ペトロブラスは海外で32億5,000万ドルのキャッシュフロー調達(2020年5月28日付けヴァロール紙)

新型コロナウイルスのパンデミック危機で先行き不透明のシナリオにも拘らず、ペトロブラス石油公社は、海外市場での社債発行で32億5,000万ドルのキャッシュフロー調達に成功した。海外投資家のペトロブラスの社債購入の需要総額は、社債発行総額の5倍に相当する160億ドルに達していた。

ペトロブラスの社債発行の幹事会社は、Petrobras Global Finance社をリーダーに2種類の社債を販売、償還期間が10年で利回り(yield)が5.60%の社債を15億ドル、もう一つは償還期間が30年で利回りが6.90%の社債を17億5,000万ドル発行している。

同社の社債発行の主幹事会社は、償還期間が10年で利回り6.0%で当初設定していたが、利回りは0.40%引き下げて5.60%に変更していた。また償還期間が30年で利回りが7.30%で初期設定していたが、利回りを0.40%引き下げて6.90%に変更した。

「新型コロナウイルス発生後で、ブラジル企業では海外での社債発行による資金調達は初めてとなったペトロブラスは海外投資家の間では知名度が高く支持を得ていたために成功した」とBNP Paribas社ラテンアメリカ担当のAndré Silva取締役は説明している。BNP Paribas社はBank of America社、Itaú BBA社、 J.P. Morgan社, Scotia Capital社並びにSMBC Nikko社と共同で、ペトロブラスの社債発行を担当した。

新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響を受けているにも関わらず、今回のペトロブラスの海外での社債発行による資金調達の成功は、ブラジル資本の他の大企業の礎になるとAndré Silva取締役は説明している。

ブラジル国内では償還期間が短期の社債発行による資金調達需要はあるが、10年から30年の長期社債発行の需要はない。海外でのブラジルの10社や20社単位の大企業向け長期社債発行の需要はないが、数社であればキャッシュフロー調達は、可能とItaú BBA社投資担当のFelipe Wilberg取締役は指摘している。

新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、海外での資金調達は閉鎖されていたが、石油の国際コモディティ価格の回復並びに米連邦準備理事会(FRB)による新型コロナウイルスへの対応として無制限の量的緩和(QE)のタイミングで、ペトロブラスは海外市場での資金調達を行った。

今年4月のクレジット金利は減少にも拘らず、延滞率は上昇(2020年5月28日付けヴァロール紙)

中銀の発表によると、2020年4月の金融システムにおけるクレジット部門の平均延滞率は前月の3.2%から0.1ポイント上昇の3.3%を記録、昨年4月の延滞率は3.0%であった。今年4月の法人向けクレジットの平均延滞率は、前月の2.1%から0.2ポイント上昇の2.3%。個人向けクレジットの平均延滞率は前月の3.9%から4.0%と0.1ポイント上昇している。

4月の貸先や金利に制限のない自由クレジットの平均延滞率は前月の3.8%から4.0%に上昇、個人向け自由クレジットは5.2%から5.4%、法人向け自由クレジットの平均延滞率は前月の2.3%から2.4%とそれぞれ上昇している。貸先や金利枠に制限のあるプロジェクト向けクレジットは2.2%から2.3%に上昇している。

中銀によると、今年4月のクレジット部門の平均年利は前月の22.7%から21.5%に減少、4月の過去12か月間の平均年利は、政策誘導金利Selicの引下げに伴って3.5%と大幅に減少している。また4月の法人向けクレジットの平均金利は前月の13.7%から13.0%に減少、また個人向けクレジットの平均金利は前月28.4%から27.2%に減少している。

4月の自由クレジットの平均年利は前月の33.3%から31.3%、そのうち個人向けクレジットの平均年利は46.2%から44.5%、法人向けクレジットの平均年利は16.6%から15.8%とそれぞれ減少している。

28日の中銀発表によると2,020年4月の銀行システムのクレジット残高はGDP比49.2%の3兆5,870億レアルと前月のGDP比48.9%よりもわずかに増加、昨年4月のクレジット残高はGDP比46.9%であった。

今年4月の自由クレジット残高は前月比0.5%減少の2兆1,000億レアルに留まったが、貸付及び金利制限付きクレジット残高は0.8%増加の1兆4,870億レアルであった。

一般消費向けクレジット残高は前月比0.9%減少の2兆320億レアル、過去12か月間では9.7%と大幅増加、企業向けクレジットは1.2%増加の1兆5,550億レアル、過去12か月間では9.5%増加している。

今年4月の銀行システムの新規クレジットは前月比25.5%減少、1日当たりの新規クレジットは16.6%減少。また4月の法人向け新規クレジットは31%減少の1,549億レアル。一般消費者向け新規クレジットは18.2%減少の1,407億レアルに留まっている。

パンデミック危機はブラジル国内で110万人の正規雇用を奪う(2020年5月27日付けエスタード紙)

就労・失業者管理センター(Caged)の発表によると、新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、2020年の3月及び4月の2か月間で労働手帳に記載される正規雇用の労働者が110万人が解雇される結果となっている。

パンデミック危機が顕著になった今年4月の正規雇用の労働者86万503人が解雇されて、4月の月間記録として統計を取り始めた1992年以降では最悪の解雇数を記録している。また今年5月初め15日間の失業保険申請件数は前年同期比76%増加している。

今年1月の正規雇用は11万3,155人、2月は22万4,818人それぞれ増加していたにも拘らず、パンデミック危機の影響で一転して今年3月の正規雇用の労働者は24万702人が解雇された。

今年3月及び4月の正規雇用労働者の110万人の解雇は、連邦政府による雇用維持や時短労働などの政策導入政策が功を奏して、解雇数は110万人に留まっていると社会保障及び労働局のブルーノ・ビアンコ特別局長は説明している。

5月26日までにブラジルの8,154万人の労働者は、労働契約の一時的中止、労働時間短縮や給与削減など何らかの形で影響を受けている。

4月は全ての経済部門では、パンデミックの影響で雇用減少の影響を受けており、特に4月のサービス業部門は36万2,378人の雇用が減少、続いて小売部門と四輪・二輪保守部門は23万209人の雇用減少を記録している。

また鉱工業部門の雇用は19万5,968人減少、農畜産・林業・漁業部門は4,999人減少したにも関わらず、パンデミックの影響が最も少ない部門となっている。

サービス部門の36万2,378人の雇用減少の内訳では、情報・通信・金融・不動産・教育関連公務員関連サービスセクターが12万9,151人減少、続いて宿泊サービス・食品サービスセクターは12万7,876人、輸送・倉庫・郵便関連サービスセクターは5万1,067人、その他のサービスセクターは3万748人、公務員・防衛・社会保障・教育、保健衛生サービスセクターは2万3,503人、家事手伝いサービスセクターは33人それぞれ減少している。

今年初め4か月間の農畜産・林業・漁業部門の雇用は1万32人増加、その他の部門は全て減少、特に小売部門と四輪・二輪保守部門は34万2,748人の雇用減少、サービス部門は28万716人減少、鉱工業部門は12万7,886人減少、建設業部門の雇用は2万1,837人減少を記録している。

今年4月の連邦政府の対内公的債務残高は1.28%減少の4兆1,600億レアル(2020年5月27日付けヴァロール紙)

2020年4月の連邦政府のインフレ指数を考慮しない名目公的債務残高は前月比1.28%減少の4兆1,600億レアルに留まって、国庫庁の年間ファイナンシャルプラン(PAF)の4兆5,000億レアル~4兆7,500億レアルを下回っている。

また4月の対内公的財務残高は前月比1.57%減少の3兆9,430億レアルに留まった一方で、対外公的財務残高は4.23%増加の2,171億1,000万レアルで400億ドルに相当している。

今年4月のブラジル国債の発行総額は、390億3,000万レアルに対して国債償還総額は1,216億9,000万レアル、国債償還総額が発行総額を826億6,000万レアル上回った。内訳は対内債務残高の償還が818億3,000万レアル、対外債務残高の償還が8億4,000万レアル相当であった。

今年5月の国庫庁によるブラジル国債発行は、パンデミック危機に対する世界的シナリオが改善しており、4月よりも国債発行残高が増加すると国庫庁公的負債担当のLuis Felipe Vitalジェネラルコーディネーターは説明している。

3月の変動金利連動国債比率は全体の37.74%であったが、4月は38.73%に増加、年間ファイナンシャルプランでは、変動金利連動国債比率は全体の40%~44%を見込んでいる。

一方4月の確定金利連動国債比率は全体の28.85%で3月の30.63%から減少、インフレ指数連動国債は前月の26.38%から26.87%と若干増加、為替連動国債は前月の5.24%から5.54%に若干増加している。

今年の年間ファイナンシャルプランでは確定金利連動国債比率は27%~31%に設定。インフレ指数連動国債は23%~27%、為替連動国債の比率は全体の3.0%~7.0%に設定されている。

4月の海外投資家の対内債務残高の比率は、3月の9.82%から9.36%に減少の3,692億6,000万レアル、2009年12月の8.8%以降では最低の比率まで減少している。

4月の過去12か月間のブラジル国債の平均利払いコストは、9.36%と3月の9.53%から若干減少、4月の平均利払いコストは8.03%と3月の8.39%から減少している。

今年4月の過去12か月間の国債発行コストは、6.1%と3月の6.46%から減少。購入時に利回りが決定している固定金利国債(LTN)の利払いは、前月の6.86%から6.55%に減少、インフラ指数連動国債(NTN-B)は7.28%から6.26%に減少、金利が半年ごとに支払われる固定金利国債(NTN-F)は7.76%から7.46%に減少している。

機械・装置メーカーは今年の売上を前年比10%減少に下方修正を余儀なくされる(2020年5月27日付けヴァロール紙)

ブラジル機械装置工業会(Abimaq)では、2020年の機械・装置部門の売上は前年の1,125億レアルから10%減少の下方修正を余儀なくされているが、年初の予想の前年比10%増加から一転して10%減少に反転している。

しかし新型コロナウイルスのパンデミック危機の3月中旬の今年の悲観的な売上予想よりも少しは楽観的な予想に変化してきているとブラジル機械装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso会長は安堵している。

今年初め4か月間の機械・装置部門の売上は、前年同期比6.5%減少の365億レアルに留まったが、パンデミックの影響が顕著となった4月以降は、国内需要の減少並びに輸出が縮小して前年同期比27%減少した一方で、今年初め3か月間の売上は前年同期比では僅かに増加していた。

今年4月の機械・装置輸出は前年同月比41.6%下落の5億1,200万ドル、4月のレアル換算の売上はドル高の為替の影響で前年同月比24%減少に留まっている。

農業機械、食品や包装関連の消費財向け機械・装置部門はパンデミック危機に対して抵抗力のある一方で、インフラ整備部門向けや製造業部門向け機械・装置部門の売上は、大きな影響を受けているとブラジル機械装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso会長は指摘している。

Abimaq工業会では、5月の機械・装置販売は前月比7.0%減少を予想している一方で、6月の売上は前月比1.3%の微増を予想。機械・装置部門のパンデミック危機以前のレベルの本格的な回復は2021年下半期を予想している。

パンデミック危機終焉が不明確のために、Abimaq工業会は連邦政府に対して、社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/COFINS)並びに社会保障院(INSS)の積立金徴収の延長、国庫庁の保証の運転資金向けクレジット枠の拡大を要請しているが、民間銀行はリスク回避でクレジット拡大に慎重になっている。

事務局便り JD-081/20 サンパウロ州政府による新型コロナウイルス対策に係る追加措置

                           JD-081/20
                           2020年5月28日
会員企業各位
                           ブラジル日本商工会議所
                           事務局
下記の通り新型コロナウィルスに関する情報を在サンパウロ総領事館より頂きましたので会員企業の皆様へ共有させていただきます。

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—–Original Message—–
From: 在サンパウロ日本国総領事館 [mailto:sp@mailmz.emb-japan.go.jp]
Sent: Wednesday, May 27, 2020 8:55 PM
To: secretaria@camaradojapao.org.br
Subject: サンパウロ州政府による新型コロナウイルス対策に係る追加措置

5月27日(水),サンパウロ州政府は新型コロナウイルス対策に係る追加措置を
発表したところ,概要(抜粋)は以下のとおりです。

サンパウロ州政府は,6月15日(月)まで,不要不急の商業活動を規制する政令
(「quarentena(クアレンテーナ)」(注))を延長するが,6月1日(月)より,
経済活動の段階的再開を開始する。サンパウロ州は経済活動の再開を5つの段階
(フェーズ)に分け,フェーズ毎に再開可能な分野を設定。同州18の地域の医療機
関対応能力やコロナウイルス感染状況に基づき,各地域のフェーズが決定される(各
地域の状況については1週間毎に見直しが行われる)。
サンパウロ州の経済活動再開計画に関する州政府のサイトは以下のとおり。
https://www.saopaulo.sp.gov.br/coronavirus/planosp

(注)同政令は3月24日(火)から実施され,当初は4月7日(火)までの期限で
あったが,4月22日(水)まで延長され,その後5月10日(日)まで延長された
後,更に5月31日(日)まで延長された。同措置に基づき,州内全ての645の市
町村において、全てのレストラン,カフェ,バーが閉鎖(デリバリー・サービスは規
制対象外)。医療,治安,清掃,食料品(スーパーマーケット等),燃料供給,銀
行,公共交通機関等の必要不可欠なサービスは継続。実質的な外出自粛要請。

 

【問い合わせ先】
在サンパウロ日本国総領事館 領事部
電話 (55-11)3254-0100
メール cgjassist@sp.mofa.go.jp

※「たびレジ」簡易登録された方でメール配信を停止したい方は、以下のURLから停
止手続きをお願い致します。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/simple/delite
※ ご帰国,他国に転居等されておられ,帰国(転居)届がお済みでない場合は,誠
に恐れ入りますが,以下のとおり手続きをお願いします。

<帰国>
紙で在留届を提出された方は,当館にFAX,メール等で帰国届を提出して下さい。
ORRnetを利用されている方は以下のURLから手続きをお願いします。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html

<転居>
最寄りの在外公館に紙で提出するかORRnetを利用して在留届の提出をお願いしま
す。

事務局便り JD-080/20  ブラジルに滞在する邦人実態把握調査の登録及び更新

                          JD-080/20
                          2020年5月28日
日本国籍者(会員)各位
                          ブラジル日本商工会議所 事務局

去る3月末および4月中旬の実態把握調査に続き、在サンパウロ日本国総領事館よりあらためてお願いがございましたのでお知らせ申し上げます。

ご協力の程宜しくお願いいたします。
________________________________________

—–Original Message—–
From: 在サンパウロ日本国総領事館 [mailto:sp@mailmz.emb-japan.go.jp]
Sent: Wednesday, May 27, 2020 4:55 PM
To: secretaria@camaradojapao.org.br
Subject: ブラジルに滞在する邦人実態把握調査の登録及び更新

●在ブラジル大使館,総領事館及び領事事務所では,ブラジル国内に滞在中の日本国
籍を有する方々の在留状況等を正確に把握するため,以下の入力フォームへのご登録
をお願いしています。未登録の方のご協力をお願いします。
https://forms.gle/5DE749RxdTh6qBit8

●また,既に帰国されたか,あるいは帰国予定を変更された方は、以下の要領で登録
内容のアップデートをお願いいたします。更新作業は1~3分で終了します。

1 以下の件名ないしメールアドレスによって,前回登録の際に送付されたメールを
検索する。
件 名:ブラジルに滞在する邦人実態把握調査
送付元:forms-receipts-noreply@google.com
2 メール本文上段にある「回答を編集」を押下する。
3 更新箇所(ご自身やご家族の滞在状況)を編集する。
4 最後に画面の最下段にある「送信」を押下する。

●5月26日の新型コロナウイルス感染者数については以下の通りです。
ブラジルの累計感染者:391,222名(死者24,512名)
サンパウロ州の累計感染者:86,017名(死者6,423名)
※詳細については,保健省およびサンパウロ州HP(URL)よりご確認ください。
保健省:https://covid.saude.gov.br/
サンパウロ州:https://www.seade.gov.br/coronavirus/

 

【問い合わせ先】
在サンパウロ日本国総領事館 領事部
電話 (55-11)3254-0100
メール cgjassist@sp.mofa.go.jp

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に恐れ入りますが,以下のとおり手続きをお願いします。

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紙で在留届を提出された方は,当館にFAX,メール等で帰国届を提出して下さい。
ORRnetを利用されている方は以下のURLから手続きをお願いします。
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<転居>
最寄りの在外公館に紙で提出するかORRnetを利用して在留届の提出をお願いしま
す。

COVID-19パンデミックが第1四半期の国内総生産を壊滅(2020年5月26日付けエスタード紙)

今年3月の鉱工業部門生産下落、小売部門の販売壊滅並びにサービス部門縮小などすべての産業部門が受けたダメージは2020年第1四半期のGDP伸び率を奈落の底に落とした。

COVID-19パンデミック危機が顕著になった3月下半期から開始された各地方政府による外出自粛令並びに必需品以外の営業自粛要請で、消費の需要低下、生産中止、困難なクレジットのアクセス並びにロディスティック問題などの要因で、多種多様な部門で壊滅的なダメージを受けている。
Valor Data社の48金融機関対象の調査によると、2020年第1四半期のGDPの平均伸び率は前四半期比マイナス1.5%を記録して、経済リセッションの兆候となっている。

2020年のGDP伸び率はマイナス6.3%の予想も日一日と今年の経済シナリオは悪化しており、今年第2四半期は外出自粛令の延長並びに死亡率が改善していない州都でのロックダウン強化、混乱している政治危機、財政悪化並びに歳入減少などの要因で、第2四半期のGDP伸び率は更に悪化すると予想されている。

今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は前四半期比1.5%増加が予想されており、今年の農畜産部門のGDP伸び率は前年比2.3%増加が予想されているにも拘らず、農畜産部門のGDPの比重は
一方サービス部門のGDPの比率は全体の70%を占めて影響が大きい。

今年第1四半期のサービス部門のGDP伸び率はマイナス1.3%が予想されており、2016年第4四半期のGDP伸び率のマイナス0.6%以来野マイナスを記録すると予想されている。

また今年第1四半期の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス1.4%予想、一般消費のGDP伸び率はマイナス1.3%、今年第1四半期の投資部門のGDP伸び率はマイナス0.5%、今年はマイナス11.7%と二桁台の落込みが予想されている。今年第1四半期の輸出はマイナス1.2%、輸入は4.2%増加している。

ブラジルCITI銀行エコノミストのLeonardo Porto氏及びPaulo Lopes氏は、今年のブラジルの経済リセッションは2008年~2009年の金融危機時の2倍相当のマイナス6.5%と予想。またパンデミック危機前のピーク時と最悪期のGDP伸び率はマイナス11.0%の開きがあり、今年第1四半期のGDP伸び率はマイナス1.5%を予想している。

今年の一般消費、公共支出並びに公共投資を合わせた内需のGDP伸び率はマイナス8.3%予想。特に民間消費はマイナス8.7%、民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門はマイナス15.3%をCiti銀行のエコノミストは予想している。

MZK Investimentos社チーフエコノミストのLuis Fernando Azevedo氏は、パンデミック危機が今年第1四半期のGDP伸び率に与えたマイナス1.3%のインパクトは以前に発生した危機よりも大きい。パンデミック当初は、2018年5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモ程度で早く終息すると楽観的な見方をされていた。

ロックダウンが解除された中国の都市では市民生活が徐々に正常の戻りつつあるが、「ブラジルでは市民が失業を恐れて消費を控え、極力預金に回しているために、今後数か月間に亘って消費は活性化しない。第1四半期の一般消費はマイナス0.7%」とMZK社は予想している。

今年3月の鉱工業部門のGDP伸び率は、耐久消費財並びに資本財が牽引して前月比マイナス9.1%、第1四半期の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス0.9%、そのうち鉱業部門はマイナス4.1%、製造業部門はマイナス1.4%、建設業部門はマイナス0.9%となっている。


 
金融機関並びにコンサルタント会社の17アナリストの今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は1.5%増加、今年は2.3%増加、前期同様に鉱工業部門はマイナス1.4%、マイナス6.0%、サービス部門はマイナス1.3%、マイナス5.3%、一般家庭消費はマイナス1.3%、マイナス5.0%、連邦政府の支出は0.3%増加、1.1%増加、投資はマイナス0.5%、マイナス11.7%、輸出はマイナス1.2%、マイナス5.1%、輸入は4.2%増加、マイナス9.2%となっている。

韓国とメルコスールとの自由貿易協定締結でブラジル産業の51部門が悪影響を受ける(2020年5月26日付けエスタード紙)

今年4月にブラジルが加盟しているメルコスールと韓国との自由貿易協定締結は、ブラジル製品に損害を与え、更に貿易収支赤字が70億ドルに拡大するために、全国工業連合会(CNI)は連邦政府に対して協定交渉の中止を要請していた。 

メルコスールと韓国が自由貿易協定を締結すればブラジル国内産業部門の51部門が悪影響を受ける一方で、僅か11部門が恩恵を受けると全国工業連合会(CNI)の調査で判明している。

メルコスールと韓国の自由貿易協定の交渉は進展していたにも関わらず、新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で交渉の進展が遅れがちとなっているが、特定部門の交渉除外や関税の完全な排除などの交渉が残されている。

農畜産部門、鉱業部門、製造業部門並びにサービス業部門の大半は、韓国との自由貿易協定締結による輸入関税撤廃で、GDP伸び率が減少するとCNIのシミュレーションテストで判明している。

韓国との自由貿易協定締結で鉱工業部門の21セクター、サービス部門の18セクター、製造業部門の4セクター、農畜産部門の8セクターで悪影響を受けるが、11セクターは恩恵を受けるとシミュレーションテストで判明している。

韓国とメルコスールとの自由貿易協定締結で韓国側はブラジルの8倍に相当するセクターで恩恵を受ける。「パンデミック危機や経済リセッション時の自由貿易協定締結で大半のセクターが悪影響を受けるのは意味がない。相互利益の望める米国やメキシコとの自由貿易協定締結を優先すべき」とCNI工業開発担当のCarlos Eduardo Abijaodi理事は説明している。

韓国の輸出は中国に次ぐ世界2位の反ダンピング対策の標的になっており、あるセクターでは実質的に価格競争にならないとCarlos Eduardo Abijaodi理事は指摘している。

韓国とメルコスール加盟国との自由貿易協定は、90%の製品の貿易関税の撤廃が織り込まれているが、韓国は既に中国、インド並びにトルコとのFTAを締結している。メルコスールは20%の輸入関税を課しており、一般特恵関税制度は適用していない。2019年の韓国との貿易収支はブラジル側の12億5,600万ドルの赤字を計上していた。

(ZOOM)ブラジル等における新型コロナ対応状況(報告会)開催

ジェトロサンパウロ主催、在サンパウロ日本総領事館並びにブラジル日本商工会議所協力による第1回新型コロナ対応状況説明会として「ブラジル等における新型コロナ対応状況(報告会)」は、2020年5月27日午前9時30分から10時30分まで44人が参加して開催した。

初めにジェトロサンパウロ事務所の松平史寿子次長は、コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、各社は業務形態や事業の見直し、駐在員の退避。連邦政府や地方政府による色々な対応政策の発表に対して、ジェトロが取集した情報の報告や会員相互の意見交換会としての開催を説明した。

ジェトロサンパウロ事務所の大久保敦所長は、ブラジルに於けるコロナウイルス感染拡大の影響と題して、初めに感染者数と死亡者数の推移では、2月6日の連邦政府の緊急事態宣言、2月26日の初めての感染者確認、カーニバル明けの初の死亡者、3月24日のサンパウロ州の外出自粛・営業規制開始、4月22日の1回目の延長、5月11日の2回目の延長、5月26日の2万4,512人の累積死亡者は世界6位、6月にはイタリアや英国を抜いて米国に次ぐ世界2位の予想。ブラジルのおける1日当たりの感染推移と感染分布では、5月20日以降は減少傾向も致死率は6.3%で、ラテンアメリカ地域では高い。地域別の感染並びに死亡者数ではサンパウロ州、パラー州、アマゾナス州並びにマラニョン州で高い。ミナス連邦大学で感染ピーク・収束予測開始。感染確認者のピークは7月上旬、死亡者ピークは6月上旬予想。サンパウロ州の5月下旬の感染確認・死亡者数は減少傾向、サンパウロ都市圏のICU占有率は86.3%と高いが、リオ州やアマゾナス州よりも低い。

ブラジルにおける感染防止対策に伴う規制の現状では、3月から実施の入国禁止を5月22日~6月20日まで延長措置。事業活動規制では、連邦政府と地方政府の相違もSTFの地方政府の決定の優先判決、モノの輸入品規制ではパンデミック危機時の医療機器関連の原則自由。連邦政府と地方政府のブラジル社会を二分する感染隔離政策の相違。コロナ渦中の消費性向では生活必需品増加の一方で耐久消費財の減少。産業界の打撃では生産、産業部門別活動指数として雇用、稼働率の推移。産業界の動きでは自動車業界、マナウスフリーゾーンの動向。レストラン・バーへの壊滅的な打撃の一方で好調なEコマースなどを説明した。

スタートアップ企業のコロナ渦中新ビジネスでは、Inloco社のスマホ位置情報活用感染監視事業、サイバー・ラブズ社のAI顔認証活用型感染監視、ビダ・クラス社の新型コロナウイルス遠隔診断による新事業。緊急対策の骨子では、連邦政府の弱者救済や雇用維持など対応のGDP比5.2%相当の4,077億レアルの財政支出、各種事例ではあまり機能していない企業向けクレジット。リモートワーク活用の雇用維持、医薬品の免税。アフターコロナの消費性向ではレストラン・バーはプロトコロに沿った感染防止措置の継続。生活必需品購買の継続、耐久消費財は横ばい。

2020年~2021年経済予想では、GDP伸び率、インフレ指数、Selic金利、経常収支、貿易収支。アフターコロナ新時代を見据えてでは、ビジネスフローのデジタル化、リアルビジネスの運用改善,メルカード・リブレ内の仮想店舗での新車予約販売の新ビジネス。Gympassのライブ配信フィットネスサービス開始。オープンイノベーションマッチングアプリ開放。最後のジェトロサイトの新型コロナウイルス関連情報について説明した。

質疑応答では、新型コロナウイルス対策に対する財政支出。医療関連製品の輸入業務。パンデミックによる駐在員の一時帰国状況などが挙げられた。

Pdfブラジル等における新型コロナ対応状況(ジェトロサンパウロ事務所 大久保敦所長 2020年5月27日)