結びつく結果となっている。

法人並びに個人による税収、ロイヤリティ収入、連邦公社の利益・配当金、公共入札による臨時歳入などの今年の歳入総額は、当初予想よりも700億レアルに相当する4.2%増加の1兆7,590億レアルに達すると予想されている。

またブラデスコ銀行チーフエコノミストのFernando Honorato氏は、今年初め4か月間の正規雇用は、95万7,900人増加による経済回復による税収増加に寄与していると指摘している。

またCOVID-19パンデミック対応の緊急給付金(auxílio emergencial)の3か月延長は、110億レアルの臨時歳出に相当するが、債務残高には、ほとんど影響しないとIbre/FGVエコノミストのMatheus Rosa Ribeiro氏は指摘している。

今年のGDP伸び率が2.5%増加、政策誘導金利が6.0%前後に留まれば、今後数年間の対内債務残高は、持続的成長可能な範囲に留まるとコンサルタント会社LCA社エコノミストのBraulio Borges氏は指摘している。

イタウー銀行はESG向けクレジット枠を4,000億レアルに設定(2021年6月16日付けエスタード紙)

ブラジルの商業銀行は、今後のクレジット向け与信評価で、投資家をはじめとするステークホルダーの企業評価で財務情報に加え、持続可能性の観点も重視する動きでてきている。

また、気候変動や人権問題といったグローバル課題が深刻化するなか、各企業は事業によって課題解決に取り組み、環境・社会と企業、双方の持続可能性を高めていくことが求められている現状で、銀行のクレジットに対する姿勢に大きな変化が表れてきている。

イタウー銀行は、2年前にESGに対する取り組みを発表、今回は2025年までに総額4000億レアルのESG関連の特別クレジット枠を設けている。クレジット選定の企業の持続可能性を測るものさしとしてEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を取った「ESG」情報内容を審査対象する。

ブラジル銀行連盟(Febraban)のESG分類基準に加えて、国際的に使用される分類を統合し、ブラジル国内のESGに関する基準を他の国よりも厳しく採点しているとイタウー銀行法務・企業関係を担当する執行委員会のLeila Melo事務局長は説明している。 

イタウー銀行では、再生可能エネルギー分野、保健衛生、教育、インフラ、紙・パルプ部門並びにアグロビジネス部門へのEGS関連クレジットを優先するが、ESG格付けランクで60%若しくは40%のクレジットが供与される。

ESG(環境・社会・企業統治)投資では、再生可能エネルギー活用や二酸化​炭素(CO2)排出削減が企業の評価軸となっているが、石炭や煙草関連投資はランク外となっている。

多国籍企業に対する法人税の最低税率が導入されればブラジルは年間56億レアルの税収増に

ビッグテックを含む大企業に対する課税に関するG7の合意で、ブラジルの税収が拡大する可能性がある。

長年にわたって足踏みしてきたものの、多国籍企業に対して15%を最低税率とする法人税を課税することで先進7か国首脳会議(G7)が歴史的な合意に達したことで、国家間で争われている税制戦争のシナリオの変化が促されるだけでなく、ブラジルにとっては、9億ユーロ(55億8,000万レアル)の税収増を保証する見込みだ。この数字は、パリ経済学校内に本部を置く税務分野の独立研究機関、欧州連合(EU)税務観測所の研究者によってされたシミュレーションを基に算出され、発表された。

この研究では世界的な税金の導入に関して様々なシナリオを想定した。シミュレーションに基づくとアメリカは、さらに407億ユーロ、EUには483億ユーロの歳入増につながる。仮に税率が15%から25%に引き上げられれば、EUでは1,680億ユーロの税収増、アメリカは1,660億ユーロの税収増となる。他方、ブラジルも税収が74億ユーロ(約560億レアル)発生する。ブラジル政府は今のところ、G7(ドイツとカナダ、アメリカ、フランス、イタリア、日本、イギリス)の首脳が6月13日に署名した合意に関する公式の意思表明をしていない。

ブラジルは、この合意に関して協議する次回の20か国・地域首脳会合(G20)で、公認の立場を表明する見込みだ。

先週、連邦収税局の代表者は、企業利益をタックスヘイブンに移転することで発生する各国の「課税ベースの侵食」と呼ばれる問題や、いわゆるデジタル経済と呼ばれるものへの課税に対する解決策を模索している経済協力開発機構(OECD)の実務者協議に参加した。

この浸食は、大規模な多国籍企業が「利益」を低い税率の国に移転することで発生する。そのオペレーションは、単なる経理に過ぎない。こうした企業の手続きは、生産能力を高めることなく、税率が非常に低い税率で課税されるように利益を人為的に動かし、机上で行われる。実際面では、多国籍企業はタックスヘイブンに子会社を設立し、課税ベースの利益を全てそこで計上するように一連の会計行為を実施する。

ドナルド・トランプ大統領が政権担当時のアメリカは、この議論で対策に反対する態度をとってきた。だがジョー・バイデン大統領の登場で、アメリカは合意の導入を模索する協調的な立ち位置を取り始めた。

協定は2本の柱で構成されている。最初の柱は、アメリカが強い関心を持っているもので、多国籍企業に対する法人税率を少なくとも15%と定めること。2本目の柱は、欧州各国が関心をもっているもので、いわゆるデジタル経済と、テクノロジー分野の巨大企業(グーグルとアマゾン、フェイスブック、アップル)の無形サービス、例えばパーソナル・データ処理アルゴリズムやその他のデジタルサービスにどう課税するのかだ。

経済省応用経済研究院(Ipea)のエコノミスト、ロドリゴ・オライール氏は、「こうした特徴は利益をある所から別のところへ、その際に税金を一切支払うことなく移転するのを容易にする」と説明する。

「ビッグテック」が本社を置くアメリカは、これらの企業が利益を計上した利益について、サービスの発生地だけでなく目的地(サービスが提供された場所)でこれらの企業の利益の一部に課税することに合意した。これは欧州諸国の要求で、一部の国はG20で合意されるまで暫定的に課税している。なお、インドはこの考えに抵抗している国のひとつである。

対立構造の鎮静化

オライール氏は、今回の合意が国家間のは対立に歯止めをかける希望につながると受け止める。この国際情勢は、市役所が市税のサービス税(ISS)を舞台に大企業を誘致しようと競い合う状況と酷似している。ただ同氏は、「支払うべき税金を算出する課税ベースをより大きく控除するメカニズムが採用されることが有り得るため、より低い税率が税制戦争の終了を意味するわけではない」と話す。こうした対策は、様々な自治体で行われている。

それでも同氏は、今回の合意によりアメリカがG7に加盟するEUの4か国と理解を深めたことを意味しており、G20での合意に向けてより強力に推進されることになると受け止めている。

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)の税務観測所のマノエル・ピーレス主任は、「G7のリーダーシップが反対派の勢いを削ぐ」と話す。同主任によると、合意前には各国が個別に解決を試みるよう圧力が掛かっていたが、これには常に報復の懸念があった。

今回の変化についてピーレス主任は、さらなる発展が可能なことを示唆していると受け止めている。多国籍企業に対して15%の最低税率でグローバル・タックスが課税されると同氏は説明した。例えばこの税金が導入された場合、ブラジルは自国に進出している多国籍企業への課税が可能になる。

国内の税率は、引き続き国内向けに設定される。「多国籍企業の場合、仮に当該企業が(タックスヘイブンなど)利益を計上した国で低い税率で課税されていた場合、発生国は、最低税率との差を課徴できる」とピーレス氏は言う。言い換えると、仮にブラジルの多国籍企業がタックスヘイブンで2%が課税されている場合、ブラジルは15%に達するまで、その差額を課徴できる。

ただし同主任によると、ブラジルのように法人所得税(IRPJ)の税率が高い(34%)国の場合、多国籍企業は今後もこの種のオペレーションを継続するインセンティブを持ち続けるだろうという。

テクノロジー分野で大企業が展開するデジタルサービスの場合、ブラジルはサービスの輸入と支払いの送金に課税するため、その影響の分析を慎重に行うべきだとオライール氏は言う。こうした事情からこれらの企業の大部分が、ブラジル国内に支社を設立している。より大きな効果を得るには、浸食につながる別の抜け穴を埋める必要があると同氏は受け止めている。またブラジルが仮にグローバル・タックスの導入を希望する場合、国内の所得税法を改正する必要がある。なお今回の国際的な合意の前進は、まさに国会が税制改革の一部を可決しようと取り組んでいるタイミングと重なった。(2021年6月14日付けエスタード紙)

(ZOOM)環境委員会主催「第2回SDGsオンラインセミナー 」開催

JICA・環境委員会(秋山雄一委員長)共催による「第2回SDGsオンラインセミナー 」は、2021年6月17日午前9時から10時30分まで100人以上が参加して開催した。

司会は環境委員会の岡田副委員長が務め、初めにセミナー開催挨拶でJICAブラジル事務所の江口雅之所長は、2月に続いて気候変動に対する具体的な緩和対策やESGの取組、森林保全などのセミナー開催を説明した。

JICAブラジル事務所の木村ノブユキ氏は、テーマ「ブラジルにおける気候変動・環境保全分野の取組み」 について、世界の森林の3分の1を占める地球の肺のアマゾン地域のポテンシャルや重要性。熱帯雨林保全計画の推移、ALOS衛星画像の利用プロジェクト内容の紹介、成果,問題点、新規問題点、今後のアマゾン熱帯雨林保全プログラムを紹介した。

KPMGの天野氏は、テーマ「ブラジル政府によるESGの動向」について、ブラジル政府のESGへの取組・アップデートでは、気候リーダーズサミットのボルソナロ大統領のコミットメント、ESG Enablersでは、MOSS EARTH社並びにIncentiv.me社の事例紹介。ブラジル企業による森林保護への取組として、Wickbold社、Votorantim社、Natura社、Cargill社並びにBracell社の事例を紹介した。

質疑応答では、ブラジルにおけるカーボンクレジット市場の現状、環境保護団体のブラジル企業への動き、ブラジルの環境規制の裁判事例などが挙げられた。閉会の辞では秋山委員長は、今回のセミナーには、日本を含めて100人以上が参加して環境保全に対する関心度の高さの表れであり、環境委員会としては、会員企業の活動やビジネスチャンスに役立つセミナーを今後も四半期ごとに開催予定であり、委員会活性化に向けて多岐に亘る意見を要請した。

「ブラジル政府によるESGの動向」KPMG

 

事務局便り JD-087/21 文協 「国際日系デー」 オンラインイベントのご案内

                                                                         JD-087/21
                                                                         2021年6月16日
会員企業各位
                                                                         ブラジル日本商工会議所
                                                                         事務局

                    文協 「国際日系デー」 オンラインイベントのご案内

ブラジル日本文化福祉協会(文協)より「国際日系デー」式典のご案内をいただきましたのでお知らせ申し上げます。

昨年同様、今年もオンライン式典を6月19日午後8時に開催、YouTubeチャンネルを通じて無料のライブ配信が行われます。

ライブでは特にこのパンデミックの中の日系ブラジル人の価値について話が行われる、それだけではなく最新情報についても配信されるなど様々なアトラクションが行われ、様々な分野で活躍するブラジル日系人が参加いたします。
 
日時:          ブラジル-2021年6月19日(土) 午後8時(ブラジリア時間)
リンク:        無料アクセス
YOUTUBE: youtube.com/bunkyodigital

詳しくはこちら: www.bunkyo.org.br
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INSTAGRAM: www.instagram.com/bunkyodigital

在ブラジル日本国大使館や在サンパウロ日本国総領事館や当会議所もこのプロジェクトを後援しております。皆様奮ってご参加ください。

 

価格高騰にも関わらず、鉄鋼製品販売は中国並みの急増(2021年6月15日付けエスタード紙)

機械・装置、建設業、家電並びにトラック向け鉄鋼製品需要が牽引して、2021年初め4か月間のブラジル国内の鉄鋼製品販売は、2013年同期のピーク時を上回る勢いで上昇しているにも拘らず、大型消費企業は現状の販売リズム維持は難しいと予想している。

鉄鋼業界では、鉄鋼製品販売量と国内総生産は相関関係にあると言われており、通常その年の鉄鋼製品販売量はGDP伸び率に比例すると言われているが、今年のGDP伸び率予想は5.0%前後に対して、鉄鋼製品販売は、GDP伸び率の2倍以上に達する可能性が見込まれている。

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の最新調査によると、2021年のブラジルの粗鋼生産は、前年比11.3%増加でGDP伸び率の2倍以上が予想されている。現在の鉄鋼メーカーの設備稼働率は、75.0%とCOVID-19パンデミック前の63.0%を大幅に上回っている。

現在の鉄鋼製品販売は、機械・装置部門、建設業、電気・電子並びにトラック生産が牽引する四輪部門の需要拡大で、今年初め4か月間の鉄鋼製品販売は、ピークを記録した790万トンと2013年同期を上回っている。

今年初め4か月間の鉄鋼製品販売は、昨年同期を3.5%上回っており、各種の鉄鋼製品販売で記録を更新しており、また誰も信じないが、パウロ・ゲーデス経済相が強調していたV字型回復になっているとMarco Polo de Mello Lopes会長は指摘している。

中国のいち早い経済回復、欧米諸国のCOVID-19対応ワクチン接種拡大に伴う経済活動の活性化に伴って、鉄鉱石や石油などの国際コモディティ商品が高騰で、ブラジルの鉄鋼製品輸出減少並びに鉄鋼製品の輸入減少は発生している。

白物家電、電気電子製品並びに自動車生産向けの1トン当たりの圧延鋼板価格は、過去12か月間で172.4%高騰、建設業向け棒鋼価格は153.3%高騰している。

中国製の鉄鋼製品輸入は5か月間を要するが、COVID-19パンデミック開始からすでに価格は240%、輸入関税は12%を払ってもブラジル国内の鉄鋼製品価格よりも安いとブラジル機械装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso Dias Cardoso会長は指摘している。

今年初め4か月間のブラジル国内の粗鋼販売は、前年同期比40.5%増加の789万トン、粗鋼生産は、前年同期比15.9%増加の1,178万1,000トン、粗鋼製品輸入は9.3%増加の114万5,000トン、粗鋼製品輸出は、マイナス13.9%の352万4,000トンを記録している。